断食(半断食)で本来の胃腸の働きを取り戻す

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磯貝昌寛の正食医学【第70回】秋の半断食

食欲の秋と断食

秋は夏の暑さが和らぎ、高温から解放された体の細胞はストレスが減って代謝を活性化させます。

食欲の秋といわれますが、細胞の活性化がエネルギー代謝を高めるため、旺盛な食欲が出てくるのです。

しかし、現代の夏は冷房の効いた部屋で過ごすことが多く、さらに冷たい飲み物を飲むことも多いので、夏がゆえに胃腸が冷えて、本来の秋の食欲が出てこないのが現代人の特徴になっています。

秋の断食(半断食)は、本来の胃腸の働きを取り戻す絶好の機会です。

暑い環境から解放された細胞には余力がありますから、断食や半断食をすることでより活性が高まります。

冷えた胃腸を温める

私がすすめる半断食では、少量の玄米粥を徹底して噛みます。一食のカロリーは50キロカロリーに満たないので、ほとんど断食と言っていいでしょう。

本来それほど噛む必要のない食べ物( お粥)を徹底して噛むので、胃腸のハタラキが高まったところに少量のお粥と大量の唾液が胃腸に送られていきます。

胃腸のハタラキが高まっても消化分解するものがないので、胃腸の古くなった粘膜を分解代謝していきます。

胃腸に老廃物が溜まっている人は、玄米粥を徹底して噛む半断食ですぐに排毒反応があらわれます。頭痛や肩こり、首こり、胸やけ、強い眠気が出てくることもよくあります。

半断食合宿では、食養手当て法の定番、生姜シップを行っています。

生姜シップは、徹底して噛むこととの相乗効果で胃腸を温めるのに大きな力を発揮します。

胃腸が温まると血液が温まり、自然治癒力が高まります。キレイな細胞への変化を後押しするのです。

秋は大腸と肺

中国に伝わる五行では、秋は大腸と肺が活性化する季節と考えられています。肺は発生学的にみて消化器に分類されますから、大腸との関係は深いのです。

暑い夏から解放された細胞は消化器系の代謝を高め、特に大腸と肺の活性度を高めます。

秋に採れる食物に消化器系のハタラキを高めるものが多いのも、五行が自然と人間の鋭い観察眼から生まれたことを物語ります。

秋の断食・半断食は胃腸の代謝を高めるのと同時に肺の活性も高めます。

秋に気管支喘息や咳を伴った風邪が多いのは、夏に冷たい物や果物を摂る機会が増え、冷房の部屋にばかりいてしっかり汗がかけなかったためです。

皮膚を整える

皮膚には汗腺がたくさんあります。地球をぐるりと見渡すと、住む地域によって汗腺の数は大きく違います。

インドやパキスタンなど赤道に近い地域の人たちには400万個以上の汗腺があるといわれています。

緯度の高い北欧の人たちは200万個以下といわれ、中緯度の日本人などは250万個前後といわれています。

しかし、これらは平均であって、実際に汗腺がどの程度活動しているかは幼少期の食事と生活が大きく関わっています。

幼少期にしっかり汗をかいて身土不二に則った食生活をしていれば、風土に合った汗腺のハタラキが十分になされます。

幼少期にしっかり汗がかけず、風土に合わない食生活をしていると、汗腺がしっかり育たず、毒素の排泄がうまくいかずにアレルギーやアトピーを発症させてしまいます。

アトピーの人は、汗腺の働きが30~40%低いといわれています。

日本人であれば、250万個ある汗腺のうち、100万個ほども働いていないわけですから、毒素が排泄されずに体に溜ったままになってしまいます。

しかし、自然とは有り難いもので、溜まったままにさせずに肌に湿疹を表出させたり、気管支から毒素を排泄しようと喘息を引き起こしたりして体をキレイに保たせようとします。

断食( 半断食)は胃腸のハタラキを高めるだけではなく、肺と汗腺のハタラキも高めます。

以前、半断食合宿に参加された重症のアトピーの女性がいました。彼女は多くのアトピー性皮膚炎の患者と同様、汗をかきにくい体質でした。

夏でも汗をびっしょりかく経験がなく、汗だくになったことがなかったのです。

半断食4日目のことでした。その日は朝から強い雨が降っており、いつもの午前中のウォーキングができなかったのです。

そこで午前中は生姜シップで体を温めることにしました。参加者同士で生姜シップを施し合い、お腹や背中を中心に十分に体を温めました。

午後になり、強く降っていた雨はすっかり上がり、午前中の天気がウソのようにスカッと晴れてきました。

午前中外に出られなかったので、午後は希望者で散歩に行くことになりました。

アトピーの彼女も散歩組になり、みんなでウォーキングに出かけました。

みんなの体調を見ながら距離を判断するのですが、生姜シップの効果とお天気が皆の体力を後押ししてくれたのでしょうか、いつもより足取りが軽く、小高い山を登って下りる10㎞以上ある道のりをアッという間に歩いてしまったのです。

晩秋の季節でしたが、みんなで汗をびっしょりかきました。

アトピーの彼女も、生まれて初めて、今までかいたことのないところから汗が出てきたのです。

ウォーキングから帰った彼女は、汗をしっかりかくことがこれほど気持ちのよいものだと初めて経験したそうです。

30代半ばだった彼女は、これまで生きてきた中で一番爽快だったと言いました。

そして、その時の半断食を境にアトピーが劇的に治っていくのです( もちろん、その後の食生活がマクロビオティックであったからこそです)。

半断食によって体の中の眠っている遺伝子がONになりやすい状況下で、生姜シップで体を温め、お天道さまの後押しもあって、しっかり運動したおかげで今まで眠っていた汗腺が短時間のうちに働き出したと想像できます。

消化吸収力を高める

断食や半断食は、胃腸を浄化して消化吸収力を高めることがまず第一です。

体の消化器系は排毒排泄にも大きな役割を果たしていますから、胃腸がキレイになると体に溜っている毒素も胃腸を通して排泄されます。

秋の断食・半断食は、季節の波と相まって胃腸の消化吸収力を高めます。

胃腸のハタラキが正されると、清浄な血液が作られて、病気の改善を促し、日々の健康を増進します。断食や半断食は頻繁に行うものではありません。

現代の生活習慣病を集中的に数年で治そうと取り組むのであれば年4回、四季折々に実践するとよいでしょう。

断食や半断食で胃腸をキレイにして、その上でマクロビオティックの食事をしっかり摂ることも大事です。

この世は陰陽ですから、食を断つことも、しっかり食すことも、両方大事です。

食欲の秋です。断食や半断食で胃腸を整えて秋の味覚を味わうと、一段と深い味わいに出会うことができます。

月刊マクロビオティック 2017年10月号より

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磯貝 昌寛(いそがい まさひろ)

1976年群馬県生まれ。

15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。

食養相談と食養講義に活躍。

マクロビオティック和道」主宰、「穀菜食の店こくさいや」代表。

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