7大栄養素の「生命の鎖」

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船瀬俊介連載コラム

「食」という字は「人」を「良」くする……と書きます。

古代人は、食事が健康だけではなく人格も良くすることを、知っていたのです。

言いかえると、食べまちがいは人格をも歪めかねない。それを証明する実験があります。ロンドンの救世軍が行なった実験です。

対象は10代の少女たち。11歳から15歳までの17人。これらの少女たちの行動と態度が、ただ食事を変えるだけで驚くほどに一変したのです。

それまで少女たちが日頃食べていたのは次のようなものでした。

白いパン。マーガリン。安いジャム。多量の甘い紅茶。缶詰の加工肉……などなど。さて、この娘たち17人は、いつも毎日、口論が絶えず、お互い攻撃的で口喧嘩ばかり。

さらに親や教師などの権威にもたて突く。そして何事にも億劫がり、まわりの様々なことには無関心という怠惰な生活ぶりでした。

にきびはなくなり、頬はバラ色

この実験を行なった研究者たちは、まず、少女たちのこれらの食事をすべて改めさせた。まず多種類の新鮮な野菜・果物を豊富に与えた。

そして食事は乳製品や新鮮な肉を含むものにした。栄養学の研究者である丸元淑生氏が、少女たちの変化を活写している。

「……少女たちは『マイ・フェア・レディ』のイライザ・ドゥリットルのような変身を経験した」

「彼女たちのにきびはきれいになくなり、頬はバラ色になり、快活な態度になって、あまり口論をしなくなった。元気がなく、退屈して、大儀そうで、無関心だった彼女たちが、自分を取り巻く世界に興味を持ちはじめ、自分自身の生活のための計画を立てるようになったのだ」

(『生命の鎖』飛鳥新社)。

白パン、マーガリン、ジャム、加工肉などは、誰でもあたりまえのように食べているはず。それが、日頃の口喧嘩や家庭内トラブルの元凶だなんて、誰も思わないはずです。

しかし、多くの新鮮野菜、果物などに変えるだけで、家庭内が平和になるのなら、これほど素晴らしいことはありません。

7大栄養素の「生命の鎖」

生命の鎖

「へぇー、ほんとかしらね?」

半信半疑の方も多いはず。この救世軍による少女の実験は、イギリスでラットをつかった動物実験でも裏づけられています。

対象は大きな10匹のラット(A群)。比較対照としてもう10匹(B群)。

A群には救世軍の少女たちと同じ、新鮮野菜など理想的な食事を与えた。それはアメリカの栄養学者ロジャー・J ・ウィリアムズが提唱する「生命の鎖」と呼ばれる必須栄養素が連なった理想的バランス食。

具体的には①ビタミンA、②ビタミンB6③葉酸④バントテン酸⑤カルシウム、⑥マグネシウム、⑦鉄……という7大栄養素が十分に含まれている食事。

それらは、新鮮野菜、果物のほか、精白されていない穀物、豆、ナッツ、海草、ゴマ、ジャガイモ……などなどに豊富に含まれる。

これら①~⑦を豊富に含むエサを与えられたA群のラットたちは、驚くほど仲がよくて、健康で、毛もつやつやしていた。

そして、多くの時間は毛つくろいに費やしていた。

咬み殺し合ったラットたち

一方のB群には、救世軍の少女たちの、かつてのひどい食事が与えられた。

「すると2、3日のうちにラットの毛の艶がなくなりはじめ、ぼさぼさになっていった。非常に神経質になり、互いを咬むようになったり、檻の管理者にまで咬みつくようになった。

時間が経過するにつれ、殺害が当たり前になり、3匹のラットが殺されて食べられてしまった。

それで互いを守ってやるために、1匹ずつの檻に入れてやらなくてはならなくなったのである」(丸元氏)。

なんとも血の凍る光景ーー。

私たちはそんな凄惨な事件を最近、マスコミでひんぱんに耳にします。

親殺し、子殺し、通り魔殺人。これらラットの実験は、それら惨劇の一因が、まぎれもなく、まちがった食生活にあることを教えてくれます。

これら性格の変化は、すでに妊娠中の栄養によっても大きく左右されるのです。

①~⑦のような必須栄養を減らした食事を母親ラットに与えると、生まれる子どもの脳細胞数が減少。

逆に栄養バランスのよい食事を与えると、生まれた子どもの大脳皮質の重さは10~15%も増えるのです。

子どもの将来も、母親の食べた食べ物で決まるのです。

丸元氏は警告する。

「コンビニで昼食に真っ白いパンのサンドウィッチを買っていく若い女性たちをみると、むしろこの方がはるかに悪い食事なのだ…」。

2008年12月 月刊社会民主 「船瀬俊介の躰にいいコラムVOL . 51」より転載

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

船瀬俊介公式ホームページ= http://funase.net/

船瀬俊介公式facebook=  https://www.facebook.com/funaseshun

船瀬俊介が塾長をつとめる勉強会「船瀬塾」=  https://www.facebook.com/funase.juku

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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