こども農学こう「コロナと生きる」シリーズ4

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札幌の自然食品店「まほろば」主人 宮下周平 連載コラム

あぁ、こどもが、こどもたちが・・・・。

今、行き場がない。やり場がない。逃げ場がない。

こども一人ではどうにもならない。どうしようも出来ない。

どこへ行ったらいいの?
どうしたらいいの?

立ちすくむ子。
引きこもる子。
死をみる子。

親は、どう生きているのか。
こどもは、親を見ている。
こどもは、親に従うしかない。

一、枕もとで

幾晩も幾晩も起こされた。何故か息苦しい。

苦しい。苦しい。
助けてよー。助けてよー。
死んじゃうヨー。

その声に、ハッとうなされるように目が覚めた。これは、確かにこどもの声だ。それが、毎晩毎晩、耳元でささやくのだ。

最近、それで幾分、不調なのだ。滅入るように、一日どんよりした気分になる。

これは、ただごとではないなー。訴えのように、なんとも悲しかった。

これは、何をしようと、何をさせようと、しているのか。

二、援農の子

援農に来られるお子さんを見ていると、農園が結晶化、完結化する思いがある。

何故だろう。不思議だ。

この子たちの中には、学校に行っていない子もいる。もちろん、マスクなし。ワクチンなし。

吸い付くように、大地をはう。「キャッキャ」と、はしゃいで、一日中、駆けまわり、走り回る。元気、元気、疲れを知らない。

大地のエネルギーをダイレクトに受けて、作物の勢いそのもののように、グングン伸びる。

これまで、大人目線で、なんでも見て来たが、こんどは、こども目線で見てみる。

すると、全ての発想、全ての結果が、スルリと入れ替わる。

こどもからスタートする。こどもをゴールとする。すると、今まで見えて来なかった全体が見えてくる。

そこで、村作りの原点を、こどもを主人公に置き換えてみた。

そこから出発すると、物事の終始が、パァーと太陽が輝くように、光り始めた。

この世を託するのも、この畑を遺すのも、この子どもたちしかいない。

何よりも、後回し、事のついで、大人の尻っぽ、尾っぽだったものが、後先を逆さにしてヒーロー、ヒロインにすると、未来への道筋が見えて来た。

スゴイ!ぞー!!!

三、自然に任せる

こどもは仕事が好きだ。

あれやって、これもやって、と言うと、「ハイハイ!ハーイ!」と言って、飛びつく。

とにかく、うれしいのだ。仕事することが楽しいのだ。

この世で、はじめて経験する作業もなんのその。眼を輝かせて、なんでもこなす。大したものだ。

少々飽きっぽいが、付いていてやると、どこまでもやる。

どこまでも、自然がくっ付いて来る。

どこへでも、自然に向かっていく。

天然の教師がマンツーマンで、教え諭し導いている。

なんで、そこに人間の手が要ろうか。大人は、そこにソット置いて来るだけでいいんだ。

あとは、成るように任せる。見守るだけでよろしい。

昔、老子という偉い先生が、言ってたネ。「無為にして化す」って。

何もしなくても、ほっといて、成ってしまう、ということだ。

心配しなくても、大自然に身をあずけることさ。

人生のコツは、ただその一点だけなんだ。あとはポンコツ、ガラクタ。

四、仕事のコツと自然の秘密

まほろばの夢は、自給の山里を作ること。

でも、それより先に、全国の教室からあふれる出る、こぼれ出るこどもたちの遊び場、仕事場を作りたいんだ。

この農園を開放したいんだ。農学校がイイな。

土仕事、畑仕事、山仕事、大工仕事、何でも出来る人に育ってもらいたい。

宮澤賢治の農学校を思い出すなー。

鉱物も、天体も、肥料設計も、チェロも、文学も、南無妙法蓮華経‥‥‥も、なにもかも取り込める宇宙的人格に育って欲しいなー。

イーハトーヴ、ポラーノ、フランドン、カンパネーラ…今でも新鮮な語彙は、星空のまたたきのよう…。

勉強は、「よみ・かき・そろばん」くらいでいいんだ。

単純なことを繰り返すことで、あとあと不思議な力が授かる。体力が付けば、猛烈に向学心と興味が芽生えてくる。

スポンジのように、全方位的に水を吸収しまくるんだ。要は、仕事のコツさえつかんでいれば、勉強なんて、朝飯前さ。

オチャノコサイサイ、ヘッチャラチャラの助なんだ。

世の中の要領も、農作業の要領も同じで、どうすれば、どうなることは、やる前に見えて来るもの。

どうなるかを、どうすればよいか、とにかく体験がものをいう。それは、歳に関係ない。

こども体験で、すでに身につけられるんだ。ハイカラな知識やハナヤカな技術なんていらない。

物事が成って行く原理を、体に覚えさせるんだ。

これが、自然の秘密を解き明かすことなんだ。

それこそが、簡単便利な最高のノウハウさ。

自然は、何たって最高の先生、何でもかんでも知っているんだ。

五、怖い怖い今

マスクを外すと、仲間外れにされ、ワクチンを拒否すると、学校に行けなくなる。

マスクの顔には、おびえた目、悲しい目、暗い目、みな目が死んでいる。

マスクを外して思いっ切り走り回ることも、飛ぶことも、ボールをけることさえ出来ない。

みんなが見てる。
先生が見てる。
町が見てる。

怖い。何もできない。金縛りにあったように、何もできない。

家でゲームしかない。没頭するしかない。その先は、虚無感。虚しい。そして、体から失われる健康。そして、自然が消えて行く。

六、今を脱出せよ!

そんな子たち、みんなおいで。ここは、気持ちいいぜ。楽しいぜ。

マスクも、ワクチンも、要らない、要らない、全く要らない。そんなもの嘘だよ。冗談だよ。

ここは、あなたの遊び場。あなたの家。あなたの寝床。

よく帰って来たね。ホント、ホント、ホントに。よく帰って来たョ。ここは、ふるさと。あなたの家里。

いつまでも居てもいいんだよ。帰らなくてもいいんだよ。

おモッキリ遊んで、
おモッキリ働いて、
おモッキリ食べて、
おモッキリ寝て、

その繰り返しでいいんだ。簡単、簡単。テストもなければ、通知表もない。いいでしょう。

お爺さんも、お婆さんも、そんなんだったら、もう一度、こどもの昔に戻って、やり直したいなーーーー。

七、フリースクール、イイね!!

野生動物学者・坪内俊憲(としのり)先生が来園して、開口一番、「こどものためのフリースクールを作ろうよ!!」と呼びかけて下さった。

「やったー!!」

そこで、スパークした。お互いの火花が散った!

本当に、思いはその通り。先ず、こどもたちを救わねば、この国はなくなってしまう!!!

こどもたちの逃げ場を作れ。憩いのスペースを作れ。安らぎの山里を作れ。

それが、国の核となり、それが、これからの礎となる。

こどもたちを、眠らせよ。

こどもたちを、休ませよ。

こどもたちを、あそばせよ。

おモッキリ!

国の宝なるこどもを、守る事こそ、あなたたち、わたしたち、大人のつとめです。

八、その方法

難しい小理屈はいらない。カネのかかる建物も要らない。

遊ばせるんだから、学校なんて要らないんだ。広い外が、学校さ!!!!

あの空は天井。あの山は壁。この草草は机。この鍬は、鉛筆さ!!!

そうか、このお爺さんも気付いたね。

この「〇〇自然農園」じゃなくて、「こども農学こう」がいい!!

眠るところや、食べる所は、これから一緒に作ろうや!!

夏は、青空学校だね。冬は、大雪学校だね。雪ダルマ、作り放題だよ。カマクラも、トンネルも作り放題。

あっ!そうだ、雪祭り出来るね。いいなー。みんな寄っておいで。みんなでお祭りしよう。

そうだ、外で食べモノ食べたら、どんなにか美味しいか、楽しいか。

川べりもある、野ッパラも広いし、毎日毎日キャンプも出来るし、火を起こそ、起こそ。

焚き木を採りに行こう、行こう。

いいでしょ。
いいでしょ。

九、親の覚悟

こどもの幸せを願わずにいられない。親なら誰しも、思うもの。

あなたなら、どうします。このままでイイですか?このままこどもを枯らせてイイですか?

もう、世の中は壊れています。人もみな壊れかけています。学校も崩壊寸前です。都会は廃墟になってしまいました。

そんな所に、大切なこどもを送り込めますか。こどもの将来を託せますか、預けられますか。

そこで、提案!!!

こどもさんと一緒に飛び込む。
自然の中に、家族で飛び込む。

月一回でも、週一度でも、こどもと自然と戯れる。裸足で土を踏みしめる。踏ん張ってみる。

子育てに悩むことなんか、要らなかった。自然の中に、一緒に飛び込もう!!自然はあなたの味方。親身になって心配してくれる一番の相談相手です。

答えは、その中にアル!!きっとアル、必ずアル。

自然は、首を長くして、温かく、待っていますよ。あなたたちの帰りを。

十、提言:《全国「小国寡民」運動》

「親子援農」「家族就農」の道

① 日本の現状

農水省の2020年農林業センサスによると、この5年間で「農業従事者」は、22・4%(39万人超)減少で136万人。

「平均年齢」67・8歳 65歳以上が約70%を占める。2025年には、団塊世代75歳以上の後期高齢者。

日本人口の1%未満100万人を切る。

経営農地30アール以上、農産物販売総額50万円/年以上 (『コロナと生きる』49p「五、子孫のために美田を買うべし」から。参照)

② 打開策

最早、日本の農業政策は、成年の就農定住施策では手遅れ。

これからは、こどもの教育にかかっている。

・こどもの外遊びを「援農」につなぐ。

・「親子一緒」の山村留学が、考えられる。

実際、この5年間で、農民が40万人減少の下降線を辿っているが、この山村留学が5年前に比べて、10%増えているという事だ。

これは、希望の光である。

③ 具体的方向

まほろばでも援農運動で 家族援農が動き出している。

学校や家庭、近所もコロナで閉塞された日常を、嬉々として突破出来るのが、唯一農作業だ。

それも親子家族で一緒になって、野菜作りに励む時間と空間。それが援農で、きっかけ作りになる。

まほろば農園でも、数件の親子連れの援農部隊が、頼もしく、面白く一日を過ごしている姿を見て、本当にイイナー、と感動してしまいます。

より強い親子の絆、より深い自然への理解が、まず第一歩です。

④ 「懐しき未来(さと)」つくりに向けて

将来、まほろば自然農園と㈱まほろばでは、この受け入れ体制を整えて、理解者・賛同者を募えたらいいなーって思っています。農園やまほろば一人では出来ません。

そのお父さんお母さんが中心となって立ち上がり、各地でこんな農学校ができれば、どんなにか素晴らしいことでしょう。

いつか、「懐しき未来(さと)」作りで、農学校が開校される日を夢見ます。

ご意見やご感想があれば、どしどしお寄せください。

まほろば編集部に、お寄せいただければ、幸いです。

コロナ禍で苦しんでいるこどもさんを、何とか一日でも早く、一人でも多く、救っていきたいとの思いで、文章を書いてしまいました。

はやる気持ちの急ごしらえで、不十分なところ、お許しください。

お読みいただき、ありがとうございました。

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宮下周平

1950年、北海道恵庭市生まれ。札幌南高校卒業後、各地に師を訪ね、求道遍歴を続ける。1983年、札幌に自然食品の店「まほろば」を創業。

自然食品店「まほろば」WEBサイト:http://www.mahoroba-jp.net/

無農薬野菜を栽培する自然農園を持ち、セラミック工房を設け、オーガニックカフェとパンエ房も併設。

世界の権威を驚愕させた浄水器「エリクサー」を開発し、その水から世界初の微生物由来の新凝乳酵素を発見。

産学官共同研究により国際特許を取得する。0-1テストを使って多方面にわたる独自の商品開発を続ける。

現在、余市郡仁木町に居を移し、営農に励む毎日。

著書に『倭詩』『續 倭詩』がある。