身体の冷えはお腹で作られる

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47がんを作る食事③ 冷えとがんとの関係 文)岡部賢二

冷たいもの好きはがん細胞の指示?

がん体質の方に共通するのは低体温です。日本人の平均体温は36・5℃といわれていますが、がんの方は35・5℃と、体温が平熱よりも約1℃低い方が多いようです。

特にがんの末期になると、冷たい氷菓子が食べたくなったり、氷をガリガリとかじりたくなったりする方をよく見かけます。

がん細胞は低体温の身体を好み、自らが増殖するために神経系に冷たい食物を食べたくなるような指示を送るようです。

がん細胞を発見して無害化するナチュラルキラー細胞などの免疫細胞は、体温が低くなると働きが鈍くなります。

体温が1℃下がると免疫力は30%~40%低下することがわかっています。がんから身体を防御するには、体温を下げない工夫が必要です。

加熱した動物性食品と白砂糖のセットに用心

お餅や肉、パン、ピザなど、焼き立ては柔らかくても、時間がって冷めると固くなります。

人間も同様に、体温が下がると、血栓や肉腫、筋腫、ポリープ、しこりなどといった固まる症状を引き起こしやすくなります。

また、肉や卵、魚などはタンパク質を含むので、火で焼いたり、油で揚げたりすると硬くなります。このように動物性食品の食べ過ぎによっても、がんなどの固まりが作られやすくなります。

そして、動物性食品を熱処理したものに、身体を冷やす性質の強い白砂糖が加わることで、がんが出来やすい体質になります。

なぜなら、陽性な動物性食品を食べ過ぎると、血が濃くなって血液の循環が滞り、体が熱くなります。

そのため、体を冷やし、血液を溶かす性質の強い陰性な甘いものやアルコール、香辛料を欲するようになるからです。

体を冷やす陰性食品を減らすには、まずは動物性食品を過剰にとらないことです。

冷えやすい生活様式

さらに、冷え体質を作り出す原因に、生活スタイルの変化があげられます。

夏、職場や電車内の冷房により身体が冷えやすくなったり、冷凍保存技術の向上によって、アイスクリームやジェラートのような氷菓子が普及したこと、おしゃれの変化によって、ミニスカートやサンダル履きが増えたこと、車の普及でウォーキングや運動の機会が減り、汗をかかなくなったこと。

こうした環境の変化も冷え体質増加につながっています。

さらに、寒い冬場でも、暖房が行き届いた家の中で過ごしていると、冷たいビールやアイス、果物が食べたくなります。

そして、ハウス栽培の普及によって、夏場しかなかった、体を冷却する作用の強い夏野菜のトマトやキュウリといった陰性な野菜が冬場でも食べられるようになった結果、体が冷える人が増えてきました。

身体の冷えはお腹で作られる

人体の免疫の中心は、腸管免疫です。小腸や大腸には免疫細胞が集まっていて、必要に応じて、体の各機関に免疫細胞を派遣します。

ところが、腸が冷えると、免疫細胞が作られなくなったり、働きが鈍ってきます。

実際、がんなどの病気をかかえる方にはお腹が冷えて固いという方が多いです。

お腹を触ってみて、お腹が温かくて弾力性に富んでいれば問題ありません。

このことからも身体の冷えはお腹で作られると言ってもよいでしょう。

小腸が冷えると造血機能(腸管造血説)が衰え、血液が不足すると酸素供給が衰えて、手先足先が冷えます。腸内細菌の95%は大腸に棲んでいるのですが、お腹が冷えると善玉菌(発酵菌)の働きが衰え、悪玉菌(腐敗菌)や病原菌が優位になります。

甘酒も60℃くらいの熱を加えないとが発酵しないように、善玉菌もお腹を温めてあげないと、働きが鈍ります。

腸管免疫力を高めるためには、お腹に生姜シップやコンニャク湿布、の葉温といった温熱療法を施すとよいでしょう。

お風呂に塩を入れて半身浴をしたり、大根干葉で腰湯をしたりするのもおすすめです。

頻尿は冷えのサイン 葛湯で腸内を整える

お腹だけでなく、腰を温めると腎臓の働きもよくなり、下半身の水分代謝が増し、余分な水がおしっこで抜けることで、体の冷えが解消されます。

寒い環境にいるとおしっこの回数が増えるように、身体が冷えている人は、おしっこが近くなります。

寝てからおしっこに頻繁にいくようなら、かなり冷えていると見て間違いないでしょう。1日のおしっこの回数が4~5回、多くても5~6回までが正常な回数です。

寝る前に湯や葛練りを摂るようにすると腸内環境が整い、体も温まり、冷えが解消されやすいです。がん対策として、まずは体を冷やさない工夫をしましょう。

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月刊「むすび」 2019年8月号より

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Profile おかべ・けんじ

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。

日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。

2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。

著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、

家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。

ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com