船瀬俊介連載コラム
マスコミのタブー200連発〈121〉(月刊『ザ・フナイ』)
前回の記事:マルクス、レーニンも国際秘密結社の走狗?【「アジェンダ21」の戦慄】
中国大躍進の秘密は人民銀行にあり
これまで、近代における共産主義と資本主義の推移を解説してきた。
キーワードは、中央銀行による通貨発行権である。
国際秘密結社は、中央銀行を乗っ取ることで、国家を乗っ取ってきた。
アメリカは、国家全体が秘密結社(フリーメイソン、イルミナティ)の砦であった。
アメリカは1990年代、中央銀行を明け渡さない国々を「ならずもの国家」と罵った。
それは、リビア、イラク、イラン、アフガニスタン、北朝鮮……など。
しかし、中央銀行をイルミナティにハイジャックされ、朝鮮戦争、ベトナム戦争、さらにイラク戦争などで大量殺戮を繰り返してきたアメリカこそ、「ならずもの国家」であることは衆目の一致するところだ。
さて――アメリカが敵視してきた国家から、一つ漏れている国がある。
それが、中国である。
中国経済大躍進の秘密は、どこにあるか?それは、中国人民銀行の存在である(写真8)。中国の中央銀行だ。
1948年、創立。いうまでもなく国営である。中国の通貨、人民元の発行元である。
これは、先進国において、じつに稀な存在というしかない。
今回の上海、杭州の旅の案内役だった連さん(会社経営者)は、明快に言い切った。
「……中国、銀行はみんな国営ヨ」
これに対して、欧米各国や日本の中央銀行は、民営である。
日銀の場合、特殊株式会社で、半数近くの株主名は極秘である。そこに、イルミナティの大富豪たちがズラリとひしめいているからだ。
〝かれら〟こそ日本の〝闇の支配者〟である。通貨発行という信用創造……つまり、無から得た日銀の巨大利益の半分は、〝かれら〟に盗まれている。
しかし、中央銀行が国有の中国はまったく違う。
なるほど、信用創造で大量に通貨を〝印刷〟し、巨大利益をあげていることは同じ。
しかし、その利益は、すべて国富として国民に還元される。
はやくいえば、中国の人民銀行は、イルミナティなど外国勢力にカネを盗まれることはない。
企業や国民に還元されたカネが、さらなる投資や消費を加速する。経済にドライブがかかるのは当然だ。
〝腐った〟資本主義、〝クリーン〟な資本主義
フリーメイソン中枢を支配するのはイルミナティである。その頂点に君臨するのが13氏族と呼ばれる超大富豪たちだ。
その中でも双璧がロスチャイルド、ロックフェラー一族だ。〝かれら〟こそが、世界各国の中央銀行の〝所有者〟なのだ。
だから、世界の富が怒濤のようにそのフトコロになだれ込む。
人類99%超の合計資産より1%弱の、超富裕層の富の方が多い。
気の遠くなる超格差社会が出現したのも、各国の中央銀行から莫大な富が、〝闇の勢力〟に盗まれているからだ。
つまり、欧米の資本主義はもともと〝腐った〟資本主義なのだ。
中央銀行を国有化している中国は〝クリーンな〟資本主義である。
なんという皮肉なことか……!
もともと資本主義を打倒するために発足した中国共産党が、健全な資本主義を育成、加速している。
そして、資本主義を発展、成熟させるべき先進諸国が、そのすさまじい腐敗と格差にのたうち回っている。
なんどもいうが、現代、資本主義腐敗の根源が、信用創造という名の通貨発行権なのだ。
私が圧倒された海外テレビドラマの秀作がある。
タイトル『ペーパー・ハウス』(写真9)。
Netflix(ネットフリックス) 製作。表向きはスペインを舞台にした犯罪映画(クライムムービー)だ。
しかし、このドラマのモチーフこそ通貨発行権なのだ。『ペーパー・ハウス』とは造幣局のことだ。
男女、さまざまなアウトローたちを招集したのが〝教授〟と呼ばれる首謀者。彼らの目的は紙幣の強奪ではない。紙幣の〝印刷〟なのだ!
彼らは、一様に赤いツナギに画家ダリの肖像を模した仮面を付けている。
本編は3シーズン(各9話)にわたり、全編観るには丸一日はかかる長丁場……。
2シーズン目(8話)、ラストで衝撃モチーフが〝教授〟の口から明かされる。
「……物事には善と悪しかないのか? 今回の作戦と同じことが過去にも起こった。2011年、欧州中央銀行は、1710億ユーロ(約21 兆円:1ユーロ:122円)を発行した。唐突にだ。私たちと同じだ。2012年度には1850億ユーロ。
2013年度には1450億ユーロ。そのカネはどこへ?(造幣局)工場から直接、銀行や富豪の懐へ……。だが、欧州中央銀行は〝泥棒〟か? それを〝流動性注入〟と言うんだ。
この政策は、前触れもなく行われる。これ(紙幣)は、紙切れにすぎない。私 も〝流動性注入〟を行った。銀行のためじゃない。本物の経済はここにある。この〝負け犬〟たちがその担い手だ」
こうして、彼らは何人もの仲間の犠牲を乗り越えて約100億ユーロの金を手に入れる。
銀行強盗ドラマに仮託して、制作者たちは、通貨発行権という名の〝腐った〟資本主義を痛烈に告発しているのだ。
しかし、兆円単位でカネを盗んだ大富豪たちは、ぬくぬくと我が世の春を謳歌している。
それに対して、人質を取って造幣局に立て籠もった彼らには、警察突撃部隊から情け容赦のない銃撃が浴びせられる。
仲間を守って銃弾の雨を浴びる通称〝ベルリン〟の壮絶な最期は涙を誘う。
国家警察が逮捕に向かうべきは、工場から刷りたて紙幣の束を受け取っている大富豪たちの悪魔の屋敷ではないのか!
あなたは、ここまで読んでおぞましさに、吐き気を催してきたはずだ。
中国が未来に目指す〝緑の社会主義〟
ここまで、社会の富が大富豪(イルミナティ)たちに、盗まれていれば、経済が健全に発展するはずがない。
なるほど、中国もかつては、すさまじい汚職の横行に苦しんだ。
それを一掃したのは、新国家首席、習近平の手腕である。
「虎もハエも叩く!」
2012年来、このスローガンのもと、徹底した綱紀粛正で、中国経済は、めざましくよみがえった。
旧弊なマルクスレーニン主義を乗り越え、さらに、〝汚れた〟資本主義をも乗り越えていこうとしている。
汚職が激減した分、中国が推進する資本主義はクリーンになっていく。その勢いは欧米をも凌駕する。
上海、杭州の繁華街の広告ディスプレイ、上海地下鉄では、窓外のトンネル壁面でも「動画CM」。ここが共産主義国家か? と疑うほどだ。
さらに上海、豫園地区の中華料理店街の絢爛豪華さには目が眩む(写真10)。
杭州市目抜き通りの超巨大ビジュアル・ディスプレイには度肝を抜かれた。
それは、縦10m、幅100mはあろうかと思える面積。ニューヨーク、タイムズスクエアも凌ぐだろう(写真11)。
いずれも日本をはるかに凌駕するスケール。彼我の経済格差を嫌でも見せつけられる。
もうひとつ、クリーンになっているのが環境だ。上海、杭州など街にゴミ一つ落ちていないことに驚く。
上海の目抜き通りの街路樹は落葉樹プラタナスだったが、それでも歩道にはほとんど落ち葉がない。
脇道に入った住宅地も路面は清潔できれい。清掃が行き届いている。ゴミの分別収集容器も新しい(写真12)。
日本での各地のゴミ収集場の古さ、汚さを思い出した。ここでも、日本は先を越されている。
杭州市内のガイド役を務めてくれた李さんは30代に見える明朗な青年だ。実際は 49歳と聞いてびっくり(写真13)。それだけ、若々しい。
「政府は、環境都市を指定しています。杭州市もそう。厳しく清掃状態がチェックされます。だから、ゴミひとつ落ちていない」
中国は欧米、日本などを他山の石として〝腐った〟資本主義に決別しているようにみえる。
そして、通貨発行権(人民銀行)を固守し、〝クリーン〟な資本主義を発展させている。
その先の未来に見据えているのは〝緑の社会主義〟ではないだろうか。
すでに、中国の風力発電量は世界一である。
さらに、習近平は「世界トップの電気自動車(EV)大国を目指す」と宣言している。
「100種のEVを生産せよ!」数年で開発予算約12兆円を投資する。乗用車だけでなく、トラック、バス、バイク……あらゆる車種をEVにする。
すでに、中国の著名観光地は緑色のEVバス以外は進入禁止だ。
それほど、大気汚染防止に配慮している。
習近平政権は、「有機農業国家を目指す」と明言している。
中国はすでにアジア最大の有機農業大国である。それは、あまり知られていない。
中国の有機農業は1990年代から始まり、絶え間なく発展している。
すでに、有機栽培面積はオーストラリア、アルゼンチンについで第3位(2016年)。
有機農業の先進国として有名なのがキューバだ。
私は確信する。
中国は、将来〝緑の社会主義〟に向かうだろう。
悪意に満ちた中国報道は日本の恥だ
聞くと見るとでは、大違い――。それが、中国の実情だ。
すでに資本主義も日本を追い抜いているようだ。
上海市内のデパートの巨大吹き抜けには螺旋状エスカレーター。日本でも見たことのない先進技術だ(写真14)。
わずか600万円で人民に供給される平均的住宅は三階建ての〝豪邸〟だ。
しかし、このような中国の現状は、いっさい日本では報道されない。
とにかく、日本での中国報道は悪意に満ちている。
中国に来る直前に見たテレビ報道にもあきれた。
幼い女の子がベランダに頭が引っ掛かって宙づり。その大騒ぎの救出劇。次は土管だな……と思ったら、まさにどんぴしゃ。幼児が土管に落ちて、助けだすのに周囲がてんやわんや。
次のビックリニュースは道路陥没かな……と思えば、まさにそう。歩いていた二人連れの足下の路面が突然抜けて落下。さらに、おっかなびっくりで縁を歩く人も、またもや落下……といったぐあい。
「ベランダ」「土管」「陥没」は、中国トピックの三点セット……(苦笑)。
それにしても、同じような映像が多すぎる。これは、ヤラセではないか? と本気で疑念が湧いてきた。
悪意に満ちた画像ねつ造は、世界メディアを支配する〝闇の勢力〟の御家芸。
このとき、専用の役者(クライシス・アクター)が迫真の演技をする。ボストン・マラソンの〝テロ〟映像も役者たちの〝演技〟だったのだ。
「……日本の中国ニュース、ひどすぎるヨ」
温和な連さんも、顔をしかめる。
「悪いとこしか流さないでしょ。私、日本に30年間来ているけど、とくに櫻井よしこさんはひどすぎるよ。『世界中で中国が好きな国は一つもありません』と言った。あきれたね」
地上波だけで85局のテレビ放送網
いっぽう、中国は共産党独裁国家だ。だから、テレビ放送もNHKのように国営放送、数局くらいかと思っていた。
ところが杭州のホテル(維景国際大酒店)で、地上波局数を数えたら、その数なんと85局……!
討論番組から総合格闘技、料理、通販番組まで、なんでもあり。
トム・クルーズ主演のSF大作『宇宙戦争』まで放映していた。それ以外にもビデオ・オン・デマンドで映画観賞も自由。
「中国のテレビ局は、全部、国営よ」(連さん)
公開番組も多い。目を見張るのは、中国の宇宙開発の現状だ。公開スタジオに打ち上げロケット、人工衛星、月着陸船の各々責任者を招いて、宇宙開発の現状を放映していた。
開発部署『中国航天』はすでにNASA(米航空宇宙局)を凌ぐほどの巨大ロケット(『長征』五号)の開発を完了している。
将来は月への有人飛行を担う。さらに驚いたのは、すでに月裏側に着陸船(『嫦娥』四号など)を過去四回も降下させ、自走ロボットで月面観測を行っている!
テレビ放送をチェックすると微笑ましい通販番組も。肥満に悩む人のビフォー・アフター。
いわゆる健康飲料のCMだが、豊かな中国で、メタボが激増していることがうかがえる。
経済成長と個人体重は〝比例〟して増えている。今回の旅行では毎日三食、豪華な中華料理攻め。深く感謝しつつも正直、食べくたびれた。
今後、中国の健康事情で、「菜食」「断食」の二大療法も大きな役割を果たすことになりそうだ。
金山、銀山より緑の山に価値あり
中国は「緑の社会主義」を目指している。
こう確信した根拠は、習近平が掲げた次のスローガンだ。
――金山、銀山より青山を!――
ガイドの李さんが笑顔で解説する。
「10年ほど前から言っています。黄金の山より、青い山のほうがいい。緑の多い山ほど価値がある、という意味ですね」
中国共産党は、国家最大目標として、人民の「幸福」「健康」「環境」を掲げている。
李さんも笑顔で言う。
「今はバイクだけでなく、電動バスやタクシーもたくさん走っています。大気汚染チェックも厳しい。毎日、PM2・5濃度が発表される。『基準値以下にしなさい!』と監督官庁から指示が出る。
日本の環境庁に当たる環境部が毎日チェック。河川美化を受け持つのが川庁です。毎日、水質検査しています。汚水問題を徹底管理しています」
李さんの話で興味を引いたのがエコポイント。中国は、もうスマホ決済が常識。ほとんどがアリババのソフトだ。
そこで「環境にやさしい」消費をするほど〝緑の点数〟がたまる。車に乗らず……歩く、自転車、電車……。また中古本や古着を寄付すると、その都度、加算される。
ある程度たまると砂漠地帯に自分名義の植樹が行われる。
「私も、もう一本植えていますよ」と李さんはスマホの画面で自慢気。こうして新疆やモンゴルなどで砂漠緑化が進んでいる。
上海の目抜き通りには、道路沿いに植木鉢の花が咲き誇っている。この費用も市民エコポイントでまかなわれている。
「政府がやることを、アリババもやっているんですね」(李さん)
スマホQRコードで物乞い!、〝空気〟を貸し〝カネ〟を取る資本主義、
中国が実現した〝クリーン〟な資本主義、戦争、汚染、格差を産んだ〝火の文明〟、
西洋医学から東洋医学に回帰する中国など・・・
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ザ・フナイ 2020年4月号 マスコミのタブー200連発〈121〉 より
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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家
著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。
『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。
独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。
船瀬俊介公式ホームページ= http://funase.net/
船瀬俊介公式facebook= https://www.facebook.com/funaseshun
船瀬俊介が塾長をつとめる勉強会「船瀬塾」= https://www.facebook.com/funase.juku
著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。