森下敬一 『食べもの健康法』●レンコン
野菜は、皆それぞれに個性のある形をしているけれど、レンコンは、いかにもユニークな姿だ。
あの穴は、水面からずっと下のほうにある根に空気を送るためのもの。
資金繰りに四苦八苦しているある商家のおかみさんは、たまに手があいて台所に立つ機会があると、決まってレンコン料理をつくるという話しを耳にしたことがある。
「見通しがよくなる」という縁起をかついでのことだ。
それは迷信としても、忙しく立ち働く人が、レンコンを常食するということは大いに望ましいことだ。
レンコンは、基礎体力を充実してスタミナを増強し、ノイローゼを防止し、カゼにかかりにくくする効果をもっているからだ。
体力増強効果をあらわすのは、レンコンには利尿作用があって、体内に停滞している老廃物を排泄するので、血液が浄化され、内蔵機能が活発になるため。
ノイローゼ防止に役立つのは、神経の興奮を鎮める作用を持っているため。
そして、腸内の異常発酵を防止して、粘膜の抵抗性を強めるので、かぜにもかかりにくくなる。
これらの薬効は、レンコンをふつうに煮食しておれば得られる。
もし、風邪を引いてしまった場合には、レンコンの節をすりおろし、このしぼり汁に熱湯を注ぎ、はちみつで味を調えたものを飲むと有効。
自然食品店には、レンコンの節の粉末が売られている。
それに熱湯を注いで用いても同様の効果が得られる。また、レンコンのおろし汁をそのまま飲めば、即効のある疲労回復剤だ。
これは主に酵素的な作用によるものと考えられる。はちみつで味をつけたり、ブランデーで香りづけすれば、いっそう美味しく飲める。
レンコンを切って放置すると、切り口は黒っぽくなる。
これはタンニン、鉄が含まれていることを示している。タンニンには収れん性があり、優れた止血作用をあらわす。
そのため、レンコン汁の飲用は胃腸病、ぜんそく、セキに有効だ。レンコンは皮つきのまますりおろすことが大事で、レンコン汁は毎日半カップほど飲めばいい。
このレンコン汁は、カニの中毒や悪酔いにも有効で、鼻づまりや鼻血には、レンコン汁を鼻孔にたらすとよい。
レンコンは植物性粗蛋白の補給源としてもすぐれていて、体に元気をつけ、抵抗力を増す。
このため、特に老年期の人では、時々玄米にレンコンを炊き込んだ、レンコン粥を食べると、体も温まり、老衰防止に役立つ。
さらに、女性と美容のためにも有益。
抹消への血行を盛んにして、皮膚の新陳代謝を盛んにするから吹き出もの、シワが消退する。
加えて鎮静作用があるのでイライラもとれ、熟睡がができ、疲労回復が促される。内臓の調子もよくなり、ハリのある肌になる。
また閉経期の不正出血、過労には、レンコン汁に自然塩を少量入れて飲むと落ちつく。
■ふくろばす(蓮根の油揚げ包み)
材料(4人分)
・レンコン・・・400g
・油揚げ・・・4枚
・にんじん・・・1/2本
・しいたけ・・・中3枚
・くず粉・・・大さじ3
・ごま油・・・小さじ1
・かんぴょう・・・少々
・だし汁・・・5カップ
・しょう油・・・大さじ1と1/2
・自然塩・・・小さじ1
<作り方>
①ボールにおろして汁をしぼったレンコン、糸切りしたにんじん、ごく細切りのしいたけを混ぜ、つなぎのくず粉を入れて混ぜます。さらにごま油を入れます。
※にんじんの量は一つかみ程度です。
②半分に切り、中を開いて熱湯を通した油揚げの口が閉まる程度に①の具を入れ、かんぴょうでしばります。
③だし汁に、しょう油と塩を入れ、②の袋を入れます。
④はじめ強火にして煮立ったら中火に落として、汁気が半分になるまで落しブタをして煮込みます。
⑤冷めたものを再び温めなおすと、味がよく含まれて、おいしく召し上がれます。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。