メンタルと体

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磯貝昌寛の正食医学【第127回】食養指導録 ストレスこそ最高の健康法

メンタルと体

人は緊張すると体の動きが悪くなります。動きが悪いということは、血行不良になっているわけですから、そのままでは大変なことになります。

血行不良の体を改善しようとして、心臓が大きく鼓動します。

緊張すると血液循環が悪くなり、その反動で硬くなった末梢血管へ血液が送り出されるのです。

これが緊張すると鼓動が早くなるワケです。とはいえ、緊張するから体が強張るのか、体に強張りがあるから緊張するのか、どうなのでしょうか。

体に硬さがある人ほど緊張が強いのではないかと、私は感じています。

柔軟性のある人は、緊張を感じたとしてもそれほど体は強張らないのではないか。

多くの人の食養指導を通して感じたことのひとつです。

かく言う私は陰陽を知ったお蔭で緊張の有難さがわかってきました。

緊張する場面こそ体の大掃除になると思うのです。硬い血管や細胞をほぐしてくれる、最高の場面です。

緊張しすぎて手足が硬くなる人は、手足の血行が元々よくないのです。肩こりがひどくなる人は、肩に毒素が溜まっているのではないでしょうか。

腰痛をおこす人は、腰に毒素が溜まっているのでしょう。緊張すると頭が真っ白になってしまうという人は、腸と脳の血流がよくないと思うのです。

緊張した時こそ体をキレイにするよい機会です。

深い呼吸をして問題のある患部へ血液と気がよく流れるよう想像します。

心臓が大きく鼓動してくれているのは全身の大掃除です。

全身の大掃除をしてくれる心臓に感謝して深い呼吸をしているといつの間にか緊張が解けています。

私たちの体に訪れる様々なことには一切、無意味なことはありません。

何らかの意味があります。物忘れがひどかったり、すぐにカッとなってしまったり、一見するとネガティブなことですが、これらのことにさえ意味があると思うのです。

家のカギを閉め忘れた(ような気がする)。ガスを消し忘れた(ような気がする)。ズボンのチャックを閉め忘れた(ような気がする)。

年とともに多くなる「ような気がする」現象、みなさん、ありませんか?

家を出た後に、カギを閉めたかどうか確認するために家に戻ること、よくありますね。

物忘れがひどくなると、「ような気がする」ことさえ忘れてしまいますから、大変なことです。

「ような気がする」現象があるうちはまだ、認知症ではないのかもしれません。

「ような気がする」現象は、脳を活性化させる有難い反応です。

家のカギを閉め忘れたような気がして、家に戻れば、その分ウォーキングができて、よい運動になります。

足が動けば脳も動きます。ガスの消し忘れも同じです。

ズボンのチャックを閉め忘れたかどうかを確認するのは、もっとすごい刺激になります。

人前で話している時に、「アレッ、さっきトイレに行ってズボンのチャック閉めたっけな?」なんていう気が出てきたら、話の内容とチャックのことを同時に考えなくてはなりませんから、これほど脳を活性化させることはありません。

冷や汗かきながら話をするわけですから、頭だけでなく、体も活性化します。

ような気がして、それに対して行動すれば、身心が調和されるのです。

「ような気がする」現象の9割は記憶力の低下です。鍵を閉めたけれど、閉めたかどうかの記憶があいまいになっているのです。

脳は体の中で一番活性化しているトコロです。一番敏感なトコロでもあります。

敏感でデリケートであるがゆえに頭蓋骨という硬い骨に守られているのです。

腸と脳をキレイにする心

脳は活動の司令塔です。感じること、考えることの中枢が脳です。

脳は頭蓋骨に覆われ、体の中で一番高い位置にあります。

首や肩、背中のコリは脳へ汚い血液を上げさせないために起こっていると考えてもいいのです。

脳へ流れる血液は、脳の質量からは考えられないくらい多量の血液が流れ込みます。

脳は体の中で一番キレイを保っている所でもあります。

ですから、そう簡単に脳へはアプローチできない。体の大奥といっていいのです。

脳の疾患は、治るのにもっとも時間のかかる部位のひとつです。

一方で、硬い骨にも覆われず、外の世界とダイレクトに繋がっているのが腸です。

腸は外の世界の情報を体に取り込み、脳で様々なことを発信しています。

魅力的な発言をするのもバカな発言をするのも、元をたどれば食べ物や環境に大きく左右されているのです。

住む場所が違い、食べ物が違えば、当然、思考も変わったものになります。

世界には様々な宗教と習慣がありますが、これらもみな食と風土、環境の違いと言っていいのです。

日本人の特徴的な粘り強さは、日本特有のお米にあるといってもいいと思います。

学問の世界でもスポーツの世界でも、日本人は目を見張る粘り強さを発揮します。

小腸の細胞は24時間で代謝するほど活性化しています。丸一日で小腸の細胞は生まれ変わるのです。

一日一生を小腸は実演しているのです。

一方で脳細胞は過去を捨て去ることはせず、常に新しい情報を書きこんでいる。

体細胞は代謝型なのに対して、脳細胞は蓄積型です。五感から入ってくる情報を脳は蓄積しながら処理しているのです。

そして、脳と深くつながっているのが、外の世界とダイレクトに繋がる腸なのです。

腸をキレイにすると脳が活性化されます。腸から受け取る情報を蓄積するのが脳でもあるのです。

腸と脳は双方向性でもあります。一方通行ではないのです。

腸から脳へ、脳から腸へと血液と情報が行きかっています。その道幅は、腸から脳への方が断然大きい。

脳から腸への道幅が狭い路地だとすると、腸から脳への道幅は高速道路の三車線ほど太くて大きいものなのです。

腸がキレイになると、大きな悩みごと( と感じていること)も解消されてしまいます。

脳からのネガティブな情報よりも腸からのキレイな血液と情報が大きく上回るからです。

腸がキレイになると身に降りかかる一見不幸とおもわれる出来事であっても、なぜかそれほどのショックを受けないのです。

腸からキレイな血液が脳へどんどん送り込まれますから、ショックを上回ってしまうのです。

大きな借金を抱えてしまっても、腸からキレイな血液が脳へどんどん送り込まれますから、気が滅入るよりも「どんどんハタライテ返していこう!」「借金のお蔭で元気に働いていられる、ありがたいなあ~」という心境になるのです。

借金地獄、ローン地獄などといわれますが、腸がキレイになって血液と細胞がキレイになったら借金天国、ローン天国になります。

この世を天国とするのも地獄とするのも心の持ちよう、体のありようです。

心は腸と脳のありようそのものです。

私は天国に行ったことはありませんが、この世ほどおもしろいものはない、この世こそ天国ではないかと思うのです。

この世を天国とするのも地獄とするのも腸次第、食べ物次第ではないでしょうか。

「悩み」というものが、腸と脳をつなぐパイプをキレイにしようとして引き起こされているのですから、ありがたいことです。

月刊マクロビオティック 2021年7月号より

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磯貝 昌寛(いそがい まさひろ)

1976年群馬県生まれ。

15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。

食養相談と食養講義に活躍。

マクロビオティック和道」主宰、「穀菜食の店こくさいや」代表。