森下敬一 健康談話 より
━■健康談話■━
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 月刊誌「森下自然医学」掲載 「温故知新」から引用
━■ 健康談話(カゼと自然食)■━
(前略)
<クズ、モチはカゼの妙薬>
鼻の奥がなんとなくムズムズしたり、のどがカラカラした状態になり、どうもカゼを引きそうだなと感じた時に、すばやく先手をうつ……これが、カゼを回避するコツだ。
そのタイミングが大切である。
その場合の手当法として、最適なのがクズ湯である。
クズ粉は、周知のとおりクズの根の澱粉だ。このクズ粉はカゼの他に、冷え症、肩凝り、低血圧、神経痛、リウマチなどにも有効。
このような効果をあらわす薬効成分は、ダイゼインという配糖体らしいと考えられている。
これは、運動筋の病的な痙攣や緊張をゆるめるため、皮膚・粘膜の機能を正常にする働きをもっている。
また、腸の働きを整え身体を温める作用もあるため、体力の回復や精神の安定化にも著しい効果をあらわす。
モチは消化が悪いと誤解されているが、実際は体力・氣力の増強に役立つ食べ物である。
ただ、一般に食べられているモチは、精白モチ米で作られたモチであるために、いろいろな害作用があらわれる。
とくに、ビタミン欠乏食品であるために腸機能の失墜を招き、カゼを引きやすくなる。
またA、Cも欠乏しており、脂肪代謝が障害されるからニキビができやすくなり、肥満しやすくもなる。
玄米モチでは、こんな弊害は一切生じない。それどころか、玄米モチは内臓を温めてその機能を強めることによって、身体に元氣をつけ、氣力も大いに増してくれるのである。
<カゼの自然療法>
話したり考えたりという日常の基本的行動において、さしさわりがでるから、カゼというのはなかなか厄介な病氣だ。
カゼを引いたからと、いちいち病院へ行くわけにいかないし、第一、本当に正しいカゼの治し方を教えてくれる病院がどれだけあるだろうか。
というわけで、カゼの治し方は誰でもが心得ていなければならない。
一般的に言われている次のような事柄も有効だ。
すなわち、種実類を積極的に摂る、大根を大いに活用する、薬草茶を飲む、皮膚を鍛練する。
現代日本人は本物の植物油を摂っていない。
動物性脂肪や抽油剤使用の粗悪な植物油を用いているため、肝臓が傷めつけられたり血液の粘稠性が異常に高くなって、身体の抵抗力を著しく減退させてしまっている。
そこで肝臓機能を強化し血液を浄化させ、スタミナを増強させる働きのあるゴマやクルミ、松の実などの木の実を大いに摂るとよい。
大根はすぐれた消化酵素ジアスターゼを含んでいる。現代日本人は美食の過食をしているから、消化酵素は大いに減退している。
その復活を計るためには、大根を大根おろしとして活用するとよい。
クコ、カンゾウ、ヨモギ茶などの薬草茶は、腸を整え血液をきれいにする効果があるから身体の抵抗力を蘇えらせて、カゼを早く治すのに効果的である。
中国ではカゼをひいた時はセンブリをよく用いる。センブリは胃腸病に卓効をあらわす薬草だ。
カゼの根本原因が腸機能の乱れにあることを考えれば、まことに合理的な処方といえる。
皮膚は機能的に呼吸器系と密接な関係がある。
皮膚を鍛練すると、組織呼吸をなめらかにすることになるから、基礎体力が増強され、身体の抵抗力はうんと高められる。
乾布摩擦、日光浴、薄着の習慣をつけることなどは、ぜひ実行したい。
以上に加えて、次にあげる自然医学的療法も大いに有効だ。
これらを参考に、自分の体質に合った治し方を早くみつけることが大事である。
さて、自然医学的なカゼ根治法の第一は、ものを食べないこと。
正常な食欲がないのに、いつもどおり食べようとすると、悪食をしがちになるから、玄米・菜食をしたくなるまで絶食した方がよい。
また絶食は胃腸を休めることができ、最も効果的に生理機能の休養がとれる。
次に、温かくして十分な睡眠を取ることである。体を温めると新陳代謝が促進され、熟睡によって自律神経のリズムが整い、回復が早められる。
体を温めるには、薬湯に入ったり、本物のクズ粉で作ったクズ湯を寝る前に飲むとよい。
そしてレンコンのおろし汁を飲むのも有効だ。レンコンは呼吸器系に特異的な効果を現す食品である。
レンコンをすりおろし、ガーゼなどで絞った汁にショウガ汁を数滴落として飲む。
ショウガも発汗を促し、カゼには大いに有効だ。適当に熱湯を加えたり、純粋なハチミツで甘味をつけて飲んでもよい。
黒豆10グラム、ヨモギ10グラムを煎じて飲むのも効果的である。黒豆は強壮食品であり、セキの妙薬。ヨモギはすぐれた整腸・浄血効果をあらわす。
きわめつけは、焼き味噌にネギを刻みこみ、熱湯を注いで飲む方法。焼き味噌は整腸とともに体内に停滞している水分を排泄して身体を温める。
ネギは、代謝を促進し粘膜を強化する。というわけで、ひきはじめのカゼなら一度飲んで身体を温かくして眠れば、ウソのように治ってしまう。
森下敬一 拝
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。