6月から10月は、食中毒シーズン【食中毒の原因】 

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森下敬一 健康談話 より

━■健康談話■━

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月刊誌「森下自然医学」掲載
「温故知新」から引用

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温かくなるこれからは食中毒シーズン、細菌性の食中毒がとくにおこりやすい季節です。

食中毒には分類すると、細菌によっておこるもの、有毒成分を持つ食品によっておこるもの、化学的薬物によるもの、アレルギー反応としておこるものなどがあります。

細菌性の食中毒に焦点をしぼれば、同じものを食しても抵抗力の弱っている人に発生することになり、つまりそうならないためには、腸内細菌の性状を狂わせる条件をつくり出さないように注意することが大切。

われわれの健康に必要のない動蛋食品(肉、牛乳、卵など)を極力口にせず、玄米・菜食の原則にかなった食生活で、腸内細菌群のバランスを保持すれば、食中毒とも無縁でいられるはずなのです。

6月から10月は、食中毒シーズンといわれる。

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つまり細菌性の食中毒がとくにおこりやすい時期なのである。「細菌性の」と断ったのは、食中毒には細菌によっておこるものの他にもいろいろとあるからだ。

そこでまずどんな食中毒があるかを簡単に述べておこう。

第1は細菌によっておこる食中毒。

菌の代表は、腸炎ビブリオ菌、ブドウ状球菌、サルモネラ菌、ボツリヌス菌などである。

これらの細菌は「感染型」と「毒素型」の2つのタイプに大別できる。感染型とは細菌が体内に入ってから繁殖するもので、腹痛、下痢を主とした、いわゆる食あたり症状を強くおこす。

それに対して毒素型は、食品中で繁殖した細菌がすでに毒素を生産しており体内に入ると、食あたり症状に加えて、頭痛やめまいなどの毒素による中毒症状もおこりやすい。

第2に、有毒成分を持つ天然の食品によっておこる食中毒がある。

フグ、毒きのこ、じゃがいもの新芽、未熟な青梅などによっておこる食中毒が、
その代表例。

第3は、化学的薬物によっておこる食中毒。

食品添加物(合成保存料、化学調味料など)、農薬(BHC、有機水銀など)、PCB、フタル酸エステル、鉛など、生体にとって異物となる有害な化学物質が、食品に含まれていることがもとで引きおこされる食中毒である。

第4は、アレルギー反応としておこる食中毒。

これは体質的に食品の処理がうまく行えないために、拒絶反応として食中毒をおこすものだ。

とくに食中毒をおこしやすいのは、肉、牛乳、卵、サバ、ブリ、カニ、エビなどで、食中毒と同時にジンマシンを起こし易いのが特徴。

食中毒はふえている

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以上の各種の食中毒のうち、時節柄、今回は細菌による食中毒に焦点を絞って考えてみよう。

細菌性の食中毒は、衛生思想がゆきわたり、文明が発達して食品の保存や輸送がうまくおこなわれるようになれば、少なくなっていいはずなのに実際はどんどん増えているのである。

確かに赤痢は減った。

もっとも数は減ったけれど耐性菌となって悪質化しているので、また別の問題はある。が、ともかく数は減っている。

罹患数は年間3万人以下だ。

しかし赤痢類似疾患には倍の6万人以上がかかっていて、年に300人前後は食中毒で命を落としている。

まず、衛生思想が浸透したからといって、食中毒防止にはあまり力とならない。

汚れた布巾やまな板の使用はやめる。食品に触れる手は清潔にする、ネズミやゴキブリ、ハエの駆除をする……などということは常識。

だが、それを徹底的にやったからといって細菌を全滅させられるわけではない。

1匹でも残っておれば、細菌の繁殖力は旺盛だから、じきに勢力をもりかえす。

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それより、あまりに清潔ということに神経をとがらせすぎて、洗剤や殺菌剤、殺虫剤を多用することによって、体を弱体化させている危険性のほうがむしろ問題だ。

また、新鮮なものを食べておれば食中毒が防止できる、とは必ずしもいえない。

海から今釣り上げたばかりという魚を食べて食中毒をおこす例さえあるのである。

それより何より、現代の機械文明そのものが食中毒を生みやすい状況をつくっているといえる。

食品の大量生産技術が発達したこと、集団で人間が移動する機会を多くしたこと、食肉のようなナマ物までもがどんどん輸入されるようになっていることなど、どれもが食中毒の危険性を大きくするものばかりだ。

生魚につく腸炎ビブリオ菌

最近とくに多くなっているのは、腸炎ビブリオ菌によっておこる食中毒である。

この腸炎ビブリオ菌は、またの名を好塩菌という。コレラ菌の仲間だ。その名のとおり、適度な塩分があるところに好んで繁殖する。

最もよく繁殖するのは、海水程度の塩分(3~4%)を含んでいるところで、温度が20~30度のとき。

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釣り上げたばかりの魚を食べて食中毒をおこす例は、この至適条件の中でおこるものだ。漁に出て、船の上でとりたての魚をサシミにして食べたときにおこる。

とれたてが、まさに菌のつきたてという状態になっているから、食べた数時間後に激しい胃痛と吐き氣、そして血便……というコレラ類似の症状を呈する。

ただし、この腸炎ビブリオ菌は熱に弱いので、十分に加熱して食べれば大丈夫だ。

日本人の多くは、新鮮なサシミで一杯やるのを無上の喜びとするが、これは甚だ危険といわなければならない。

ただし、腸炎ビブリオ菌のせいだけではなく、別のマイナス条件もあるためだ。

一つは、魚を部分食する害。

骨も皮も去り、筋肉の一部だけを摂るのだから、必ず代謝障害がおこる。

また、ただでさえ現代日本人の胃腸機能は弱体化しているから、ナマ物の処理は荷が重すぎる。

とにかく、食中毒の防止のためには、魚貝類は極力、十分に加熱して食べることを心がけたい。

加熱に強いブドウ状球菌

腸炎ビブリオが感染型食中毒の代表格なら、毒素型の代表はブドウ状球菌である。

集団食中毒をおこしやすいのもこの菌だ。人が集団で移動すれば、集団で食事を摂ることになる。

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仕出し弁当などはつくりおきをするから、当然ナマ物は敬遠するが、それでも食中毒はおこる。加熱調理ずみの食品に繁殖しやすいのはブドウ状球菌だ。

ブドウ状球菌は調理人の手の傷口などから入るといわれるが熱に強い。

加熱によって他の細菌が追放された後で、しかも栄養豊富で適度の水分のある調理品は、ブドウ状球菌にとって最高の場所だ。

食中毒は当然、体の抵抗力の弱っている人に発生しやすいから、「敬老会で大量食中毒」といったニュース種になりやすい。

それもそのはずでブドウ状球菌の強さの程度はいろいろあるが、調理食品に繁殖しているものの約50%はかなり毒性の強い菌だといわれる。

それゆえ、高校などの若者の集団で発生するケースも多い。

肉食者をねらうサルモネラ菌

動蛋食品愛好者がねらわれやすいのはサルモネラ菌である。

まず、肉はほとんどこの菌に汚染されていると考えてよい。

とくにナマ煮え、ナマ焼き状態で食べるのはよくない。ホルモン焼とか、焼トリなどは軽く焼いて食べるほうがおいしいといわれているが、これは危ないわけだ。

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肉をサシミで食べることなど言語道断である。

また、サルモネラ菌は卵とも縁は深い。

卵はほとんどがサルモネラ汚染されていると考えてよい。それで、水洗いして冷蔵庫にしまったりするが、その水洗いがまたいけない。

つまり、洗うことで、卵の殻の表面にあるムチン成分でできている膜がとれてしまうから、サルモネラ菌は内部に侵入しやすくなる。

食中毒菌が体内に居ついてしまうこともあるといったが、それはたいていこのサルモネラ菌だ。それだけ悪質な菌ともいえる。

このサルモネラ菌は、動蛋食品のあるところ、どこにでもいると考えなければならない。

とくに要注意のものは、輸入肉、肉の燻製品、ケーキなどに使う粉末卵など死物になってから、口に入るまでの経過の長いものほど、危険性は高くなるわけだ。

とはいえ、われわれの健康にとって動蛋食品(肉、牛乳、卵およびそれらの製品)は、いっさい必要のないものだから、それらを口にしなければ、それらが媒介する食中毒とも無縁でいられるはず。

むしろ食中毒以上に血液の酸毒化による体質の悪化のほうがより深刻な問題。

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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士

お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者

東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。

新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。

独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。

著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。

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