東洋医学の陰陽五行の立場から赤色が与える影響について

シェアする

マクロビオティック one テーマ30 文)ムスビの会主宰 岡部賢二

色には、それぞれ物理的、生理的、心理的な働きがあり、これをファッションやインテリア、料理の盛り付け、テーブルコーディネイトなど生活の中に上手に活用することで、心地よいエネルギーを得ることができます。

前回の青色につづき、赤色が与える影響について、東洋医学の陰陽五行の立場から見て行きましょう。

初夏のデイゴやハイビスカスの赤

夏を管理する心臓・小腸の経絡は、血流を高めて熱の循環や放熱を促す臓器です。

沖縄では初夏に咲く真っ赤なデイゴの花が県花になっていますし、南国ハワイの空港やホテル、民家の庭先に植えられている最もポピュラーな花も赤色のハイビスカスです。

赤色は心臓と共鳴し、その働きを高めてくれるので、心臓の負担が増える南国では赤色が好まれるのでしょう。

赤は躍動の色と言われ、エネルギッシュで行動的な状態を表します。

身体面では血液の循環を促し、熱と共鳴して体を温めたり、食欲を増進させる作用があるとされています。

そのため、昔の日本女性の下着である腰巻きには赤色が用いられていましたし、金太郎の腹巻きが赤色なのも、お腹や下腹部を冷やさないためだったのでしょう。

今、冷え症の女性が増えているので、赤色の下着は冷え対策にピッタリですね!

焼き肉・焼き鳥屋さん、ハンバーガーショップの看板に赤色が多いのは、食欲をそそるという狙いがあるからでしょう。

私は、夜の街に赤ちょうちんがともっていると、つい入りたくなるのですが、どうも人間の目は暗くなると赤色に反応しやすくなるようです。

赤色の文字がセールの値札に使われるのは、目を引く効果もありますが、衝動的な行動を促す意味もありそうですね。

陰陽では赤色が一番陽性な色

ハートマークに象徴されるように、赤色は情熱や恋、トキメキを表す色でもあります。

好きな人を前にすると心臓がドキドキするように、トキメキ感と心臓、赤色は共鳴することがわかります。

赤色は陰陽では一番陽性の色で、女性が口紅を塗ると華やかさが演出され、男性を引き寄せる求心力が働きます。頬に紅をさしたりするのも同様です。

バラの花を女性に贈ると喜ばれるのは、赤色に相手のハートを射抜く力があるからでしょう。

拒食症の方に、赤色やオレンジといった暖色系の服を着せたり、部屋を明るい色調に変えたら改善した例があります。

トキメキが最近感じられない、といった方もぜひ、赤色食材や赤色の服を活用してみてください。

しかし、赤色が過ぎると問題を起こすこともあります。

赤色には激怒、興奮、闘争、革命、戦闘といった意味もあります。

興奮すると顔は赤くなり、赤い布を見ると牛は興奮し、戦闘的になります。

革命の旗印は赤色で、労働組合の旗や、革命によって生まれた国の国旗にも赤色が多く用いられています。

赤色は血液と共鳴し、生命に直結する色だから血が騒ぐのでしょう。

緊急車両のサイレンやボディに赤色が使われるのも、交感神経が緊張するからです。

赤には緑や黒を

人間も赤い血がしたたる肉料理ばかり食べていると、興奮し、激こうしやすい性格になりやすいです。

赤色の補色は緑色なので、肉料理には緑の野菜をたっぷり添えるようにしましょう。

そして、赤色の激しさを抑える色が黒色です。

赤いスーツに、靴や帽子、マフラーなどに黒色を添えるとシックになります。

食べ物では、鉄火丼やいくら丼に海苔、梅干しに醤油、赤飯にごま塩、肉に黒コショウ、マグロに醤油、小豆に昆布といった組み合わせをすると見た目がきれいになるだけでなく、味もよくなります。

梅干しや三年番茶味噌、赤米も利用

心臓の力が弱ると不整脈や動悸といった症状が現れるので、そういう時には赤色の梅干しと三年番茶の入った梅醤番茶で整えることができます。

八丁味噌を用いた味噌汁や赤味噌をつけて焼いたコンニャクや豆腐の田楽、人参と八丁味噌などの赤色食材によって作られた鉄火味噌、タカキビのハンバーグやコロッケ、赤米入りごはんやクコの実入りのおかゆといったものも強心剤としてぴったりです。

熱の循環が滞る熱中症の予防薬には、梅醤油番茶や初夏から夏にかけて出てくるサクランボやジューンベリー、トマト、ラディッシュが、過剰な熱を冷ます天然の冷却材として働きます。

お肉が好物で、赤ら顔で暑がり、汗かきという方にピッタリの食材です。

また、腸管造血説では血液は小腸で作られていると言われているので、梅醤番茶は貧血の改善も期待できます。

夏場に向けて、赤色を上手に使ってみてください。

【こちらもオススメ】

青色は肝臓の経絡と共鳴【色彩心理学と陰陽五行】

ふれあいから放出される「オキシトシン」の効果

ヨモギの一番の効用は浄血作用【血液の浄化装置である肝臓と胆のうの働きを良くする】

月刊「むすび」 2018年05月号より

正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。

マクロビオティックの料理レシピや陰陽理論、食生活、子育てや健康、環境問題など幅広いテーマを取り上げています。

ぜひ、あなたも「むすび」誌を手にとってご覧になってみませんか?

サイトの方はこちらから: 正食協会

Profile おかべ・けんじ

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。

日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。

2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。

著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、

家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。

ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com