月の周期律と陰陽五行

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マクロビオティック one テーマ23 月の周期律と陰陽五行 (文)ムスビの会主宰 岡部賢二

リンクしている月と太陽の周期律

地球は太陽の周りを365日かけて公転しています。

その周期率を組み込んで作られた太陽暦では、地球が太陽の周りを一周するスタートの日を春分(太陽黄経0度)、そこから90度移動した日(春分の日から約90日)を夏至、夏至から90度移動した日を秋分(太陽黄経180度)、秋分からさらに90度移動した日を冬至(太陽黄経270度)と決めています。

月は地球の周りを約30日のリズムで公転しています。

その周期律が取り込まれた太陰暦では、新月、上弦、満月、下弦というように約1週間単位で月が移り変わります。

実は、月の周期律と太陽の周期律はリンクしていて、新月は春分、上弦は夏至、満月は秋分、下弦は冬至にあたります。

また、太陽暦では、地球が春分から45度移動した日を立夏、夏至から45度移動した日を立秋、秋分から45度移動した日を立冬、冬至から45度移動した日を立春としています。

また、立春、立夏、立秋、立冬の前の18度(約18日間)を土用といい、季節の調整期間とみなしてきました。

季節では、立春から立夏の前の土用までを春、立夏から立秋の前の土用までを夏、立秋から立冬の前の土用までを秋、立冬から立春の前の土用までを冬としています。

それぞれの季節は約72日間で移り変わります。

月の周期でいうならば、新月の3~4日前から3日後までを春、上弦の3~4日前から3日後までを夏、満月の3~4日前から3日後までを秋、下弦の3~4日前から3日後までを冬に相当する時期と見ることができます。

月の周期と臓器の関係 周期律に合わせて食べる

陰陽五行の世界では、春の時期は肝臓と胆のう、夏の時期は心臓と小腸、秋の時期は肺と大腸、冬の時期は腎臓との経絡と共鳴関係にあるとされています。

春は肝臓・胆のう系が、夏は心・小腸系が、秋は肺・大腸系が、冬は腎・膀胱系がそれぞれ弱りやすいので、それぞれの臓器を強化する食材や食べ方を心得ることが大切です。

季節と臓器に関係性があるように、月の周期と臓器にも関係があるのです。

月の周期律で春に相当する新月期には肝臓が、夏に相当する上弦期には心臓が、秋に相当する満月期には肺が、冬に相当する下弦期には腎臓が弱りやすいのです。

このことがわかれば、月の周期律で食べ物を変えればよいということになります。

肝臓系と心臓系を強化する食材

肝臓系は酸味や青(緑)色の食材、穀物では麦が食薬になります。

肝臓の不調から来る生理痛、生理前緊張、眼精疲労、硬直、麻、けいれん、突発的に起きる心筋梗塞や脳梗塞、痛風、風邪といったトラブルがあれば、新月の3~4日前から3日後までの約1週間の食事について、肝臓を強化する類、アミノ酸を多く含む味噌、醤油、漬物、梅干し、梅酢、米酢、ポン酢、緑黄色野菜や野草といった食べ物を増やすとよいでしょう。

心臓系は苦味や赤みのある食材、キビやタカキビが食薬になります。

心臓の不調から来る高血圧や動、不整脈、冷えのぼせ、立ちくらみといった症状があれば、上弦の月の3~4日前から3日後までの約1週間の食事を、心臓を強化するタカキビ、人参、梅干し、赤味噌、三年番茶、黒炒り玄米スープ、タンポポコーヒーといった赤みや苦味を含む食材を増やすようにしましょう。

肺・大腸、腎・膀胱系の食材と土用の過ごし方

肺・大腸系は辛みと白色の野菜、玄米が食薬になります。

気管支炎や肺炎、セキ、タン、ぜんそく、鼻炎や皮膚炎、便秘、大腸炎、自己免疫疾患といった症状があれば、満月の3~4日前から3日後までの約1週間の食事を、肺系を強化する玄米ごはん、大根、玉ネギ、白ネギ、生姜、レンコン、自然、葛、きのこ類といった辛みと白色の食材を多めに食べるとよいです。

腎・膀胱系は塩味と黒色の食材、小豆が食薬になります。

婦人科系のトラブル全般、ホルモンバランスの乱れ、冷え症、むくみ、排尿障害、記憶障害、下半身のトラブルがあれば、下弦の月の3~4日前から3日後までの約1週間の食事に、小豆ごはん、小豆かゆ、小豆かぼちゃ、根菜類の煮物、乾物料理、海藻料理、黒胡麻、黒米、黒豆といった腎を強化する食材を取り入れるようにしましょう。

また、新月、上弦、満月、下弦から3~4日目が土用にあたる周期なので、この時期にはごはん、味噌汁、漬物といった素食で過ごすことをおすすめします。

月の周期律と五臓の関係性がわかれば、1週間単位でメニューをプランニングすることが容易になります。ぜひ、日々の生活の中で、月と五行の周期律をご活用ください。

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月刊「むすび」 2017年11月号より

正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。

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Profile おかべ・けんじ

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。

日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。

2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。

著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、

家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。

ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com