マクロビオティック one テーマ27 静電気と病気 文)ムスビの会主宰 岡部賢二
静電気が発生する仕組みは
冬の空気が乾燥する時期は、静電気が発生しやすくなります。玄関のドアを開けた時や服を着替える時にパチパチという音がしたり、ピリッとしたりという経験はありませんか。
実はこの静電気が体に溜まるとさまざまな問題を引き起こします。そもそも静電気とは一体何でしょう。物質同士がこすれ合うと摩擦が生じます。
すると一方の物質から電気の粒(陰電子)がはじき飛ばされ、電気的に不安定な状態になります。
このとき、不安定になった物質は安定を求めて他の物質から電子を奪おうとするため、引き寄せる力が生まれます。これを静電誘導と言います。
電子を奪われた物質は、さらに電子を取り返そうとして奪い合いの連鎖が生じ、その結果、静電気が発生するとういわけです。
婦人科のトラブルも引き起こしている
例えば、テレビ画面には静電気が溜まっているため、静電誘導によって空気中のホコリやチリが引き寄せられて付着します。
これと同じように、体に静電気がたまるとスカートが脚にまとわりついたり、髪がパサついてまとまりにくい、服や髪にほこりがつく、ストッキングを履くと足がムズかゆいなどの症状が現れます。
本来であれば、静電気は空気中の水蒸気で抜けるのですが、空気が乾燥する冬場は、静電気が逃げ場をなくし、水気の多い人体に滞ってしまうというわけです。
実は、最近増えている婦人科のトラブルにこの静電気がかかわっています。
なぜなら、合成繊維の下着やナプキン、または下着とストッキングの間で摩擦が生じると静電気が発生します。
そして、体内に帯電した静電気がスパーク放電(火花)を起こし皮膚に微細な傷を生じさせ、その傷から静電誘導によって細菌やウイルスが引き寄せられて侵入してくるのです。
こうして、膀胱炎や膣炎、子宮内膜炎、カンジダ菌の感染などの症状が現れやすくなります。
フリースは要注意 オーガニック綿が○
合成繊維の中でも特にフリース素材として用いられているポリエステルが静電気を発生しやすいので注意が必要です。
こうした素材の服を身に着けていると、静電気によって皮膚に生じた傷から細菌が侵入し、アレルギーや肌荒れ、花粉症、感染症などを引き起こしやすくなります。
また、静電気によって血液中のマイナスイオン(陰電子)が奪われると血液がドロドロになるため、血流が悪くなります。
神経痛やリウマチといった痛みを伴う症状は血流の悪さから引き起こされるので、身に着ける衣類にも気をつけましょう。
対策としては、静電気を発生しにくいオーガニックコットンの下着や絹のストッキング、布ナプキンなどがすすめです。
絹や麻、木綿といった天然繊維には保湿作用があり、繊維自体にマイナスイオンが含まれているので、静電気が発生しにくくなります。
また、発酵染料である藍染の服もよいですね!マイナスイオン供給効果の高い藍染の服を着出してから、神経痛の痛みが治まったという例もあるくらいです。
部屋を加湿して四隅に炭を置く
静電気は空気中に水分(湿気)があれば、その中に放電されるので問題を起こしません。
問題は空気の乾燥で、特に空気中に水分が少なくなる冬場は、放電できない静電気が水分の多い人体に蓄積されてしまいます。
ですから加湿器などを用いて部屋を適度に加湿しておけば静電気の発生が防げるだけでなく、肌荒れや感染症などのトラブルを予防することができます。
乾燥肌の人ほど静電気をためやすいので、皮膚の保湿をこころがけましょう。
水蒸気にはマイナスイオンが含まれるため、静電気を無害化するだけでなく、電気製品等から発生するプラスイオンが好きなウイルスを死滅させることもできます。
昔ながらの石油ストーブならその上に鍋やヤカンを置いてコトコトと煮ていれば空気中に水蒸気が補給され、静電気が発生しにくい状態を作り出すことができます。
さらに、体の中にマイナスイオンを供給してくれるのが炭です。炭にはマイナスイオンを射する働きがあるので、部屋の四隅に置くとよいでしょう。
食べ物を蒸し焼き焙煎した昆布や梅干、ナスや玄米の黒焼きにも同じ効果が期待できます。
玄米を長時間焙煎した黒炒り玄米に20倍の水を加えて煮出した黒炒り玄米スープは、静電気の中和剤、皮膚の保湿剤としておすすめです。
自然な素材の服と部屋の加湿、炭によって、静電気に負けない元気な体作りをしてくださいね!
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月刊「むすび」 2018年03月号より
正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。
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Profile おかべ・けんじ
大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。
日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。
2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。
著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、
「家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。
ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com