病気を治すのは医者やクスリではなく自分自身の自然治癒力、免疫力を引き出すこと

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小澤博樹 連載コラム

まずこのことを考える前に、自然環境下に生息する野生動物について考えてみる必要性がある。

彼らは人とは違い病気や癌にならない。野生動物は本能的に自然の法則に即した生活を営んでいるからである。

しかし、人が飼料を与え飼育するペットや家畜、動物園の動物などは人と同様に発病、発癌する。

食品添加物、抗生剤、ホルモン剤などを加えた不自然な飼料を与えられ、不自然な環境下に置かれるからである。

また人が、ダイオキシンなどの化学物質により環境汚染を発生させ、その影響で発病する野生動物もいる。

結局、人が動物の発病、発癌にすべて関わっているのである。 

野生の草食動物は当然ながら草を食し、肉食動物は肉を食す。草食動物は草を、肉食動物は肉を食すに適した体の構造をもっているからだ。

動物の嘴や歯の形状でその動物の食性が決まる。

例えば、草の実や昆虫類を食すスズメやフィンチの仲間は短く小さな嘴を、ワシやタカなどの猛禽類はウサギやネズミなどの小動物を食すに適した鋭く大きな嘴をもっている。

牛や馬の仲間のような草食動物は門歯、臼歯が発達し、トラやライオンのような肉食動物は犬歯が発達している。

雑食性といわれるクマは、前方に鋭い犬歯が、奥にいくほど丸味を帯びた臼歯となっており、これらは魚、小動物、果実、野菜など雑多なものを食すに適している。

では人の歯の形状はどうか。人に適した食物とは何か。

人の場合臼歯が20本あり、これは穀物、つまり米、麦、ソバ、アワ、ヒエ、キビ、豆などを噛むためのもの、門歯は8本あり、野菜や海藻を噛むためにある。

その他犬歯が4本あるが、人の犬歯は丸く肉を食すには適さない。この犬歯がない人もいる。

これらのことから、人に適した食材とは穀類、野菜、海藻である。肉や魚、牛乳、乳製品、砂糖は不適切である。

また、野菜や海藻に含まれるビタミン類や酵素類を破壊するという理由から、生食をすすめる向きもあるが、これは間違っている。

もし生食ばかりをすれば、人としての理性や知性が発達せず野生動物のようになってしまう。

食材に火を加えて調理をし、これを食せば人間としての理性や知性が発達する。もちろん体質によっては生食が必要な場合もある。

人の場合、穀物を噛むための臼歯の数が犬歯や門歯より多いことから、主食は当然穀物(玄米)となる。

その代用食としては、全粒粉のうどんやそうめん、ソバなどである。

8分の5は主食としての穀物であり、8分の3は野菜、海藻の副食となり、人にとってこれが主食と副食の妥当な摂取比率となる。

また人は、繊維の多い植物性の食物を消化吸収するのに長時間を要するため、草食動物と同様に長い腸管を有している。

これとは逆に、肉食動物の腸管は肉を消化吸収するのにすぐれ、短時間のうちに処理し、残りはすぐに排泄してしまうことができる短いものである。

もし肉食動物が肉を消化吸収するのに長時間を要するのであれば、腸の中で摂取した肉が腐り、有毒な物質を発生させ病気の原因となる。

これを無視し、肉食を行う現代人に癌が多い理由もここにある。人が肉や牛乳、乳製品、魚、砂糖を食せば自然の理に反し、発病発癌のもととなる。

歴史的に見て、癌や慢性病が発生し始め蔓延していったのは、肉食の国である西洋からである。

明治維新から西洋文化や、食文化などを取り入れ始めた日本もその後、欧米諸国に負けず劣らずの癌、慢性病大国になっていった。

また、肉食を推奨し、食品添加物や農薬などの含有を無視する現代栄養学(西洋栄養学)を日本政府が取り入れたことも病気の増加に拍車を掛けた。

さらに困ったことに、厚労省は現代栄養学で洗脳され訓練された管理栄養士の配置を各病院に義務付けている。

病気のために病院に入院したはずの病人は、現代医学と現代栄養学の洗礼を受け、病気からは決して逃れられない状況になっている。

現代栄養学を信奉する人たちは、肉を食べないと蛋白質不足を招き、栄養失調を引きおこすと主張するが、もちろんそんなことはありえない。

野生の草食動物を見るがよい。彼らはあのような大きな体を有し、力も強い。しかし彼らは草しか食さない。草を食しているだけでもあのような大きな体(蛋白質)になる。

つまり、草に含まれる炭水化物や食物繊維などが牛馬の体を構成する蛋白質に変化したことになる。

体内で炭素(炭水化物の中心的原子)が窒素(蛋白質の中心的な原子)に変化したのだ。

これを生体内原子転換といい、この現象はフランスの科学者ルイ・ケルブラン(Corentin Louis Kervran 1901-1983)によりすでに証明されている。

人にとって自然に最も近い主食は玄米である。

玄米は単なる炭水化物だけではなく、蛋白質、脂質、各種ミネラル類、各種ビタミン類が過不足なく含まれている。

別の機会に述べるが、玄米は人間にとっての中庸な食べ物であり最も重要である。

従って人にとって有害無益な肉や魚、牛乳、乳製品などをわざわざ購入し食さずとも、無農薬有機農法産の食材を使った玄米菜食を実践するだけで、充分な健康を得る事ができ、病気予防、病気治癒につながるのである。

病気は人が自然あるいは自然の法則に反した食生活、生活習慣を行ってきた結果であり、発病したその個人に責任がある。そして病気を治すのは、医者やクスリではない。

玄米菜食を実践しその個人のもつ自然治癒力、免疫力を引き出しそれを発揮させる以外病気の治癒は実現しない。

病人は病魔に襲われたあわれな被害者だとか、闘病生活に苦しんでいるなどという表現をし、他者に責任転嫁する傾向が多いが、これも間違っている。

あくまで病気を作ったのはその病人自身であると自覚すべきである。自分以外はだれも助けてはくれない。

ただ病気に対し正しい認識をもった者のみが、その病人に対し病気治癒の手助けをするこ とは可能である。

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小澤 博樹

1949年愛知県碧南市生まれ。1974年東邦大学医学部を卒業後、同付属病院にて消化器外科学、一般外科学を専攻。

1984年、碧南市にて小澤医院を開業し、「食養生」を基本とした代替医療を展開し、現在に至る。

現代医学そのものが金儲け主義であると批判。自らは最少の費用で最大の成果を提供しようと模索する。頑固と良心の共存した、清貧な医者である。

マクロビオテック(玄米菜食)による体質改善、免疫力・自然治癒力の向上を図り、病気を治療に導く有床診療所「小澤医院」のHPはこちら→小澤医院

主な著書に「治す医者か、ごまかす医者か―絶対あきらめない患者学」「医者ができること、してはいけないこと―食い改める最善医療」などがある。