最終決着――「肉食」vs「菜食」やっぱり、食べてはいけない

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船瀬俊介連載コラム

マスコミのタブー100連発〈83〉(月刊『ザ・フナイ』)

最終決着――「肉食」vs「菜食」やっぱり、食べてはいけない

地球環境評論家 船瀬 俊介

「ガン患者は肉を食え!」狂気の暴論

私の手元に、一冊の本がある。『がんになったら肉を食べなさい』(溝口徹著 PHP研究所)(写真A)

まず、手にして、そのタイトルにびっくり仰天した。副題は「がんに勝つ栄養の科学」とある。

つまり、肉を食べることが「栄養の科学だ」と、ガン患者に勧めているのだ。

一応、ベジタリアンでもあり、関連本を数十冊書いてきた私は、まったく真逆なことを主張している本書に目を疑った。

著者は、れっきとした現役の内科医である。よほど説得力のある科学的データで書いているのだろうと、ページを繰くって、さらに愕然とした。

その「ガン患者は肉を食え!」という主張の根拠の余りの稚拙さに、言葉を失った。著者はこう書いている。

「食べたものはペプシンなど多くのたんぱく質分解酵素でアミノ酸に分解され、吸収されるときはただのアミノ酸になり、もとが植物たんぱくか、動物たんぱくかの区別はなくなる」。

私は、絶句した。この著者は腸内細菌の存在を、まったく知らないのか!?

漢字で「腐る」という字は「府」の中に「肉」と読める。「府」は、五臓六腑の「腑」に相当する。

それは、中が空洞の臓器すなわち消化器系の意味だ。消化器に肉が入ると腐る。その事実を古人は戒めているのだ。

つまり、肉類など動物たんぱく質を食べると、腸内が〝腐る〟。

これは、腸内の悪玉菌が、動物たんぱく質を好んで食べて分解し、インドール、ストトールさらには有毒アミン類などの発ガン物質を生成するからだ。

肉が消化器に入ると悪玉菌で「腐る」

約2000年も昔、漢の人々はすでに肉食の害を知っていて、「腐」という一文字に、その警告をこめたのだ。

前著の著者、溝口医師は、この腸内細菌の働きをいっさい無視して、というより無知で、動物たんぱくも、植物たんぱくも、アミノ酸で吸収されるから区別は無意味……など、驚天動地の間違いを平気で綴っているのだ。

肉食の害の根源は、まさに腸内細菌(悪玉菌)による分解(腐敗現象)にある。

そもそも人体の細胞数は約70兆といわれる。そして、人体内に棲み着く微生物は1000兆匹以上……。

その大半が腸内細菌だ。糞便の約半分は腸内微生物というから、その多さは、ものすごい。

つまり、消化吸収の半分は、じつはこれら腸内細菌が担っている……と考えるべきだろう。

食べたたんぱく質は、ペプシンなど消化酵素で、すべてアミノ酸に分解されて吸収される、などといった小学校で習った理論が通用するわけがない。

数百兆匹も存在する腸内細菌……それは、まさに小宇宙(ミクロコスモス)の世界。

その働きがすべて解明されたわけではない。腸内細菌の研究者は、食物が細菌によってどう変化するか? その概要を示している(図B)。

そのメカニズムを整理する。腸内細菌には三種類ある。

⑴人間にとって有効な善玉菌、⑵どっちつかずの日和見菌、⑶人体に悪さをする悪玉菌。

善玉菌は、植物たんぱくを好んで食べて分解する。

悪玉菌は動物たんぱくを好む。分解物は有害物が多く、その多くは発ガン物質であり、まず腸壁を刺激し、大腸ガンを多発させる。

さらに、腸壁から吸収され血液に入り、全身をめぐる。こうして、全身ガンが引き起こされるのだ。

■動物食(肉食など)→動物たんぱく→悪玉菌が分解→有毒・発ガン物質→大腸ガン→血中に吸収→全身を巡る→ガン多発……。

ちなみに、⑵日和見菌は、⑶悪玉菌が増えると、そっちについて、やはり悪玉菌として増殖を始める。だから、さらに体質悪化は進む……。

アメリカ移民日系三世は大腸ガン死5倍に激増

以上のメカニズムから、肉食をすると、まず大腸ガンが激増する。

(グラフC)は、アメリカに移民した日系一、二、三世の大腸ガン死亡率の変化だ。

故国、日本の大腸ガン死亡率を1とすると、一、二、三世と、みごとに大腸ガン死は激増し、三世にいたっては、日本人の5倍も大腸ガンで死んでいる。

それはアメリカ人の死亡率といっしょである。

肉食中心のアメリカ型の食事で、大腸ガン死も晴れてアメリカ人と同じになったのだ。

肉類で、忘れてはならないのが動物脂肪だ。動物たんぱく質と同様に、動物性脂肪もガンを多発させる。

やはり、悪玉菌が好んでエサにし、分解して発ガン物質を生成する。

(グラフD)は、脂肪の摂取量と乳ガン死亡率を国別に比較したもの。きれいに比例している。

肉には多くの動物脂肪が含まれる。さらにバターやラードなども乳ガンを引き起こす。

(グラフE)は、食肉脂肪摂取量とガン死亡の比例関係を示す。動物脂肪はできるだけ、避けることが好ましい。

ところが、植物脂肪の摂取量には相関関係はなく、発ガンに影響していないことが、わかる(グラフF)。

つまり、動物脂肪こそが発ガン要因なのだ。

(グラフG)は、日本人と白人を大腸ガンの一種、結腸ガンの死亡率で比較したものだ。

やはり、肉食中心の白人は4倍死亡している。

(グラフH)は、食肉は結腸ガンリスクを高め、豆、コーンは減らすことを示す。

(グラフI)は、一日当たりの食肉たんぱくの摂取量と腸ガン死亡率を国別で比較したものだ。

やはり肉を多く食べる国ほど、腸ガン死亡率は高まっている。

約4倍食べると、6倍腸ガンが増えていることがわかる。

(グラフJ)は、繊維摂取量が少ない国ほど大腸がん死が多いことを示す。

スコットランドはウガンダの10倍以上、死亡。溝口氏は「繊維は栄養と何の関係もない」と公言しており、無知ぶりもすさまじい。

(グラフK)は、動物性たんぱく質(牛乳カゼイン)の摂取量10%を20%にしたときのガン発症率。摂取量2倍でガンは約11倍へと激増する(『チャイナ・スタディ』より)。

さらに、5%を20%と四倍にすると、発ガンはなんと約20倍に爆発的に増加する。

いっしょに加えた発ガン物質アフラトキシンは発ガンとは無関係だった!

この実験を行ったコリン・キャンベル博士(米コーネル大)は、断言する。

「動物たんぱくは、史上最悪の発ガン物質である」これらの結果をまとめたものが『チャイナ・スタディ』である(写真M)。

(グラフN)は、食物を2倍にしたときの直腸ガンにかかる危険度を比較したもの。肉類は危険度が上昇しているのに、キャベツなど野菜類は、1以下。つまり危険度を減らしている。

ちなみに、アメリカ女性の乳ガン死は、中国女性の5倍。これも、動物食中心のアメリカ型食事が原因である。このように肉食等は爆発的にガンを増やす。

動物食でガンが多発するのは、腸内で悪玉菌がこれをエサにして大繁殖し、有毒な発ガン物質を大量に生み出すことが最大原因である。

溝口医師(前出)は、こんな単純なメカニズムすら無知なのだ。そして、「トータル栄養で、ガンと戦う身体をつくる」など、的外れなことを言う。

『がんになったら肉を食べなさい』と、恐ろしいことを平気で本に書く。ガンで弱っている患者が、この本を信じて、がんがん肉を食べたとしよう。

患者の腸内では悪玉菌が、ここぞとばかりに有毒発ガン物質を大量に発生させる。

ガン患者の体内で、発ガン物質をつくらせて「ガンと戦う」とは、ブラックジョークでしかない。読者に対する無責任きわまれり。読者に、どう責任をとるつもりなのか?

肉を食べると菜食者の8倍心臓病で死ぬ

肉食の害は、ガンだけではない。

「ベジタリアン(菜食者)は、心筋梗塞の97%を防ぐ」

これは専門誌『アメリカ医学協会誌』(1961年)に掲載された論文だ。

心臓病の原因は、心臓を動かす冠状動脈の内側が詰まっていくからだ。その血栓をつくるのはアテロームというネバネバした老廃物。

コレステロールや脂などで組成されている。近年、赤肉を食べると、それがアテロームを生成することが証明されている。

つまり、肉類を食べると、それが消化代謝され、ネバネバ(アテローム)に変化して血管を詰まらせる。

軽度なら狭心症、重度なら心筋梗塞で死亡する。

(グラフO)は、肉食中心のアメリカ人と、菜食者の心臓病死の比較。つまり、肉食者は完全菜食者(ヴィーガン)の8倍も心臓病で死んでいる。

さらに、週に肉を食べる回数が増えるほど心臓病リスクは高まっている(グラフP)。

これは、菜食を教義とするキリスト教の一派セブンスデー・アドベンチスト(SDA)と、一般のアメリカ人を比較した疫学調査の結果だ。

「……1978年、ひとつの論文が発表された。著者はローランド・L・フィリップス博士。アメリカの最も有名な疫学者のひとりである」

「彼とそのチームは、セブンスデー・アドベンチスト(SDA)と呼ばれる教団に非常な興味をもった。その教会が、肉食を基本にしているアメリカ人とは異なった生活スタイル(菜食主義)を唱えているからであった」

(ピーター・コックス著 『新版 ぼくが肉を食べないわけ』築地書房(写真Q))

その研究対象は、なんと約2万5000人。このSDA会員と同数の普通のアメリカ人(対照群)も同時に調査して比較する。

これが、疫学調査の手法である。

それから「6年の間、フィリップス博士のチームは意図し、その一人ひとりと会い、生存を確認した。6年後、いくつかの非常に興味深い結果が現れた」(同書)

それが、(グラフO)である。

そして……

「ついに、フィリップス博士のチームは、この研究の最終報告をまとめ出版した。それは20年にわたって観察し続けた研究結果である」

「この画期的な研究により、肉を食べれば食べるほど、心臓病の危険性が増大することを科学的に初めて立証した」(コックス氏)

アメリカ人の心臓マヒ死は中国の17倍・・・・

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ザ・フナイ 2017年2月月号  マスコミのタブー100連発〈83〉 より

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

船瀬俊介公式ホームページ= http://funase.net/

船瀬俊介公式facebook=  https://www.facebook.com/funaseshun

船瀬俊介が塾長をつとめる勉強会「船瀬塾」=  https://www.facebook.com/funase.juku

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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