一、蘭越、地熱発電所、噴出止まず
6月29日、後志管内の蘭越町、三井石油開発の地熱発電所にて調査掘削工事中に、水蒸気が噴出する事故が発生。
その経過報道が、連日続く。体調不良者の増加、森林が変色し続けて行く。ヒ素水の放出が止まず、汚染土の除去は、未だ。
美味しい蘭越米の風評被害が心配だ。農産物はこれから先、出荷できるのか。
この温泉郷の客足も途絶えはしまいか。
私も憂慮の余り、農繁期をよそに7月14日、雨の中、蘭越を目差した。
同じ後志(しりべし)とはいえ、ニセコも洞爺も温泉に浸(つ)かりに行くなど酔狂なことは一日とてなかった。
会社の慰安会で、薬師温泉に行った遠い記憶があるが、それ以来だった。
山中不安の中、峠を降りると突然視界が開けて一望、蘭越の町が。幸い快晴。
カーブを曲がると、あの地熱発電所が陜(やまあい)にあり。
噴射する水蒸気が勢いよく立ち上り、周囲の樹木が茶褐色、灰を被ったように白く変色している。現在75ha、まだまだ拡散するだろう。
常時、150ppm超の硫化水素が発生し、ヒ素は基準値の2700倍もの高濃度だ。
現場へは通行止め。警備や作業員、或いは通行人からの中毒患者が出ている。
五色温泉を過ぎ、湯本温泉に着くと、あの大湯沼から地熱発電塔を真ん前に見上げ、露天風呂からも眺められる。
あたり一面の硫黄臭。この水蒸気の中にヒ素や硫化水素が含まれているのだろうか。辺(あた)りの物言わぬ空気が恐い。
二、何が問題なのか。
弁当配達で現場を訪れた女性が中毒症状で入院したことを伏せて、人的被害はないとした事実。
周辺の硫化水素値は発生以降0ppmとするも5日後に「噴出現場で発生当初から検出されていた」と発表した事実。
6年前の樹木約4500本を無断伐採など、三井の一連の隠蔽工作が批判されている。
さらに電力量は風力の3分の1に止まる地熱発電自体の技術未確立とその危うさが問われる。
そして、この情報開示を拒む隠蔽体質は、再エネ事業全体に通じることだ。
3.11の大震災大津波で学んだ教訓。
原発問題が、これほどまでに尾を引き、これまでも人のイノチと心を傷つけるものか。
総電力の原発に占める、わずか4.8%のために、子々孫々、半減期何億年も付き合わされる負担を強いてしまったのだ。
時の風潮に流されない、透徹した見識力がいるのだ。
汚染土、処理水云々が、10年以上経過しても未だに解決されない。当然であろう。
よもや、地熱発電開発で、蘭越の災害が未然に、誰が予測出来ただろうか。
ましてや、計画以前に累々と問題の山積する仁木・余市・古平の風車災害・大災害が、いつ何時(なんどき)不意に起こり得ることは、想像に難くないのだ。
① 現代最先端技術を以てしても、予測も防ぎようもない自然の猛威を知らねばならない。
② 一旦災害が起これば、想定外の時間と労力と経費が掛かり、経営戦略は全く無力になる。
施工する側も、受け入れる住民も、しばし深慮熟考を要するのだ。
蘭越のヒ素も硫化水素も軽く受け止めてはならない。地下洞の作業は高濃度になり、常に死の危険性に晒(さら)される。
さらに周辺住民が、臭覚の麻痺、眼の損傷、呼吸障害、肺気腫などの慢性中毒に陥り、ガン化して死に至る可能性は極めて高い。
いや、仁木銀山の風力発電計画では、地滑りや土砂災害の起きる可能性は、科学的、現実的に、十分予測できるのだ。
それを、何で敢(あ)えて踏み込むのか。許すのか。事業者の良心、行政の姿勢を今こそ、問いたい。
三、風車火災と崩壊 根室・厚田の例
2019年4月8日、根室市昆布森の風車から出火し、羽根の付け根の発電機を収めた部分を全焼し、火が移り周囲の草地に延焼した。
主に風車出火の原因は、落雷による過電流や過電圧が最も多く、機器の腐食や漏油など保守管理の不足によるものも少なくない。
だが、それは草地であったからその被害で済んだが、もし森林ならばどうなるだろうか。
その延焼が連綿として余市・古平の何百何千haも続いたら、と想像するのだ。
消火活動は、どうするのか。
留寿都村も風車問題で騒然としていた2017年、村政懇談会での質問と村の対応記録がある。
風車が火災に遭遇した時の消火体制の説明では、地上60m以上の高所に放水は届かず、消火は不可能。
自然鎮火するまで延焼防止の態勢しかない。山火事対応の消防車は2億円を要し、村の財政では不可。
羊蹄山麓消防組合か、札幌消防局へ、さらに自衛隊出動への要請しかないという。
自然災害は、忘れた頃に起きる。いや、想像を離れた所に起こる。
それが今回の蘭越の災害と警告だ。
風車崩壊の例は、今年1月、厚田でも起きた。
道路から3mの地に建設し、ブレードは道路を塞ぐ6、7m、偶々(たまたま)山側に落ちたから惨事とはならなかった。
積雪寒冷地の設置は世界でも北海道だけである(凍結融解)。
事業者は「ブレードの着氷は考慮する必要がない」と言った。
しかし、事故は起こったのだ。この環境技術を無検証で安易に北海道に導入すること自体が、問題ではなかったか。
ブレード、ナセルの着氷に依る事故。初期段階で想定し対策を講ずべき課題だった。
雪庇(着氷)による風車本体から発火する山火事の発生も、当然視野に入れるべき論点なのだ。
さらに計画中の160m以上のメガ風車対応の消防はお手上げ。冬季間、豪雪期には、為す術を知らない。どう処するのか。
四、「ブラックアウト」の悪夢のために、再エネを?!
2018年9月6日未明、北海道胆振東部を最大震度7の地震が襲った。北海道全域を襲った日本初のブラックアウト。
顧みて、そのためにも、今なお「再エネが必要」という声がある。
だが、あの日、あの時、その時こそ再エネが必要ではなかったか。
しかし、風車も、ソーラーも、ましてや原発も、その電力は、何の寄与も、貢献もなかった。
それは、外部電源(火力発電)が無い限り、稼働しないからだ。
ドイツの国を挙げて「再エネ政策」の大失敗は、世界に「反再エネの逆風を吹かせた。
緊急時には、無用の長物となる再エネに明日はない。ましてや、電力不足のために風車やソーラーを増やすことなど、言語道断。愚の骨頂でしかない。
五、電力360%自給の町、なぜ停電?
北上高原にある風況に恵まれ「ミルクとクリーンエネルギーの町」岩手県葛巻町。
「120%大丈夫!」と豪語していたにも拘わらず、3.11の東日本大震災時、大停電。結局は、自然エネルギーは、何の役にも立たなかった。「電気はいつ復旧するのか」。
「電力の地産地消で大災害に備る!」とした触込(ふれこ)みは無残なものであった。
停電は数日続き、酪農家は搾乳機が使えず、牛乳工場では冷蔵庫が止まった。
山の頂には風車が並び、勢いよく回っていた。だが、造られた電気はすべて東北電力に売られていた。
町民から「こんなに電気があるのに、何で、地元で使えないんだ!」との声が出たという。
高原全体の風車は34基、合計出力6万5600kW、世帯数約2700の18倍の5万世帯分の電気を賄(まかな)えるはずが。他に太陽光やバイオガスもあったが、緊急時には無用の長物だった。
まさにこの二の舞いを踏みはしまいか。いや、してしまうのだ。海底ケーブルを使っての首都圏への送電計画。
それが、その二の舞いなのだ。
六、風力発電がミサイル検知に影響
青森県北西部の日本海沖に、国が大規模な洋上風力発電プロジェクトを導入するため「再エネ海域利用法」で指定した「青森県沖日本海(北側)」と「青森県沖日本海(南側)」を2つに分けた。
何故、分断したのか。
「北朝鮮のミサイルを感知するレーダーがあり、区域が南北に分断された」ためだ。
この2海域の中央・つがる市に、米軍・車力通信所の「Xバンドレーダー」と呼ばれる弾道ミサイルを探知・追尾するレーダーが設置されている。
この付近に大型の風車が設置されれば妨害されるためだ。
青森県は2019年、洋上風力発電設備のエリア「ゾーニングマップ」を作成し、防衛施設への影響回避のため「車力通信所」沖合の海を防衛関連で立地が困難なエリアとして赤く半円状に塗った。
正に、差し迫った喫緊の課題。風車は兵器であり、国防を揺るがす我が身に返るレーダーともなることを米軍、アメリカが報せているのだ。
七、『脱炭素(カーボンニュートラル)と再生エネルギー」の大ウソ』セミナー
今春の北翔大学での私の定例公開講座の題名は『脱炭素(カーボンニュートラル)と再生エネルギー」の大ウソ』と題して最終講座とした。
10年ほど続いたセミナーだった。あの7万部が全国で発行された『コロナと生きる』もこのセミナーが発端だった。
過激な題名に拘(かか)わらず、その後計5回の講話。
その衝撃的な内容と4時間ほどの長時間だったが、多くの出席者で埋め尽くされた。
ところが、驚くことに、この7月英国の「The Daily Sceptic」の情報において、我が説を後押しするかのように驚愕させる発表がなされた。次に、それを紹介したい。
八、ノーベル受賞学者たちが「温暖化、再エネ」の嘘を告発
ノーベル物理学賞受賞者含む300人の学者が「気候変動の緊急事態など存在しない。
科学の危険な腐敗だ」と宣言。「風力、太陽光は完全な失敗で、環境を破壊しているだけだ」と述べた。
昨年2022年のノーベル物理学賞の共同受賞者は、 「気候非常事態」の言説に対して痛烈な攻撃を開始し、これを「世界経済と何十億もの人々の幸福を脅かす危険な科学の腐敗」と呼んだ。
ジョン・クラウザー博士(John Francis Clauser 1942年12月1日 、米国理論・実験物理学者。亜原子および原子レベルでの物質と光の研究である量子力学の世界有数の権威の一人。
2010年には、ノーベル賞に次いで 2番目に権威のある物理学賞とされるウルフ賞物理学賞を受賞)は、誤った気候科学が「大規模な衝撃ジャーナリズムの疑似科学に転移した」と指摘している。
博士のコメントは、「科学者の99%が気候変動のすべてまたはほとんどが人間によって引き起こされていると信じているという明白な誤りに、さらなる疑問を投げかけるのに役立つだろう。」
さらに、
「今度は、気候疑似科学が、無関係な他のさまざまな病気のスケープゴートになった。私の意見は、本当の気候危機など存在しない」と付け加えた。
博士が、気候変動に関する「決着した」科学的、政治的物語に異議を唱えた最初のノーベル物理学賞受賞者ではない。
世界気候宣言には約300人の気候学者が署名しており、「気候緊急事態など存在しない」と宣言している。
筆頭署名者の、ノーベル賞受賞者アイヴァー・ジェーバー教授(Professor Ivar GiaeverIvar Giaever 1929年4月5日)は、「気候モデルは、世界的な政策ツールとしては到底妥当性がない」と言及。
「二酸化炭素などの温室効果ガスの影響を誇張しているが、有益な影響は無視している。気候科学は、健全な自己批判的な科学ではなく、信念に基づいた議論に変質している」と、宣言では述べている。
アントニオ・ツィキキ教授(イタリア語: [antonino ddzikiki] ; 1929年生。核物理学者、世界科学者連盟会長、ボローニャ大学教授。イタリア最高位勲章「イタリア共和国功労勲章ナイト・グランド・クロス」保持者)。
2019年、同氏はイタリアの科学教授48人からなるグループを率いて、「気候変動に対する人間の責任は、不当に誇張されており、壊滅的な予測は現実的ではない」と述べた。
彼らの科学的見解では、「1850 年以来観測されている地球温暖化のかなりの部分は自然変動で説明できる」としている。
昨年9月、著名な核物理学者ウォレス・マンハイマー博士Dr. Wallace Manheimer は、「ネット・ゼロは現代文明を終わらせる」と警告した。
同氏は、「新しい風力と太陽光のインフラは失敗し、数兆ドルの費用がかかり、環境の大部分を破壊し、「完全に不必要」になるだろう」と述べた。
これらは、今日までの風車反対説を裏付けるに十分過ぎるものだった。更に民間メデイアでは。
九、「温暖化は作り話だ!」
The Weather Channelを設立し、デビッド・ハートマンやジョーン・ランデンと共にABCの「グッドモーニング・アメリカ」で初代気象キャスターを務め、60年以上も放送界に身を置き、2014年に引退した気象学者の故ジョン・コールマン博士。世界の気候に精通しているのは、この人を置いていない。
その彼が「私は科学者であり、ウェザー・チャンネルの創設者です。科学とは、票ではなく、事実のこと、そして、事実は明らかです。気候変動は起こっておらず、人為的な地球温暖化もない、ということだ」
「温暖化は民主党の馬鹿げた作り話。民主党は毎年25億ドルの気候研究予算を、温暖化説を支持する科学者にだけに付与している。だから温暖化が起きている。
CNNも地球温暖化に強い立場をとり、NASAなどと気象学者が97%の合意しているのは、金が欲しければ民主党の主張を支持するしかないからだ。
つまり、科学界でコンセンサス(多数決)があると言っているが、真の科学はファクト(事実)があるだけだ。」
後号にて、これら気象に関しての証言が、どのような科学的データと根拠に基づいているかを詳述したい。
7月22日、星槎大学・坪内俊憲特任教授の驚くべき世界の真相講話『脱炭素と再エネの虚構』は、まさに環境利権、エネルギー疑惑で、常識がひっくり返させられたのだ。
十、IPCCによる気象変動の改竄
建築家、教育者、幾何学者、地質神話学者、地質探検家と多彩なランドール・カールソン博士は、
「今の気候は、歴史上何度もあった気候よりも決 して温暖ではない。基本的事実として、現在は、過去6億年間で、最も二酸化炭素が少ない時期である。
気温変化については、 1992年のIPCC第1次報告書によると、中世の 温暖期(WMP)は現在よりも気温が高くなっていた。しかし、これは温暖化シナリオに 合わない。
そこで1996年の報告書では、ホッケースティックと呼ばれる完全にでっち上げられたグラフが作成された。(左上図)
つまり、中世の温暖期と小氷期を取り除いたのだ。グラフが上下する代わりに、グラフを平らにした。
そして、計測器の記録を追加して、その記録はかなり上昇しているように作られた。
重要なのは、この事実を指摘している人たちがメディアに取り上げられないということだ。
というのも、この時点で、既に、気候変動のシナリオには何十億ドルもの資金が投入されていたからなのだ。」
正に、先のDrジョン・コールマンの証言を、証言している形だ。
十一、中國がCO2削減しない限り、他国の脱炭素努力は無駄
そもそも、中国の温室効果ガス排出量は、先進国全体の合計よりも多くの二酸化炭素を排出している。中国のCO2削減がない限り問題解決にはならない。
GDP成長率の向上のため、CO2は放出し続け、2025年までに廃止すると言う約束を、誰が信じられようか。隣国の日本がいくら努力しても、焼け石に水なのだ。
その中国から、風車やソーラーを購入して、国土を埋め尽くそうとする国策。
その再エネ製造のために、日本の年間排出量分を、そのまま毎年増やしてCO2を排出している中国の現実、それが許されていいものか。
この矛盾、この本末転倒を前に、なおも発注納入しようとしている亡国の再エネ議連議員、政治団体、利権大臣、官僚、政府、事業社。国、道。「再エネ栄えて、国亡ぶ」は現在進行中なのだ。
十二、砂上の楼閣「GX構想」
その間に、道は「Team Sapporo-Hokkaido とGXグリーン・トランスフォーメーション)の推進」を打ち立てた。
その内容は、
「北海道の国内随一の再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限に活用し、世界中からGXに関する情報・人材・資金が北海道・札幌に集積する「アジア・世界の金融センター」の実現に向けて、2023年6月23日に設立した21機関で構成された産学官金のコンソーシアム(共同事業体)です。」
そして、続く。
「脱炭素社会の未来を拓く「北海道・札幌宣言」(北海道庁ホームページより下記参照)道と札幌市は、G7気候・エネルギー・環境大臣会合の札幌開催の機会を捉え、脱炭素を通じてエネルギーの地産地消と道内経済の活性化はもとより、日本及び世界のGXに貢献していくことについて、次のとおり宣言をした」とする。
骨子となる「再生可能エネルギー」を基地として、「脱炭素社会」を実現すべく、諸外国から北海道に投資させるという大構想である。
ちなみに、この二つの「脱炭素と再エネ」自体が虚構である上に、さらに「投資ファンド」という虚業が加わって、嘘の上に嘘を重ねるような、砂の上に砂を盛るような話で、必ずや、禍根を残し、失敗に終わるだろう。
これが外資に北海道を明け渡すことにもなる前触(ぶ)れであることを、誰が知ろう。
それがどのようなものであるか、この続きは次号で述べたい。
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宮下周平
1950年、北海道恵庭市生まれ。札幌南高校卒業後、各地に師を訪ね、求道遍歴を続ける。1983年、札幌に自然食品の店「まほろば」を創業。
自然食品店「まほろば」WEBサイト:http://www.mahoroba-jp.net/
無農薬野菜を栽培する自然農園を持ち、セラミック工房を設け、オーガニックカフェとパンエ房も併設。
世界の権威を驚愕させた浄水器「エリクサー」を開発し、その水から世界初の微生物由来の新凝乳酵素を発見。
産学官共同研究により国際特許を取得する。0-1テストを使って多方面にわたる独自の商品開発を続ける。
現在、余市郡仁木町に居を移し、営農に励む毎日。