マクロビオティック one テーマ36 文)岡部賢二 月のリズムと陰陽五行~満月期編
皮膚炎やむくみに注意
月が地球の周りを回る周期にも五臓と共鳴するリズムがあり、満月期(満月の3~4日前から3日後まで)は肺と大腸の経絡と結びついています。
この時期は、季節では秋、1日では夕方(午後4時半~8時半まで)にあたります。
満月期にはセキやタン、鼻水、鼻炎、気管支炎、息、肺炎といった呼吸器疾患や、乾燥肌、肌荒れ、アトピー性皮膚炎、湿疹、ヘルペス、帯状疹などの皮膚炎が出やすい時期です。
また、1ヶ月の中で一番身体に水を蓄える時期でもあり、水はけの悪さからむくみや浮腫、頭痛といった症状も出やすくなります。
こんな時には沼地に生育し、水毒を抜く働きのあるレンコンや、天日に干した乾物、利尿作用のある小豆を用いると症状がやわらぎます。
油脂で詰まりやすい肺や大腸のリンパ管
肺や大腸にはリンパ管が集まっていて、血管内の汚れは徐々にリンパ管に染み出て処理されるようになっています。
細胞に酸素や栄養素を送り届ける血管を上水道とするならば、細胞から吐き出された老廃物や二酸化炭素などの不要なガスを洗い流すリンパ管は下水管に相当します。
したがって、リンパ管に汚れが目詰まりすると血管の汚れが排できず、血液や血管の汚れを引き起こします。
台所で洗い物をしているときに一番やっかいなのが油汚れですよね。同様に、リンパ管に目詰まりしやすいのも油脂類なのです。
ご馳走といわれるものには油脂が多く含まれるので、満月期には揚げ物や炒め物、脂分の多い動物性食品は控えるようにしましょう。
また、冷たい水よりも温かいお湯を使った方が油脂の洗浄力が増すように、身体が冷えている人ほど、リンパ管に汚れがたまりやすくなります。この時期には温熱療法もよいですね。
大根おろしや生姜を天然の洗浄剤に
リンパ管の汚れを排泄するのにぴったりの食材が、酵素を含む白くて辛い根の食べ物です。
サンマやアジといった焼き魚、てんぷらには大根おろしを、豚肉や焼きそば、牛丼、とんこつラーメンには生姜やにんにく、紅生姜を、鶏肉や鍋物には白ネギを、焼肉には玉ねぎを用いると油脂を洗い流してくれます。
満月期には天然の洗浄剤として働くこのような食材を多めに摂るようにすると、体調が整いやすくなります。
大腸に棲む腸内細菌のエサになるのが、食物繊維を多く含む食べ物です。
セルロースといわれる食物繊維はブドウ糖が長い鎖状に結合したもので、小腸では吸収できず、大腸にやってきて、腸内細菌が好む食べ物になります。
こんにゃくやゴボウ、玄米に含まれる米ぬか、小麦のふすま、おから、難消化性粉である葛などの食材にはカロリーがほとんど含まれませんが、大腸の働きが整うことで便秘が改善され、肌に潤いが戻ってきます。
ぬめりで粘膜を強化
また、麹には脂肪分解酵素のリパーゼ、たんぱく質分解酵素のプロテアーゼ、糖質分解酵素のアミラーゼが含まれているので、ご馳走の成分である高脂肪・高たんぱく・高糖分を満遍なく分解してくれます。
お肉や魚は味噌焼きに、焼肉やハンバーグは大根おろしと醤油、ポン酢を用いて和風に、揚げ物は塩麹をまぶしてから料理すると、リンパ管が目詰まりしにくいです。
発酵食品にはオリゴ糖が多く含まれるので、腸内細菌のエサにもなります。
満月期には、こうした食材の他に、ぬめりのある食物もぴったりです。
里芋やレンコン、、オクラ、モロヘイヤ、もずく、めかぶ、とろろ昆布などといった食材や、秋に旬を迎えるナメコなどのきのこ類もこの時期に積極的に摂るようにすると、肺や大腸の粘膜を強化してくれます。
五穀では玄米が食薬となるので、満月期の1週間は玄米ごはんや玄米、玄米スープ、玄米クリームを上手に活用しましょう。
感謝しながら過ごす
意識の面では、満月期は統合意識に目覚めやすくなります。
きずなやつながり、一体感を感じやすく、人とふれあいたくなり、コミュニケーション能力が増すので、デートや交渉事にはぴったりです。
十分なふれあいがないと悲しみや寂しさがつのるので、そういう場合には、ボランティアに参加したり、誰かの面倒をみてあげたりすると幸せ感が湧き上がってきます。
誰かや何かを大切にする行為をすると、血液中に愛情ホルモンといわれるオキシトシンの分泌量が増え、生かされている喜びや幸せ感が湧きます。
満月期は感謝をささげる時期なので、上弦の月期に行動して出会った人々や出来事に感謝をしながら過ごすようにするとよいですね。どうぞ素敵な満月期をお過ごしください。
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正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。
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Profile おかべ・けんじ
大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。
日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。
2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。
著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック
」(研究所)、
「家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す
」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!
」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット
」(パルコ出版)。
ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com