“緑の市場”を拓く GT(グリーン・テクノロジー)商品のススメ by 船瀬俊介

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船瀬俊介連載コラム

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人類は疲れている。地球も疲れている。それが現代という時代だ。これだけ、物があふれているのに…。これだけ新製品が、日々売り出されているのに…。

なぜだろう。人類はかつてない繁栄を謳歌(おうか)しているはずなのに、どこか満たされない何かを心の奥底に抱えている。

物質文明によって地球という惑星は改造され、豊かに造り変えられたはずなのに…。

都市は、まさにかつて夢に描いたようなSF的超高層ビルが林立する超現実的都市に変貌したのに…。

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人々も、都市も、どこか空疎な陰りを秘めている。

それは、一言でいえば「不安」というものだろう。人類も、地球も、未来に対して漠とした「不安」を抱えている。

それは、この繁栄がいつまで続くのかという地球レベルの「不安」から、自分の健康はこれから大丈夫だろうかという個人レベルの「不安」まで…

それらが、二重奏の通奏低音のように、現代社会の奥底で重く深く鳴り響いているように思えてならない。

“火の文明”から“水の文明”へ

時代を考えるなら数十年単位。社会を考えるなら地球規模で…これが環境評論家としての私のモットーである。

現代という時代をとらえるには、過去、未来…少なくとも数十年のタイム・スパンが必要だ。

現代社会をとらえるなら、地球レベルの視点でないともはや不可能だろう。

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私は20世紀を“火の文明”と呼んでいる。これに対して21世紀は“水の文明”と呼ぶのがふさわしい。

“火の文明”とは「石油文明」のことであり、“水の文明”とは「自然文明」のことだ。20世紀はまさに石油によって繁栄を極めた。

しかし、ある高名な経済学者はこう警告した。

「資本主義は資源の枯渇で滅びるのではない。廃棄物の捨て場の枯渇で滅びるのだ」と…。至言である。

「二つの廃棄物」が突きつける成長の限界

石油文明の廃棄物は二つある。CO2(二酸化炭素)と化学物質である。

CO2は、化石燃料の石油を燃やすことの宿命だ。この急増が地球温暖化という未曾有の危機をもたらしていることは周知の事実である。

2004年、米国防総省の報告書は「温暖化破局は2020年までに到来、欧州の主要都市は水没し、英国は氷河に閉ざされ、アジアは砂漠と化す…」と衝撃の警告をしている。

そして「食料、水、エネルギーを奪い合って戦争が多発し、数百万人の生命が失われる」と予測している。

SFめいて、すぐには実感が湧かないかもしれないが、ペンタゴンが警告した破局までわずか15年しか残されていない。

もう一つの石油文明の廃棄物は、合成化学物質である。

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これらの中には環境ホルモン(内分泌撹乱物質)というヒトの生体内ホルモンの合成、分泌、作用を撹乱する毒性を秘めているものがある。

環境ホルモンは一般的な毒物に比べて極めて低い濃度で影響が現れる。また、食物連鎖の上位者(つまりヒト)ほどその影響が顕著と考えられている。

元々ホルモンは、必要な時期に必要な濃度で存在して、初めて正常な働きをする。生物は極めて微量な化合物を、繊細にコントロールして、その機能を維持するシステムを築き上げてきた。

環境ホルモンは、その生命システムを根幹から揺さぶりかねない。

その最大の脅威は精巣萎縮、精子減少によるオスのメス化である。1945年から50年間で世界の男性の精子数は1CC当たり1億2000万匹から6000万匹に半滅した。

そして、年々2%~3.5%の勢いで減り続け、約25年でさらに半減! 

つまり3000万匹になる見込みである。ここに至って受精能力はヒトから失われてしまう。人類という種が子孫を残す能力を喪失するその時期が、奇しくも2020年…。

温暖化破局の予告時期と重なるのである。

生体にとって本来異物である石油合成化学物質は、自然観察、動物実験レベルで問題が指摘されても、明らかにヒトへの悪影響が確認されない限り、規制の対象とはならない。

だが、「明らかにヒトへの悪影響が確認されたとき」には、除去は既に不可能だろう。

環境ホルモン作用だけでなく、環境ドラッグ作用による脳へのダメージ、発ガン性、催奇形性など「疑わしきは罰せず」で放置されているリスクは数多い。

引用:日経BP社 2005年7月2日

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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