“肉好き” は食料の ハイジャッカー!?

船瀬俊介連載コラム

“肉好き” は食料の ハイジャッカー!?

マッド・カウボーイ告発

「肉好きは、地球の食料のハイジャッカーだ！」こう言われたら肉大好き人間は、いい気がしないでしょう。

焼き肉食べ放題のお店で、網を囲む家族の箸も一瞬止まりそう。

お肉を口一杯にほおばって、肉汁のジューシーさに酔っているときに、アンタはハイジャッカーだ、なんて言われたら、だれでも怒りますね。

しかし、この辛辣な指摘をした人物は、いたって論理的です。

「世界ベジタリアン連合」会長などを歴任したハワード・ライマン氏は、国際的に著名な菜食運動のリーダーです。

いわばベジタリズムの〝カリスマ〞である。経歴がじつにユニークで、なんと、彼は元、モンタナ州第二位の牧場を経営者である。

この州は別名〝牛の王国〞……。

彼は代々続いた経営者の四代目であり、生粋のカウボーイ。なのに不治の病をきっかけにベジタリアンとなった変わり種。

自らの人生を、いささかユーモアを込めて自伝『マッド・カウボーイ』にまとめている。

私との因縁は、私がそれを翻訳した『まだ、肉を食べているのですか』（三交社）である。『20人分食料を独り占め。』と、彼は指摘する。

「洋食に含まれるたんぱく質の70%は動物性。しかし、中国人はわずか7％」。

つまり、欧米食は東洋食の十倍も動物たんぱくを含む。ほとんどは肉類。つまり欧米人は東洋人の約10倍も肉を食べている……。

だから、欧米人は「貧しい東洋人の食料を奪っている」ことになるのです。それは、いったい、なぜ……？　

かんたんな計算をしてみましょう。大豆20キロで20人分のたんぱく質がまかなえるとします。

その大豆を牛に食べさせると約1キロの牛肉しかとれない。つまり、肉食者は他の19人分の食料を〝ハイジャック〞していることになるのです。

豚肉、鶏肉など他の動物比率は低くなりますが、貧困者の食料を奪っていることには変わりません。

豆好き長寿。肉好き短命

地球の貧しい人々の食料（植物たんぱく）を奪って、動物たんぱくを約10倍も摂取している〝肉好き派〞は、はたしてハッピーでしょうか？

「西側では主要なガン、心臓病、糖尿病など致命的疾患にかかる中国人は、きわめて少ない」（ライマン氏）。

他方で裕福な中国人たちは西洋人にならって同量の動物たんぱくをとり始めています。つまりハイジャッカーの仲間入り。

すると「……彼らもまた同様に高率で致命的疾患にかかっている」（同）

では、飼料に奪われている豆など穀物を食べている人々は、本当に貧しいのでしょうか？ たとえば大豆……。

それは、あらゆる食品中で「もっともガンを防ぐ」と米政府も折推奨する抗ガン食品。

その他の、健康増進効果も極めて高い。他方、肉食者は、心臓病8倍、大腸ガン4倍、糖尿病3・8倍も死亡リスクが高まる。

つまり、大豆好きは長寿。肉好きは短命……。他人の「食」を横取りした報いは、あまりにも大きいのです。

veggy (ベジィ)2015年 12 月号 vol.43　FUNASE’S VEGGY TALK Vol.2 より

世界ベジタリアン協会（IVU）認定の『日本ベジタリアン協会』からも推薦された、日本ではじめてのベジタリアン向けライフスタイルマガジ『veggy』。

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