船瀬俊介連載コラム
ハブ茶
おもな含有成分と効能
ハブ茶には、原料のちがいから、エビスグサ(決明子)とハブソウ(望江南子)の2種類がある。
成分は、いずれも、エモジン、アンスロン、ヒスチオン、など。強壮、健胃、成長、緩下、利尿作用がある。
エビスグサのハブ茶には、アントラキノン誘導体のクリソファノール、フスチオン、オブツシフェリンが確認されており、これらにも、利尿・緩下作用がある。
利尿作用によって血圧が安定するので、高血圧予防に。
また利尿作用がはたらくと、疲労の元凶である尿酸も洗い流すので、疲労回復にもよい。
臨床的な研究では、次のような効用も判明。
①便秘を治す。
②胃腸病が治る。胃潰瘍にも効果がある。
③目の疲れや充血を取り除く。
④腎臓病に効く。ハブ茶により水分が大便とともに排出され、腎臓の負担を軽くする。
⑤口内炎に効果。ハブ茶でのうがいも効果がある。
⑥飲酒後の涙いハブ茶で、二日酔い予防……。
こぼれ話
便秘が原因で、ニキビや肌荒れに悩む女性は、ぜひともハブ茶を試してみるべし。ハトムギ茶を半分ほどブレンドして飲めば、美肌効果はさらに上がる。
更年期にあたる女性にも、ハブ茶はおすすめ。
更年期障害とは、卵巣機能の低下にともないホルモンバランスが崩れること。その結果、頭痛・めまい、胃腸障害、精神不安定、不眠などの症状が現れるが、強壮、健胃、緩下、利尿作用のあるハブ茶は、症状の改善に効果をあらわす。
私には少年の頃よりなじみの健康茶である。
「これを飲むと、胸が焦がれん」と父はよく、水筒に詰めて、農作業や魚釣りに持って出かけた。
ちょっとコーヒーに似て、褐色の色合いで香りもよく、冷やしたハブ茶は子どもでもおいしく飲めた。
医学書の効能を見ると、健胃、整腸とある。
九州弁で「胸が焦がれる」とは、いわゆる胸焼け。やはり胃腸薬としての効能があったのだ。
原料は、マメ科のエビスグサの実。花が散ったあとには細長いさやができ、中に小豆の半分くらいの大きさの種ができる。
これが漢方でいう生薬の決明子。釜で煎りあげたものがハブ茶になる。
もうひとつのハブ茶は、ハブソウというやはりマメ科の種子を炒ったもの。こちらが本来のハブ茶なのだが、収穫量が少なかったために、エビスグサのほうが、ハブ茶として通用するようになったのだ。
「決明子」とは、便秘による目の回りの充血が解消されて、視力がスッキリ回復するところから付けられた名前。
漢方では実際、「肝気は目に通ず、肝和すれば目よく五色を弁ず」という。つまり、「肝臓の具合はすぐ目に現れる。肝臓が治れば視力は鮮明になる」というのだ。
決明子、つまりエビスグサは、緩下・利尿などで体甜をすみやかに排出することによって、肝臓への負担を軽減し、肝機能を向上させ、それが視力に反映するというわけである。
つくり方
・現在、ハブ茶として売られているエビスグサば奈良県や鳥取県で栽培されているもの。その豆果が熟す9~10月に採取する。小粒のほうが成分的にすぐれている。
天日で十分に乾燥させてできあがり。密閉保存のこと。
・使う量だけ炒って飲むと風味は増す。これはコーヒーと同じ。市販のハブ茶はすでに炒ってある。
・ハブ茶13-15gに水600ccを加え、どびん(またはガラスポット)にいれて火にかける。沸騰後、弱火で5~10煎じる。1日3回にわけて飲む。
・お茶がわりに飲むばあいは、薄めに煎じたものを多量につくる。ニ日酔いのときには、濃いめが効く。
科学的実証例
・オブツシン、オブツシフェリンなど13種の薬効成分を抽出・確認。これらには緩下・利尿作用がある(北里研究所 木村雄四郎部長)
・肝臓を回復させることで、視力をよくする(中国漢方古典「素門」「霊枢」)
まさかに役立つ健康茶の薬効図鑑―今日から始める「健康茶ライフ」ハンドブック 船瀬俊介(著)より
船瀬俊介渾身の調査! 埋もれた名著『船瀬俊介の民間茶薬効事典』の完全復刻改訂版! 【好評発売中】
「健康茶」すごい!薬効 もうクスリもいらない 医者もいらない
【こちらもオススメ】
船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家
著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。
『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。
独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。
船瀬俊介公式ホームページ= http://funase.net/
船瀬俊介公式facebook= https://www.facebook.com/funaseshun
船瀬俊介が塾長をつとめる勉強会「船瀬塾」= https://www.facebook.com/funase.juku
著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。