森下敬一 『食べもの健康法』●はこべ
春の七草の一つ「はこべら」とは「はこべ」のことだ。
細く柔らかくて、いかにも頼りなげなふぜいだけれど、花期が終わるとすぐに結実し、それがこぼれて春二番の芽を出す、大変にバイタリティに富んだ野草だ。
それゆえ、はこべを食べる人間のバイタリティをも高めてくれるのである。
繊維が柔らかくクセもないから、汁の実、おひたし、ごま和え、天ぷらなどに普通の野菜と同様に用いればよい。
まず、はこべはすぐれた健胃・整腸作用がある。
普通に料理して食べてもよく、葉茎をすりばちですりつぶしてガーゼでしぼった生汁を1日に盃1杯ずつ飲んでもよい。
これまで、肉や卵をたくさん食べていた人は、はこべジュースにしてとると効果的だ。
胃腸の疲れをとると共に、血液中の酸毒成分を早く体外に排泄できる。
きれいに洗ったはこべに適量の水、レモン汁、はちみつを加えてミキサーにかければ出来上がり。好みで、ニンジンやりんごを加えてもよい。
はこべの消化作用もすばらしい。そのよい例は、盲腸炎に卓効を表すことだ。
生葉のしぼり汁2分の1カップを1時間おきに、1日5回ほど飲む、または乾燥した全草を濃いめに煎じた物をお茶代わりに飲むと、軽度の盲腸炎なら治まってしまう。
盲腸は不要なものの代名詞にされているけれど、人間の体に不要なものなどない。
穀菜食動物では、消化作用に欠かせない一役を担っている。それが肉や白砂糖などの不自然食を常食していると、満足に働かなくなる上に、炎症を起こしてしまうのである。
ついでに言うと、盲腸手術はできるだけ避けたい。
腹膜にメスを入れることはスタミナ減退のもとだからだ。予防が大切なゆえんだ。
はこべはまた、たんぽぽの根、鯉こくと並んで、代表的な離乳食品の一つである。
ある健康雑誌に「母乳の出をよくするには牛乳をたっぷり摂れ」とあった。
これは完全な間違い。乳を入れれば乳が出る・・・・・・と言ったように、我々の体の生理というものは機械的ではない。
母体の生理機能が健全になった時、その働きの一つとして必要十分な母乳が分泌されるのである。
少なくとも穀菜食民族である日本人にとっては、胃腸の働きを混乱させ体質を悪化させる牛乳は、母乳の分泌促進に役立つことはありえない。
本当に母乳の分泌を良くすることは、子供のためである事はいうまでもないが、母親自身の老化防止や慢性病防止に直結する重要なことなのである。
同時に、はこべは、産前・産後の体力保持、産後の古血の排泄促進および腹痛の鎮静にも有効である。
食生活の改善をはかるとともに、はこべを活用したい。
料理に用いるほかに、はこべの全草を乾燥して煎じ、お茶代わりに飲む。このはこべ茶に、たんぽぽの根を乾燥したものを少し加えると、なお結構だ。
化膿菌を抑える作用も、はこべにはある。
その為、はこべの乾燥粉末に自然塩を混ぜたものを、はみがき粉として用いていると、歯槽膿漏の防止に役立つ。
■はこべのサラダ
ハコベの花のサク前の柔らかなところ2~3cmを摘みとり、よく洗います。生のまま、フレンチソースで和えたり、各種料理のあしらいとします。
■はこべのおひたし
自然塩ひとつまみ入れた熱湯でサッとゆでてから、冷水に通し、軽く絞って、しょう油をかけて食べます。しらす干しを混ぜてみるのもよいでしょう。
■はこべのごま和え
おひたし同様にゆでてしぼったものを、すりごま、しょう油、好みでみりんかはちみつを加えたもので和えます。
■はこべの天ぷら
やや薄めにといた衣に、1cmぐらいに切ったはこべを混ぜ、かき揚げ風にカリッと揚げます。
■はこべ 汁の実
1cmぐらいに切って汁に浮かせます。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。