細分化・専門化する顕微鏡的医学の弊害

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桜沢如一のコトバに学ぶ 第79回

1960年3月7日号の「タイム」に、「専門医の限界」と題する非常に重要な記事が載った。それはアメリカの健康と医学に関する私の考察と結論を確証するものだ。

分析的、顕微鏡的な医学は、進めば進むほど専門化を要求される。(専門医のいない医学は羽のないクジャクであり、分析技術のない分析化学はゼロに等しい。原動力を失ってしまうのだから。)

現在、あまりに多くの専門医が存在し、日々ますます複雑化してゆく迷路の中で、患者たちは道を失っている。

細分化があまりに進み過ぎ、専門医自身でさえ混乱してきている。

「ゼン・マクロビオティック」

今や、出版物全体の37%となった漫画。その中でも不動の人気を誇るジャンルが、手塚治虫の「きりひと讃歌」「ブラック・ジャック」「陽だまりの樹」の三部作に始まる「医療漫画」だ。

21世紀に入ると「JIN」「医龍」「フラジャイル」「コウノドリ」などが実写ドラマ化され、人気となった作品も多い。

梅崎修法政大学教授の研究によると、人気の秘密は「専門性がある世界に対するあこがれ」だそうだ。

確かに科学技術は、専門化と細分化により発展し、次々と輩出されるスペシャリストが時代の寵児となった。

医学の世界も、メスを持って手術する医療は全て「外科」と呼んだ時代から、脳神経外科、心臓血管外科、呼吸器外科、腹部外科、整形外科、形成外科、口腔外科、内分泌・乳腺外科と細分化され、各々の専門医を生んだ。

しかしながら、人を臓器や疾患別で分類する縦割り的な発想が「病気を見て、病人を診ない」全体性を見失う弊害をもたらした。

今年から、従来様々な学会が認定していた各種の「専門医」を、日本専門医機構という第三者機関が認定する形に変更される予定だが、一方、過度の専門分化の反省に立ち「総合診療専門医」という「どんな相談にでものることを専門にする医師」も新たに追加される。

果たして、ドクターG(ジェネラル)の行く末は?

しかし、「専門家支配」を克服する本当の鍵は、医療の主体たる患者側の「私こそ私の主治医」の自覚と研鑽にあろう。

月刊マクロビオティック 2017年04月号より

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はたの たけし

1962年熊本県生まれ。

一般社団法人TAO塾代表理事・熊本大学特別講師。

修士論文のテーマは「食の構造的暴力と身土不二の平和論」。鍼灸学生時代、日本CI協会、正食協会にてマクロビオティックを学び、93年KushiInstitute勤務。

著書に「医食農同源の論理―ひとつらなりのいのち」「自遊人の羅針盤」など。