葛切り、葛餡、葛根湯と多彩なメニューの伝統食【吉野本葛】

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【前回の記事】

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船瀬俊介連載コラム 葛根湯から布まで葛の葉は踏みしだかれて新たなりこの道を行きし人あるらむ 今回のテーマを項いて、ふと心をよぎった短歌。...

さてーー。その、製造工程は?

「森野吉野本葛は、むかしよりその製法は、一貫して変わる事なく自然製法を厳守しております」と同社案内にある。

①冬季採取:毎年11月から翌年四月ころまで、野生葛の根を掘り出す。冬季のみ野生葛は根に澱粉を蓄えるからだ。

②寒晒し:地下水を汲み上げ、冬の清澄水のみで葛根を晒し精製する。これを「寒晒し」という。

③自然沈降法:他の業者が用いる「脱水機」など高速回転の分離機は使わず、ゆっくり自然沈降法で分離させる。

④「生葛」:葛根を破砕して十分に水洗い。葛根の繊維をタマ絞り。その液を濾過し、二五時間ほど放置すると「生葛」ができる。

⑤自然沈殿:「生葛」を撹拌タンクに入れ、水を注人して撹拌し、五0時間ほど自然沈殿させる。

⑥くりかえし:⑤の工程を7~8回くりかえし、撹拌・沈殿を行う。

⑦不純物除去:一見、真っ白な葛粉にも、まだ一番底に不純物が含まれる。それを分離し、さらに見ずを加えて撹拌・沈殿させる。

⑧吸突沈殿した葛の上に木綿布を敷き、木灰を敷いて、葛中の水分を吸いあげる。

⑨乾燥機へ:固くなった葛を道具で適当に割り、乾燥機にいれる。

⑩自然乾燥:二階室内で約五〇日以上、自然乾燥して、やっとできあがり。

七0~八0日間かけた一徹手作り

「最初の葛根から、逆算して、七O~八0日間をかけての作業です」(同社)

……いやはや。工程を書いているだけで、クタビレた。何という気の長い作業。

わたしには、到底できそうにない、また、本物、純正の食品のために、労苦を惜しまぬ姿勢には、ただただ圧倒される。

また、そのようなこだわり食品に徹するオーサワジャパン(株)にも拍手を送りたい。

しかし、これら手間ヒマをかけず、サツマイモ澱粉で一丁上がりで「吉野葛」を名乗る業者よ恥を知れ、と言いたくなる。

その詐欺犯罪を認める政府も政府だ。ここにも「悪質が良質を駆逐する」悔しい現実がある。

しかし、この(株)森野吉野葛本舗の「吉野本葛」には絶大な応援をしたい。頑張って欲しい。

この葛粉は「常温で三年以上」保存可能という。まさに、救荒食の本領発揮。

ただし「梅雨どきから夏のあいだ、高温多湿の場所におくと葛中に含まれる水分が蒸れて発酵しやすいので注意。缶の中などに入れてにこと」(同社)。

葛といえば葛切り。これはわたしの大好物。東京、銀座や赤坂に、高級和風レストラン「ざくろ」がある。

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ここでデザートに出す葛切りは最高。なんとも見た目も涼しげな半透明。十二分に冷えた葛切りは黒蜜に浸していただく。

ツルツルとして喉ごしは絶品。これぞ、日本が世界に誇って良いメニューだ。

「葛切りは、銀座でしたら『とらや』さんが扱っています。葛粉を水に溶かして湯煎にして細長く流して切ったもの。できたては透明で、それから半透明に。冷やして黒蜜をかけていただ<と美味しうございますね」(テルさん)

もっともポピュラーな葛のいただきかたは、葛湯であろう。

葛粉に、米飴などの甘味料を混ぜたものに、熱湯を注ぐ。よくかき混ぜていただく。

「消化がよろしいし、からだも暖まります。最初はぬるま湯くらいで溶かし、次に熱湯を注ぐ。すると固まりません。風邪引いたとき、おなかをこわしたとき、いいですよ」(テルさん)。また乳児の母乳がわりによし。

「風邪気味のとき、早めに葛湯にショウガを擦り込んで飲むと発汗作用があり微熱を抑えて回復を早める」という。

また「腹痛、下痢、胃腸の弱りなどに、葛湯は最適」なのだ。いわゆる葛根湯。風邪などに効くはずだ。栄養価が高く、幼児や病人食としても最適。

とくに冬場には寒さをしのぐ何よりの飲み物。

調べるほどに驚くのは、葛料理の多彩さ、多様さだ。

これほど、奥行きの深いものとは知らなかった。不明を恥じるのみ。戦後、これら伝統食の精緻は、マグドナルドなどアメリカ文化によって、さらに戦後教育によって、滅ぼされたのだ。

その復権から、日本の自立が始まる。オーバーでなく、そう思う。

その多彩なメニューをごらんあれ。

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●葛水:これは葛湯を冷やしたもの。夏の飲み物として占米より、日本人に親しまれて米た。いまなら冷蔵庫で冷やせば、よりスキッと芙昧しかろう。

●葛餡:これは葛粉でとろみをつけたアンコ。つくり方は、まず出し汁を醤油・みりん等で味付けし、それに葛粉を水で溶いたものを加える。

かき混ぜながら煮てると、しだいに透明になって、できあがり。和風の「あんかけ料理」に用いる。

別名、葛掛、葛溜ともいう。

●葛鰹:ここで鰹は一切つかわれない。なせなら精進料理だからだ。いまふうにはえば、フェイク料理な葛粉に小豆の煮汁をまぜて蒸し、銀箔で巻いて鰹の刺身に似せたもの。

からし醤油、わさび醤油で住べると美味という。ベシタリアン(菜食主義者)にはおすすめ。わたしもチャレンジしてみよう。

●葛煮:これは、溶いた葛粉を加えて煮汁にとろみをつけた料理のことである。

●葛巻:この葛練で巻いた菓子や料理のこと。高級和風料理には欠かせない。

●葛醤油:まず醤油を飲立てる。そこに、溶いた葛粉を混ぜて煮たもの。とろみのある柑風ソースができあかる。

●葛素麺:文字どおり葛粉でつくったそうめんだ。いかにも涼しげで、ツルツル喉こしもよさそう。どこか販売したらどうだ、と言いたくなる。

●葛餞頭:葛粉などを練った生地で、餡を包み蒸してでさあかり。これも冷やしていただ<のか美味。

●葛餅:冷や菓子。葛粉を熱湯でこねて、型に人れ、さらに蒸したものを、冷やして、偵な粉などをかけていただく。

●葛団子:これもそのまま。葛粉でつくった団子である。米粉で団子ができるのたから、葛粉でも団子ができてあたりまえか。半透明の上品さか魅力だ。

●葛胡麻豆腐:葛と胡麻だけでつくった、変わり胡麻豆腐やはり半透明なのだろうか。なんとも食べてみたくなる。

さあ、多様な葛文化を堪能しようではないか!

月刊マクロビオティック 2004年5月号より

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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