森下敬一 『食べもの健康法』●たまねぎ
タマネギほど、世界中の人に使われ、しかも一年中食べられている食品も少ない。
それもそのはずで、たまねぎを用いると、特有のうまみが加わるために、たいていの料理は味がよくなってしまう。
味もさることながら、タマネギにはすぐれた薬効もある。
まず、たまねぎを生で食べているとてき面に精力がついてくる。それはタマネギに含まれる硫化アリルという刺激成分によるもの。
この硫化アリルが、ビタミンB1の吸収をよくし、新陳代謝を高めるのである。
われわれの体の組織は、新陳代謝することによって、若返りがはかられている。
その代謝活動がスムーズに行われていればスタミナもつき、疲労も早く回復するもので、そこではB1の需要が極めて大きいのである。
ところが、現代日本人は精白食品をたくさん摂っているために、深刻なB1欠乏に陥っている。
B1は自然の穀物や野菜の胚芽・表皮・アクなどのなかに含まれているからだ。
疲れやすくスタミナ切れをおこしやすいのも道理であろう。
硫化アリルは、アルコールの害を少なくする薬効もある。硫化アリルがあると、アルコールは早く快適に回り、早くすっきりと覚めるのだ。
これには、保温作用も大いに関係している。
タマネギは、血液の流れを良くして体を温める働きを持っているのである。
そのほか、タマネギは肉毒を解消し、神経のイライラを鎮めるから、現代人の疲労回復食としてもってこいの食品だ。
今多くの人が悩まされているのは、肉体疲労より、むしろ精神疲労である。
また、心身いずれの疲労であれ根の深い疲労は、「アンモニア疲労」と呼ばれる動物蛋白食の多食を源に持っているのだ。
それは穀菜食民族である日本人が肉、卵、牛乳などを過食していると、生理機能が根底からぐらつく、ということを示している。
たまねぎには肉毒解消効果があるけれど、肉食をせずにたまねぎを活用すれば、より大きな薬効が得られるのである。
なお、神経を鎮静させる作用は、不眠症にも有効。
たまねぎを細かくきざんで皿に入れ、枕元におくと、刺激成分が自然に吸入されて心が安定化して、気持ちよく眠れるようになる。
また、たまねぎ特有の香気を発する成分も刺激成分と同様の硫化物で、駆虫効果をもっている。
もっとも人間の体質も変わり、最近では寄生虫症にかかる人はほとんどなくなってしまったが同様のからくりで香気成分はバクテリアやビールスに対しても有効と考えられる。
おなかをこわしやすい人、カゼを引きやすい人は、常食をこころがけるとよい。
たまねぎの表皮は独特な黄金色をしている。
この色素クエルセチンは血管を強化する作用をもっている。だから表皮の煎汁は高血圧、動脈硬化に有効だ。
■オニオン・スープ
材料(4人分)
・玉ねぎ・・・200g
・だし汁・・・4カップ
・ごま油・・・大さじ2
・自然塩・・・小さじ1/2
・こしょう・・・少々
・青のり・・・少々
<作り方>
①油で細切りした玉ねぎを中火でゆっくり炒めます。
②焦がさないようにキツネ色になるまで炒め、だし汁を入れて煮込み、塩、こしょうで味を整えます。
③好みで青のりを散らします。
■玉ねぎのみそいんろう
材料
・玉ねぎ・・・1個
・みそ・・・80g
・ごま油・・・大さじ3
・れんこん・・・中1節
・強力粉・・・少々
・揚げ油
<作り方>
①油を熱し、みじん切りにした玉ねぎをていねいに炒めます。
②みそを水大さじ5杯で溶いて①に流しいれ、弱火で30分くらい煮ます。さましてから、塩湯で5分ゆでたれんこんにつめます。
③切り口に強力粉をまぶし、衣をつけ、中温の油で揚げ、5mmぐらいの輪切りにします。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。