森下敬一 健康談話 より
━■健康談話■━
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 月刊誌「森下自然医学」掲載 「温故知新」から引用
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肉食・乳食は逆転ーー伝統的食文化の尊重を
哺乳動物とは、文字通り一定期間、母乳を与えて乳児を成育させる種属を指す。
ある程度成長し、自ら食物を摂取できるようになれば乳離れするのだが、離乳後の成体が、再び乳汁を求めるような哺乳動物は、文明人以外には居ない。
文明人とは、生涯、乳離れ出来ない無限哺乳動物のことなのだろうか?
西欧諸国の寒冷牧草地域では、農作物の栽培は難しい。牛や羊に牧草を食べてもらい、その乳汁や肉を食糧とする以外に、生きる術は無かった。
かくして荒涼たる風土の上に肉食・乳食文化圏が形成された。
一方、東洋の高温多雨地域では、豊穣(ほうじょう)な穀物や野菜に恵まれ、土に根をおろした穀菜食文化圏が出来た。
我々が肉・乳食(貧困的食形態)を真似る理由は、西洋コンプレックスに他ならない。
ところで、日本人の九割は、牛乳飲用後、腹痛や下痢を起こす。
それは牛乳中の乳糖を分解する酵素・ラクターゼが存在しないからである。
乳児期には必要だったラクターゼも、離乳と共に生理的に消失するのが正常なのだが、これらの正常者には「乳糖不耐症」とか「ラクターゼ欠乏症」の病名が与えられる。
乳食文化圏の少数者以外、異常というのだ。
これは、世界の成人の大多数を異常と言っているに他ならない。西洋価値観の乱暴な押し付けで、主客転倒もいいところ。
寒冷牧草地域の彼らこそ「ラクターゼ無限分泌症」とでも呼ばれるべき異常体質者なのだ。
また牛乳の継続飲用が、歯や骨などいわゆる硬組織の脆弱化につながる現象を、私は二十年前の拙著『生まれてからでは遅すぎる』で指摘した。
一九八三年、コーシェがその謎を解き明かした。
氏はラクターゼ分泌群と非分泌群に対して、それぞれ「Ca(カルシウム)」単独」と「Ca+乳糖」投与時におけるCa吸収の比較実験を試みた。
その結果、「Ca単独」では二群間に差無し。
だが「Ca+乳糖」投与においては、前者のラクターゼ泌群が161%と増加するのに対し、後者では逆に81%に減少した。
つまり、ラクターゼを持たない一般成人の場合、乳糖とCaとが共存する牛乳を飲むと、その乳糖によってCa吸収が阻害される、という次第である。
昨今の子供達が、骨折しやすく、虫歯になりやすい理由も、これで解けた。
同時にご老人や骨粗鬆症のCa供給に牛乳を―という話も、実は日本人では逆効果になりかねないのだ。
わが国には、食品分析的栄養学の低次元から乳離れ出来ない医学者も少なくないが最良の食生活には低次元栄養学より伝統的食文化の尊重こそ賢明の策、というべきだろう。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。