【里芋湿布を科学する】自分の体は自分で守る民間療法の大切な知恵

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マクロビオティック one テーマ (文)ムスビの会主宰 岡部賢二

今月のテーマ 里芋湿布を科学する 自分の体は自分で守る民間療法の大切な知恵

マクロビオティックの手当て法の三種の神器の一つが里芋湿布です。

私の家族も捻挫や打ち身、切り傷、打撲といったときに里芋湿布で何度も助けられました。

現代医療からすれば、里芋湿布をはじめとした民間療法は迷信のたぐいとして片付けられてしまうのですが、そこには科学的なしっかりとした根拠があるのです。

お金のかからない民間療法を身につけることは、自分の体は自分で守るという自己防衛的にも、また医療費を減らす上でも、重要なことではないでしょうか。

里芋湿布の効能

科学的な根拠とは?

では里芋湿布の効用とは一体何なのでしょう。その一番の働きは毒血の吸い出しです。

毒血というのは酸化した血液、ドロドロ(粘中性が強い)血液、瘀血(滞りやすい血液)、食毒化(腐敗物質化)した血液と言い換えることができます。

なぜ、毒血が引き出されるのかというと、毒血は酸性化した血液なので、アルカリ性の里芋と陰陽の関係で化学的に引き寄せ合うからと見ることができます。

また、病気とは細胞が酸化した状態であり、酸化とはサビ付き現象、老化現象、腐敗状態と捉えることができます。

それに対して、元気とは細胞がつねに還元している状態であり、還元とはサビ取り現象、若返り現象、発酵状態だと捉えることができます。

酸化を引き起こす原因はストレスや電磁波、放射線、化学物質、油脂やタンパク質、精白食品の摂り過ぎからもたらされる活性酸素(プラスイオン)です。

この活性酸素を中和する働きを持つのが活性水素(マイナスイオン)なのです。

腐敗により放出される浄化エネルギーが作用

物質が結晶化する(固まる)ためにはエネルギーが必要です。

水を氷にするには冷蔵庫(電力)を使用し、冷やす必要があります。反対に、氷が溶けるときには、環境にエネルギーを放出します。

例えばウランという物質を急激に崩壊させると、結晶化していたエネルギーが一度に放出されます。これが原子爆弾であり、徐々に放出させるのが原子力発電です。

すなわち物質は崩壊するとき、環境にエネルギーを放出するという法則を持つのです。

原子力は人類が制御できない放射能を排出する点が問題ですが、人体に有益な働きをする崩壊現象もあり、これにより血液をサラサラにする浄化のエネルギー(還元電位)を体内に取り込むことができます。

里芋のような腐りやすいものを病的な細胞の上に貼ると、体熱を吸いながら腐敗していきます。

腐敗するときに、人体に有益な還元電位(活性水素)を放出するのです。

こうして病的な細胞に還元電位が作用することで血液がサラサラ状態となり、修復力や再生力、解毒力といった自然治癒力が増します。

抗炎症、熱取りなどさまざまな効用

つまり病的な細胞が酸化して腐っていく代わりに里芋が酸化し、腐敗することで、細胞が朽ちないように守ってくれるのです。ですから、里芋だけでなく、何でも腐るものを病的な部位に貼ればよいのです。

里芋の代わりに豆腐でもよいし、馬肉、鯉のすり身(生血入り)でもよいわけです。原理が分かれば応用ができます。

ただ、馬肉や鯉は値段が高いので、里芋や豆腐で代用する方が安上がりです。 

この他に里芋湿布の効用としては、やけどや切り傷などの皮膚の再生、耳下腺炎、盲腸炎、中耳炎といった炎症を抑える抗炎症作用、捻挫や骨折の熱取りと修復作用、打撲による内出血の痛み止めと散らしの役割、ガンなどの腫瘍を抑制する作用などさまざまな働きが知られています。

里芋の薬効成分は独特のぬめり物質のムチンです。これは糖タンパク質の一種で、多種多様の糖鎖が結合しています。

この糖鎖にはウイルスや細菌の表面にあるタンパク質を認識・結合してその活動を弱めたり、粘液に取り込んで体外に排出する働きがあることがわかってきました。

またムチンには腫瘍などのタンパク質を分解する酵素も含まれています。

里芋湿布の作り方と手当ての方法

作り方は皮をむいた里芋をすりおろし、里芋の1割のおろし生姜を入れ、里芋と同量の小麦粉を混ぜ、粘りが出るまで練っていきます。

突き刺した箸が立つくらいの硬さまで練ったら綿布(サラシ)、またはガーゼに1センチ近くの厚みに塗り延ばし、患部に貼り、動かないように包帯や腹帯で固定します。

かぶれやすい人はゴマ油を皮膚に塗ってから湿布します。

有効時間は4〜5時間で、慢性疾患の場合は1日1〜2回、急性疾患の場合は、1日3〜4回貼り替えます。

ガンなどの慢性疾患については、生姜湿布をしてから行うと効果が倍増します。もっと手軽に行いたい方は里芋と小麦粉、生姜を混ぜた里芋粉が自然食品店で売られているので、ストックしておくと便利です。

【参考文献】 

「身近かな食物による手当て法」正食出版

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月刊「むすび」 2016年10月号より

正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。

マクロビオティックの料理レシピや陰陽理論、食生活、子育てや健康、環境問題など幅広いテーマを取り上げています。

ぜひ、あなたも「むすび」誌を手にとってご覧になってみませんか?

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Profile おかべ・けんじ

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。

日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。

2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。

著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、

家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。

ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com