今月のFACE 生産者紹介 武久(福岡県筑後市長浜)
●本物の原木乾し椎茸の味
乾物は古来より日本人に食されてきた、伝統的な保存食材です。天日や風にさらし、水分を抜くことで保存性・栄養価が高まるだけでなく、うま味や食感も増します。
扱いに慣れると使い方も簡単で、あと一品ほしいときなど何かと重宝します。
乾物のなかでも身近な「乾し椎茸」ですが、現在日本で流通している乾し椎茸の60%以上は中国産で、そのほとんどが味・香り・歯ざわりの悪い菌床栽培です。
このままでは本物の乾し椎茸のおいしさを知らない人が増えるのでは、と危惧してしまいます。
ムソーの「大分産椎茸」はその名の通り、大分県産の原木栽培椎茸をゆっくり時間をかけて乾燥させた逸品。
市販の中国産と食べ比べれば、その差に改めて驚かれると思います。
●この道50年の目利きが光る
大分県産の乾し椎茸は、国内生産量の38%(平成21年次林野庁統計)を占め、質・量共に日本一を誇る全国ブランド。
樹皮が厚く最も良質の椎茸を育むクヌギ原木を使い、無農薬で栽培される大分県産乾し椎茸は、大型で肉厚な傘を持ち、香りや歯ごたえが良いのが特徴です。
栽培農家は、まずはクヌギを伐採して1m前後の長さに玉切りし、ドリルで穴を開けて椎茸菌を打ち込みます。
その重たい木を風通しのよい木陰に移動させ(本伏せ)、椎茸菌が木の内側に充分に行き渡ったら、湿気が比較的高い林内に移動させて合掌形に組みます(ほだ起こし)。
こうして植菌から約1年半~2年かけて椎茸が発生。
ていねいに採取して、型崩れや変色、シワが生じないよう温度と時間を管理しながら熱風乾燥して出荷します。
(株)武久は、この道50年の椎茸のプロ。
入札所に並んだ乾し椎茸の箱に手を伸ばし、色と形と香りを目利きして納得のいく品だけを仕入れます。
「上等の乾し椎茸とは、しっかり乾燥していて傘の表面に艶があり、裏側は淡い黄色のもの。形は栽培中の温度と雨量によって、肉厚のどんこと傘が開いたこうしんに分かれます」。
こうして仕入れた乾し椎茸を、さらに2~3時間天日にあてて熟成させ、風味とビタミンDを増してから袋詰めします。
●「食の基本」を伝え続ける
(株)武久の武久和生さんは、食生活の変化による乾し椎茸の消費低迷に心を痛める一人です。
「乾し椎茸は水に戻して料理しなくてはいけません。今の社会は忙しい人ばかり、そのため伸びているのは中食といわれる惣菜です。10年前は一世帯当たり年間200g近くの乾し椎茸を購入していましたが、今はその半分。このままだと椎茸産業はなくなってしまいます」。
武久さんは日本の伝統的な和の食材=「ま(豆)ご(胡麻)わ(わかめ)や(野菜)さ(魚)し(椎茸)い(芋)」の素晴らしさを伝えて消費者の健康に貢献しようと、地元でマクロビオティック料理教室を開催。
お子さん連れ歓迎の椎茸狩りツアーも企画して、原木から椎茸を採る感動、食べものへの感謝の心を伝えようと奮闘しています。
11640(ムソー)大分産椎茸大粒どんこ
45g 886円(税込価格)820円(本体価格)
11641(ムソー)大分産椎茸小粒どんこ
45g 788円(税込価格)730円(本体価格)
11643(ムソー)大分産椎茸スライス
15g 367円(税込価格)340円(本体価格)
11644(ムソー)大分産椎茸こうしん
小袋30g 562円(税込価格)520円(本体価格)
11642(ムソー)大分産椎茸こうしん
80g 1,188円(税込価格)1,100円(本体価格)
大分県産にこだわる原木栽培乾し椎茸
ここがGOOD!
●上質な大分県産原木栽培椎茸を使用
●ゆっくり熱風乾燥、天日で熟成
●味・香り・歯ざわりとも最高
どんこ(冬茹)は傘の肉が厚く、縁は強く内側に巻き込み、全体に丸みを帯び、傘が七分開きにならないうちに採取したもの。
こうしん(香信)はそれよりも開いてから採取したもので、傘の肉が薄く、巻き込みは浅く扁平な形をしています。
どんこは含め煮、炭火焼など乾し椎茸が主役に近い料理に、こうしんは他の食材と味を引き立て合うちらし寿司、炒め物などに。スライスは戻りも早く手軽です。
●信頼の「大分乾しいたけトレーサビリティシステム」 【シンボルマーク画像:●●●】
大分乾しいたけトレーサビリティ協議会の加入業者の製品には「大分しいたけシンボルマーク」が貼付されており、製品の一つ一つに固有の商品番号が印字され、その番号で生産・加工履歴を管理しています。
同協議会における「大分産乾しいたけ」の定義は、大分県産の原木に国産の種菌を接種し、大分県内で栽培、採取、乾燥したものをいいます。
●国産と中国産、どう違う?
水戻し率…国産はもとの重さの7~8倍にもふくれますが、中国産は5倍前後にしか増えません。
おいしさ…国産の乾し椎茸はほとんど100%原木栽培であるのに対し、中国産乾し椎茸のほとんどは菌床栽培です。
原木に椎茸菌を植え、森林内に伏せ込んで自然の精気と木漏れ日を受け、1年半から2年もの歳月をかけて発生した原木椎茸と、おがくずにフスマ、米糠、栄養剤などを加えた培地に椎茸菌を植え、ハウス内で3~5ヶ月で発生させた菌床椎茸では、味・香り・歯ざわりが段違いです。
安全・安心感…農薬や添加物を全く使わない国産(原木栽培)と、人工度の高い中国産(菌床栽培)では、安全・安心感が全く違います。
旬の食べもの…国産(原木栽培)の採取は、気温が18℃前後になる春と秋に自然発生したものに限られます。
中国産(菌床栽培)は人工的に気温などをコントロールし、年中収穫されています。ちなみに生椎茸の場合、国産の約70%、中国産のほぼ100%が菌床栽培です。
●乾すことで、おいしさが10倍
乾椎茸は生椎茸に比べ、旨み成分のグアニル酸が10倍も多いのです。
そのわけは、椎茸の細胞には「リボ核酸」と、それを分解して旨みにする「酵素」が存在しますが、生椎茸の生きた細胞中では酵素が自由に動けないように調整されています。
ところが乾燥させると細胞が壊れてコントロールがなくなり、この状態の乾し椎茸を水戻し、調理加熱すると酵素が働き始め、旨み成分のグアニル酸が増えるのです。
香りも同じような仕組みで、生椎茸に含まれるレンチニン酸に対して、乾し椎茸では加熱するとやはり酵素が働き、レンチオニンという香り成分が生まれます。
●ひたひたの冷水でゆっくり戻す
5℃くらいの冷水(冷蔵庫内)に、こうしんは5時間ほど、どんこは10時間前後かけて戻してください。
早く戻したいときは冷蔵庫内で約1時間水戻ししてから四つ切りか八つ切りにして、再度30分くらい水戻しします。
冷水は浸るくらいの分量がベスト。ビニール袋に水とともに入れ、口をしっかり閉めて冷蔵庫に入れておくと、場所をとらず香りも飛びません。
戻し汁は捨てずに椎茸だしとしてお使い下さい。
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