森下敬一 『食べもの健康法』●しいたけ
日本の伝統的料理の味は、かつおぶし、こんぶ、しいたけの三種をうまく取り合わせたダシがベースになっている。
このうち、椎茸は中国でもかなり使われていて、しいたけ、ねぎ、豚肉を使ってカタクリ粉でとろみをつければ、素人向きには、だいたい中国料理らしきものが出来上がるほど。
最近は、椎茸ブームだが、味覚的な受け入れ素地があったことも重要な要素になっている。
昔から「しいたけ業者はカゼ知らず」といわれている。
商い物のくずを自家消費して、そのおかげで風邪をひかなかった、というわけ。胞子に含まれる成分が、ビールス性の炎症を抑えるのに卓効をあらわすのである。
このしいたけに制ガン作用もあるらしいと、最近いわれだした。ある種の核酸の働きによるものといわれるが、まだよくわかっていない。
その制ガン作用はさておいても、しいたけには次のようなさまざまの作用がある。
まず、新しいある種のアミノ酸(エリタデニン)が、代謝を高める。それは、特に血液成分の代謝に効果的に働いて、血液中の余分なコレステロールを体外に排泄する作用が著しい。
そのため、しいたけを常食していると高血圧、動脈硬化の予防・治療に役立つ。同時にそれは、腎臓病や胆石にも有効。
さらに血液循環をよくするので、不眠症、肌のシミを解消するとともに、胃酸過多、胃潰瘍にも効く。
椎茸に特有の成分は、ビタミンB12とD2だ。B12は造血作用に不可欠なビタミンで、D2は造骨に欠かせない成分。
だから、しいたけは貧血やクル病の防止にも役立つわけだ。
ところで、しいたけは「菌そのもの」というちょっと変わった食物で、それだけに個性が強く、視点を変えると、大変に違った表情を見せる。
すなわち昔から厳格な食養を行ってきている人たちは、体を著しく陰性化させる食物だから、よほど陽性体質の人でない限り要注意、といっている。
それに対して、欧米の研究成果などにも力を得た最近の研究家たちは、あたかも万能薬のようにいう。
これをどう判断すべきかというと伝統的な食養の見方も大いに考慮しつつ、新たに明らかにされた薬効を最大限に活用するのが賢いやり方だろう。
これまで、肉、卵、牛乳を多食していた人はしいたけを毎日3~4個食べ、さらにしいたけ茶を飲むというように、多めにとってもよいが、もっぱら白米、白パン、甘いもの、果物をたくさんとっていた人で、体が冷えやすかったり虚弱体質の人は、控えめにしたほうがよい。
だれもが安心してとってもよいのはダシ。
茶っぽい色は、メラニン色素で、内分泌の働きを盛んにする作用がある。
■しいたけスープ
材料(4人分)
・干ししいたけ・・・4枚
・れんこん・・・80g
・大根・・・80g
・しょうが・・・1片
・自然塩・・・小さじ1
・自然酒・・・大さじ1
・だし汁・・・4カップ
<作り方>
①干ししいたけは、もどしたものを千切りにし、れんこん、大根は、あられ切りにし、しょうがはすって、汁をしぼっておきます。
②だし汁で、れんこん、大根、しいたけを煮て調味し、しょうが汁を落とします。。
■しいたけ飯
材料(8人分)
・玄米・・・4カップ
・しいたけ・・・5枚
・しょう油・・・大さじ3
・自然酒・・・大さじ2
・自然塩・・・少々
・ミネラル水・・・5カップ
・のり
<作り方>
①玄米は水洗いしてザルにあげ、しいたけは千切りにします。
②圧力釜にのり以外の材料・調味料を仕込み、強火にかけ、沸騰したら弱火で25分間炊き、火を止め、5分して蒸気を抜き、10分蒸らします。
③器に盛り、千切りののりを散らします。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。