未来に進む中国 過去に沈む日本――「波動医学」講演に招聘されて……(1)

シェアする

船瀬俊介連載コラム

マスコミのタブー200連発〈117〉(月刊『ザ・フナイ』)

未来に進む中国 過去に沈む日本――「波動医学」講演に招聘されて……

14億大国、認知症治療に「波動医学」導入

「日本人に中国が講演させるなんて……ありえませんよ」

傍らから笑顔で耳打ち。西堀貞夫氏。80歳。

「人に聞いてごらんなさいヨ。びっくりしますよ」

彼は「音響免疫チェア」発明者として知られる㈱アイン興産会長。1200件もの特許を所有し、日本屈指の発明家でもある。

今年の8月、中国側から、我々二人に正式招待が届いた。

「波動医学」に関する講演の依頼である。テーマは「音響チェア」の原理と効用。

それに先立ち、私は一冊の本を著している。

『なぜ中国は認知症に「音響チェア」を導入したのか?』(徳間書店)副題は『「波動医学」の新しい夜明け』。

高齢化社会に直面し、最大の課題が認知症の増加である。それは、中国も例外ではない。

とりわけ「一人っ子政策」により少子高齢化が進む中国。その対策は焦眉の急である。

しかし、向精神病薬による薬物療法は、逆に認知症を悪化、深刻化させている。

寝たきり老人は、ヨーロッパの8倍!

日本における老々介護の悲惨は、もはや筆舌に尽くしがたい。そして、認知症〝治療薬〟の「副作用」が〝物忘れ〟なのだ……!

日本における老人介護の悲惨を横目で見てきた中国は、脱薬物療法に大きく舵を切った。

かれらが決断したのが「老人にやさしい」認知症対策である。

そこで、着目したのが西堀氏の発明した「音響チェア」なのだ。その効用は、本書連載でも紹介した(132号、138 号など)。

私は、これまで『未来を救う「波動医学」』(共栄書房)と『世界に広がる「波動医学」』(同)で、「波動医学」の「原理」と「応用」を解き明かしてきた。

そして――。

第三冊目は「実践」編となる。それも14億人の大国が認知症対策で導入を決意したのだ。

それは、「西洋医学」から「東洋医学」へ……決別宣言。習近平政権、英断の象徴でもある。

上海の空はどこまでも晴れ渡っていた

JAL85便は、初秋の青空にゆっくりと舞い上がった。

9月20日、羽田から西へ、2時間半のフライト。目的地は上海。同道は㈱アイン興産社員、池田さん、野沢さん両名。いつも笑顔の西堀シスターズである。

中国は17年ぶりだ。2002 年9月、天津、北京を訪ねた。1945年6月秋田県花岡町(現大館市)の花岡鉱山で勃発した中国人労務者の一斉蜂起。

この花岡事件で犠牲となった中国人労働者419人への慰霊の旅に参加したのだ。

天津の赤茶けた禿山、北京の曇り空が記憶に残る。特に首都の大気汚染は聞きしに勝るものだった。

なにしろ、100mほど先がかすんで見えない。そんなトラックが行き交う道路の脇を遠く歩くアベックの姿。北京の恋人たちは可哀相だな……と見つめたのを昨日のことのように想い出す。

傍らの西堀氏は続ける。

「中国に行ったらビックリしますよ。ガソリンバイクなんて走ってません! みんな電動スクーター。日本ではまったく報道しないからねぇ」

そういえば……、

手元の機内誌を開くと次の一文。

「……10年前、いや3年前、現在の北京の姿を、いったい誰が想像できただろうか? 驚くほどのスピードと規模で変貌する中国の首都……。みなぎる高揚感のなかで、予測不能の未来さえ熱く語る人々。激動するダイナミズムとモダニズムは唯一無二」(平野久美子氏、『SKYWARD』2019年9月号)

ここにも、中国の変貌ぶりに驚嘆する識者がいる。

上海浦東国際空港着。入国審査では「顔認証」、さらに両手、親指「指紋」を画面にタッチ。時代の変化を感じる。

驚いたのは西堀氏への対応。窓口でパスポートをチラリ一瞥。どうぞ、と左へ会釈。なんと、顔パス!

「先生はVIPなんですねぇ」と二人のシスターズもビックリ顔を見合わせる。

今回の招待が中国政府による特別待遇であることを実感する。

広大な上海空港に降り立ち、まず驚く。空がどこまでも晴れ渡っている。

かつての北京、天津とは、まったく異なる。

到着してすぐ、案内役の連紅英さんがニコニコ語りかけてきた。彼女は、習近平の妹かと思うくらい、そっくりさん。

いつも穏やかな大陸的な福相である。

「先生、リニアに乗りましょう!」

「エッエーッ!?」

のっけから意外な提案。ちょっと……私はパス……と首をふる。でも「たった8分よ」。

女性陣も「せっかくだから体験ですよぉ!」。虎穴に入らずんば虎児を得ず。そんな短時間なら、電磁波も、まぁ問題ないだろう。ハラをくくった。

しかし、上海にリニア鉄道が稼働しているとは……意外だった。

2010年、上海万博でデモンストレーション用に建設されたものが温存、活用されているのだろう。

なにしろ、この万博に北京政府が投下した金額が半端ではない。

「地下鉄や空港などのインフラ建設や都市整備などを含めると4千億元(約5兆5千億円)が投入された」(Wikipedia)

リニア改札上の表示は「磁浮 Maglev」と分かりやすい(写真1)。

税関同様、手荷物検査と身体チェックがある。車体はなかなかスマート(写真2)。

内部はブルーのシートが5列。やや緊張のうちに、ゆっくり走り始める。たちまちスピードアップ。2分ほどで時速351キロ……さらに加速して431キロ、これが最高速度。

車窓を広い緑地が後方に飛ぶ。……と、次第にスピードダウン……して、上海駅に到着。いささか拍子抜け。気張っていたからか、電磁波の影響は感じなかった。

沿線に建物がなかったのは、周辺への電磁波による影響を配慮しているからだろう。

バイクは全て電動、電気バス、電気自動車も普及

迎えの車で上海市内へ。斬新デザインの高層ビル林立。かと思えばクラシカルな建物も(写真3)。

驚くほど沿道が整備されている。綺麗に手入れされた紅色の花壇が延々と続く。

とにかく、道路という道路、すべて沿道は花で飾られている(写真4)。

さらに、高速道路の中央分離帯も、植木、植栽が綺麗に連なり、見事に刈り込まれている。

都市部では必ず並木が配置され、街にはそれこそチリ一つ、木の葉一枚落ちていない。清掃作業員が、ゆったり並木道を車を引いていく。

中国政府が環境美化に、どれほど予算をさき、力を入れているか。それが、街のすみずみに眼を向けるほどに、判ってくる。

大通りを走るのは乗用車ばかり。バイクは思いの他、少ない。

「走っているオートバイは全部、電気です。信じられます!?日本のメディアは一切、伝えない。悪質ですね」(西堀氏)

オートバイは古い型なのに、よく見ると排気管がない。

エンジンをモーターに置き換えているのだ(写真5)。

道路沿いには同じデザインの黄色い自転車が何台も駐輪している(写真6)。

市民はスマホで予約し、1元(約18円)の料金で乗り放題。ここにも、中国政
府の環境対策がある。

「……あれも、これも電気バスね。ちゃんと書いてあるヨ」

連さんが指差す。電気自動車(EV)のナンバープレートも緑色で区別されている。そんな、緑プレート車が何台も走行している。

おそらく税制などでも優遇されているのだろう。

中国政府の大気汚染対策への本気度が伝わってくる。

そういえば、旅の途上で、中国が誇る五大名刹の壮大な山寺を訪ねたときも感心した。

「この山は有名な観光地ですが、ガソリン車は一切、入れません」と連さん。

「観光客は下で車を降りて、電気バスに乗り換えて山頂まで登ります」

そのため広大な駐車場が整備されている。隣の駐車場には、なんと若草色のEVバスが100台余りも駐車。まさに、圧巻である。

ヨーロッパ・アルプスなどでは環境保全のためガソリン車乗り入れを規制している。

同じ環境保全を中国政府は、実施しているのだ。

出発前、西堀氏は「今の中国は、空もきれい、川もきれい!」と驚嘆していた。

まさに然り。百聞は一見にしかず。

大通りを走行する車列を見ていて、ハタと気づいた。日本では道路を埋め尽くしている軽自動車がまったく見当たらない。ワゴンRもタントも中国には一台もない……!?(写真7)

そもそも中国の自動車産業には「軽」という発想すらない、という。

「日本も軽自動車を作るなら、全部、電気にすればいいんですよ。軽くて小さいなら、電気自動車に最適ですよ。だけど、業界には、そんな発想もない」

西堀氏は、首をふり、なげく。

「日本はオシマイですよ……」。

日本では、テレビCMは「軽」ばかり。日本人が軽自動車しか買えないほど、貧しくなったことを痛感する。

高級乗用車が埋め尽くす中国の高速道路を走りながら、ただ、ため息しか出ない。

写真で婉然とほほ笑む五人の美女たち

初日、滞在先は「上海マリオット」(写真8)。

市内屈指の高級ホテルである。招待してくれた中国側の誠意が伝わってくる。

その熱意は、意外なところでも大いに発揮されている。

中国側は、出発前に西堀氏のもとに、メールで5枚の写真を送ってきた。

「音響チェア・モデルに、どの娘がよろしいでしょうか?」

なんと、それは中国の俳優養成所の女性たち。

18歳から20歳。どれも、息を呑のむほど絶世の美女ぞろい。

その五人から一人、西堀先生に選んでほしい……というメッセージ。

「これは、困っちゃったねぇ」と、首をかしげ、相好をくずす。苦笑い。

わたしも呆れて、大笑い。日本では考えられない。さすが中国、熱意の伝え方がストレート。

「ウーン、やっぱり五番目だなぁ……」と、けっきょく、相手側に〝意向〟を伝えた、という。

提案してきたのは、中国側の演劇、映画界などを取り仕切っている超実力者の女傑。

彼女は、乳ガンなどを患い、西堀氏に相談。そのアドバイスで「音響チェア」療法に専念し、ついにガンを完治させている。いわば、西堀氏は、命の恩人なのだ……。

それだけに、中国全土での「音響チェア」普及にかける女史の思いには熱いものがある。

中国側は、認知症治療へのチェア導入の先をすら見越している。

それは、映画、演劇などエンターテイメント部門への普及である。

すでに、中国は「3D音響シアター」まで、提案してきている(写真9)。

立体スクリーンに囲まれているのが、「音響チェア」である。

観客は、これまでの体験を超越した〝音の響き〟を背中から〝聴く〟ことになる。

それは、従来のドルビーやサラウンドを遥かに超えた音響体感となるだろう。

なにしろ、中国側のホンネは、打倒ハリウッド!打倒ディズニー! なのだ。

続きはこちら:未来に進む中国 過去に沈む日本――「波動医学」講演に招聘されて……(2)

ザ・フナイ 2019年12月号 

ザ・フナイ 2019年12月号  マスコミのタブー200連発〈117〉 より

今回は著者の意向により記事を全文公開。

月刊『ザ・フナイ』は、船井幸雄が「世の中を変える意識と行動力を持つ人に向けて発信する」と決意し、(株)船井メディアより2007年10月号から創刊した雑誌です。

選りすぐりの豪華執筆陣による、新聞・テレビなどが報道しない世界の裏の動き・情報を、毎月お届けしています。

舩井幸雄が自らの多様な人脈の中から選りすぐった豪華執筆者からの情報をはじめとして、まだ広く知られていない諸分野の情報、先がけた情報を、偏った一方的な見解ではなく様々な視点を用いて、毎月お届けしています。

【マス・メディアには載らない本当の情報がここにはある】

月刊誌『ザ・フナイ』: http://evavision.shop-pro.jp/

月刊誌『ザ・フナイ』年間購読: http://evavision.shop-pro.jp/?pid=112414187

【アマゾン・リンク】

⇒ ザ・フナイ vol.146

⇒ ザ・フナイ vol.145

バックナンバー一覧はこちらから: 月刊 ザ・フナイ

logo2

船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

船瀬俊介公式ホームページ= http://funase.net/

船瀬俊介公式facebook=  https://www.facebook.com/funaseshun

船瀬俊介が塾長をつとめる勉強会「船瀬塾」=  https://www.facebook.com/funase.juku

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

船瀬俊介 著作特集はこちらから