黄色と共鳴する臓器は胃と脾臓の経絡【色彩心理学と陰陽五行】

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マクロビオティック one テーマ31 文)岡部賢二

色彩心理学と陰陽五行~土用編

前回、前々回と青色と赤色が持つ物理的、生理的、心理的な働きについて解説してきましたが、今回は土用の季節と共鳴する黄色について、陰陽五行の胃・脾臓系との関係から見ていきましょう。

黄色は移ろいの色で変化性を象徴

信号機の真ん中に位置する黄色は移ろいの色であり、変化性を象徴しています。

ファーストフードのレストランの椅子に黄色がよく用いられているのは、回転率(稼働率)を良くするためです。

これは、黄色を用いることで落ち着かなくなり、居心地が悪くなるからでしょう。

工事中の看板に黄色が使われるのは、まだ完成していませんよ!という意味合いや注意喚起を促しているのでしょう。イエローカードにも同じ意味があります。

黄色と共鳴する臓器は五臓の中では胃と脾臓の経絡です。

脾臓は現代医学ではすい臓にあたり、色は黄色です。手足や顔色が黄色くなってきたら、胃とすい臓が疲れてきた危険信号です。アレルギー体質の方に多く見られます。

そうした胃の弱い方に見られる特徴は、きまぐれで、飽きっぽい性格です。移り気がはげしく、1つの物事を継続する力が弱く、根気が続きません。

すぐに新しい健康法や新商品に飛び着くけど、すぐに飽きて目新しいものに意識が移るという方が多いようです。他者に依存的な性格と言ってもよいでしょう。

食べても飽きが来ない中心軸を据える食べ方

陰陽五行では、胃・脾系の季節は土用にあたります。

土用とは季節の移行期間で、立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間をさしています。

陰陽の気が安定せず、心身の不安定さから自己否定的になって落ち込んだり、体調を崩しやすくなります。

また、過食傾向や、甘いものが無性に食べたくなるこの時期には、365日食べても飽きが来ない中心軸を据える食べ方が重要です。

それがごはん、味噌汁、漬物です。軸がブレやすく、不安や心配、取り越し苦労、持ち越し苦労、考え事が多く、方向性が定まらないという方は、中心軸となる食べ物を摂ることで体調を整えることができます。

さらに、おかずを減らし、一汁一菜といった粗食にすることで調子が戻ります。

黄色は消化器系や神経系に影響を与えるので、黄色くて甘みのあるカボチャやとうもろこし、さつまいも、栗といった食材を甘みとして用いると、甘いものへの欲求が減り、気分も安定します。

しかし、同じ黄色い食べ物でも黄身のある卵を食べ過ぎると落ち着きがなくなることがわかっています。

アメリカで600人の知的障害児の食事の調査を行った結果、ほぼ全員に共通していたのが卵好きということでした。重度の知的障害児の中には一日に卵を6個以上食べていたケースもありました。卵の親であるニワトリに落ち着きがないように、人間もまた、プリン体の多い卵を食べ過ぎると注意欠陥多動性障害(ADHD)といった問題が生じやすいようです。

シュークリームやプリンなどの卵製品の食べ過ぎには注意しましょう。

ベージュと白と緑は癒しの三原色

黄色には、映画「幸福の黄色いハンカチ」に見られるように希望や幸福、金運、改革という意味があります。

風水では黄色は金運アップを意味しています。黄色が光輝いた色である金色は、高級感や豊かさを表す色で、クレジットカードのゴールドカードはVIPカードですし、金箔を貼った仏像は極楽浄土をイメージさせます。

我々は黄色人種であり、黄金の国ジパングに住んでいるのですから、もう少し幸せ感が増えるといいですね。

そして、黄色に落ち着きという働きが加わったのがベージュ(黄土色)です。

ベージュと白と緑は癒しの三原色と呼ばれ、上手く活用することで、心身に落ち着きをもたらしてくれます。

例えば、土壁や柱、畳といったベージュで構成された古民家にいると落ち着くのは、ベージュにや障子、ふすまの白色、庭木の緑が心を落ち着かせてくれるからです。

食べ物では、ベージュの玄米と味噌汁、漬物に塩(白)と青菜(緑)があげられます。

強すぎる黄色の緩衝材となる色が緑(青)です。菜の花やタンポポの黄色に緑が添えられると美しくなります。

卵にニラやネギの緑を添えてニラ玉、ネギ玉にすると精神安定効果が期待できます。

黄色みのあるラーメンや味噌汁にはネギを、茶碗蒸しには三つ葉を、卵焼きにはパセリを、とんかつにはキャベツを添えると見栄えが良くなります。

土用の時期は、黄金色の太陽の光を浴び、幸せ感を感じながら過ごしてはいかがでしょうか。

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月刊「むすび」 2018年06月号より

正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。

マクロビオティックの料理レシピや陰陽理論、食生活、子育てや健康、環境問題など幅広いテーマを取り上げています。

ぜひ、あなたも「むすび」誌を手にとってご覧になってみませんか?

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Profile おかべ・けんじ

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。

日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。

2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。

著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、

家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。

ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com