脂質を貶すのではなく感謝しよう【脂質は生きるために必要な多量栄養素のひとつ】

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レッスン20 脂質

脂質を貶すのではなく感謝しよう

脂質は生きるために必要な多量栄養素のひとつです。

炭水化物はエネルギーを、たんぱく質はコア・エネルギー(スタミナ)を与え、脂質はこれらのエネルギーを蓄えてくれます。

身体は、新陳代謝、細胞膜やホルモンの構成要素、内臓を温め、体熱を保つために脂質を使います。

脂質は脳の大部分の構成要素となり、細胞を滑らかにし、肌に水分を保ちます。

大人よりも多くの量を必要とする子ども( 特に赤ん坊)の成長にとって非常に重要なものです。

また、食物に味を与え、栄養の吸収スピードを落とすことで食事の満足度を高めます。

食事に脂質は欠かせませんが、健康のためには正しい脂質を選び、間違った脂質を避け、「正しい」か「間違っている」かに関わらず摂取量に注意することです。

脂質には様々なものがあります。

化学構成に応じ、飽和脂肪、一価不飽和脂肪、多価不飽和脂肪に分類されます。

それぞれの脂質の簡単な見分け方は、常温、冷蔵で( それぞれ)固体か液体かどうかです。

脂質は構造や長さでさらに分類することもできます。

脂質は炭素原子とその結合部を埋める水素原子の鎖である脂肪酸で成り立っています。

飽和脂肪酸の炭素結合は全て水素原子により担われています。

飽和脂肪酸は安定しており、熱により簡単に分解しない真っ直ぐの短い鎖です。

一価不飽和脂肪酸の鎖には欠けている部分があります。2つの炭素原子が互いに結合し合い、2つの水素原子が欠けているのです。

鎖内の欠如部分のため、この脂質は液体ですが比較的安定しています。

この鎖は簡単には分裂せず、変敗しません。一価不飽和脂肪酸の長さは中~長の間です。

多価不飽和脂肪酸は、鎖内に一つ以上の欠如部分があり、長~非常に長い原子鎖を形成します。

多価不飽和脂肪酸の油は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸の油よりも腐敗しやすいです。

植物性脂質の供給源は主に植物の種です。種が発芽すると、成長エネルギー源として脂質を使います。

この脂質が芽に栄養を供給し、葉や根に渡る十分な量のエネルギーを芽自身が生み出せるまで大きく成長します。

食事に脂質を摂り、質の高いものを選び、変敗しないよう調理する際に熱を加え過ぎないことが大切です。

今回のエクササイズは脂質について考え、料理の中の脂質を見つけ、体感していきます。

Exsecise20 メニュープランの脂質を見極める

エクササイズ17で作成した「理想的なメニュープラン」(生活の中で栄養が占める位置を把握する【理想的なメニュープランを考える】)から、主な脂質の供給源を見つけましょう。

① 毎日食べても良いヘルシーな脂質の供給源となる次の食材に印(FF)を付けましょう。

● クルミやアーモンドなどのナッツ類、アーモンドバターやピーナッツバターなどのバター類

●ゴマ、ヒマワリ、カボチャなどの種、タヒニなどのバター類

● サラダで使われるエクストラ・バージン・オリーブオイル、調理で使われるゴマ油など、有機の未精製油を含む食物や料理

● 亜麻仁や魚油など補助食品として使われる有機の未精製油

②毎日食べることは推奨できないヘルシーな脂質の供給源となる次の食材に印(F)を付けましょう。

● 有機のバター、ギー、有機の全乳などの乳製品

● 有機の肉、家禽、卵、魚

●どの料理にも使われる有機の未精製エクストラ・バージン・ココナッツ油

● 質の高い油を使用した自家製の揚げもの

● 質の高い油を使用した自家製のデザート

③理想とはほど遠く、食べるのを避けるべき脂質の供給源となる次の食材に印(XF)を付けましょう。

● 特にアイスクリーム等、畜産業の仕組みで生育された動物性食品と乳製品

● 有機や未精製の表示がされていないカノーラ(なたね)油、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、紅花油、

大豆油を含む食物や料理(いずれかの油を含むチップス、クラッカー、クッキー、グラノーラ等の加工食品。健康食品店であったとしても、未精製の油を含む商品も同様に印を付けましょう)

●レストランで食べる食事(質の高い油を使用しているレストランは稀です。キッチンに信頼が置けない場合は、油は安物であまり健康的なものではないと考えましょう。

※穀類や豆類にも脂質は含まれていますが、炭水化物やたんぱく質と比べ量は非常に少なく、供給源としては補助的な役割となります。

そのため、このエクササイズには含んでいません。


体内の脂肪の蓄積は、寒い冬、飢饉、女性の場合は出産など、極端にエネルギーが必要な時のためのエネルギーの貯蔵庫です。

貯蔵庫内のエネルギー量を測るには、断食に対するあなたの反応を確かめることでできます。

脂肪の蓄積がない人は断食を行うと健康を悪化させる可能性があります。

蓄積が十分にある人の場合、活力が湧きます。レッスン14で行った限定断食を思い出してみましょう。

断食後、気分が良くなりましたか?あるいは翌日疲れてしまいましたか?

脂質は、エネルギーの貯蔵庫であり、生存・成長・健康に不可欠なものです。

あなたの直感が、どのくらいの脂質を必要としているのかを教えてくれます。

あなたの身体の反応が、直感にフィードバックを送ってくれます。あなたの脂質に対する直感を育み、何を、どのくらいの頻度で使えばよいのかを決めましょう。

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月刊マクロビオティック 2018年9月号より

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Julia Ferré

北カリフォルニア在住。夫のCarl Ferréと共にGOMFを運営。

GOMF発行「Macrobiotics Today」誌への原稿執筆、毎年のサマーキャンプの運営を行う。

新刊「Food and Intuition 101」に加え、「Basic Macrobiotic Cooking」「French Meadows Cookbook」の著者。

HP:www.JuliaFerre.com

foodandintuition-jp.jimdo.com