免疫力が高まれば体内に溜め込んだ毒素の排泄が活発に行なわれる【好転反応と副作用】

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小澤博樹 連載コラム

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玄米菜食を実践し、治病にあたっていると、ある時期、好転反応あるいは瞑眩という現象が起こってくる。これは病気が治癒していく過程で、症状がかえって悪化してくる現象のことである。

この現象は病気の治癒に精進する患者にとって歓迎すべきものなのである。

その治療法が適切なものであった際に出現する、症状の一時的な悪化である。

しかし治療が不適切であったり、患者が治療中に邪食をしたときも症状は当然悪化するので、この点の鑑別が必要になってくる。

病気とは、体内に毒素が蓄積され、人体の生理機能が障害された状態である。

玄米菜食をする事によって生理機能が正常化されていく過程で、体内に蓄積された毒素が体外へと排泄されていく。

この排毒の時期に、症状が悪化し、それを好転反応あるいは瞑眩と称しているのである。

現代医学的治療では、化学薬品や放射線、輸血などの毒物を投与するので、好転反応は起こりえないし、ましてや病気治癒など起こりうる筈も無い。

それは病気の進行によって、あるいは化学薬品の副作用によって起こるものである。単なる医原病だ。

玄米菜食によって病気治療を始めた人が、最初に好転反応としての病状の悪化を経験すると、現代医学的治療の化学薬品の副作用と混同し玄米菜食を中止してしまうことがあるが、好転反応と副作用とは似て非なるものである事と認識してほしい。

玄米菜食による人体の排毒機点である好転反応は、発熱、発汗、嘔心、嘔吐、下痢、倦怠感などの症状として現われてくる。

高血圧、坐骨神経痛、腰痛などを訴え、当院での玄米菜食を中心とした加療を始めたある患者は、免疫機能があがり(PRA波動測定検査上)、そのレベルを3ヶ月持続したところ、著名な好転反応が現われている。

また他の患者の例をあげると、40℃前後の発熱という現象をとったが、その発熱は4ヶ月以上続いた。

しかし発熱するごとに血圧は正常化し、今まであった痛みも消失していったのである。

好転反応

好転反応について、波動医学的な視点から説明を加えるとすれば次のようになる。

患者の障害されたシステムを正常化させる周波数(波動)をもった、玄米菜食あるいは補助的治療用剤(天然素材のもの)を患者に与える事によって、今まで休眠状態(障害されていた)にあったシステムに共鳴現象を起こし、そのシステムを目覚めさせ、正常化するのである。

そのシステムが目覚めることにより排毒が促進され、好転反応がおこるというわけだ。排毒が完了し、そのシステムの修復が完了すれば、病気治癒が起こるのである。

実際に陰陽論に基づいた玄米菜食により病気を癒やしていくうえでどのような事に気をつけていけば良いのだろうか。

癌を例にあげて説明していこう。

現代医学では、この病気にはこの薬を、あの病気にはあの薬をと、病人の体質を無視した薬物療法が行なわれている。

また薬自体が毒物なので病気を治すことはできず、さらに悪化させていく事になる。

ところが東洋医学的な見地からすれば、癌という病名は存在しない。あるのは陰性過多か陽性過多かの病気の状態を示すのみである。

便宜上、癌という病名を使って説明していくことにするが、癌は「癌の腫瘍が大きくなっていく」「転移や浸潤をおこして広がっていく」という基本的に陰性(拡張する)の性質を持っている。

しかし、他の病気(糖尿病やリウマチなど)同様、癌にも陰性の癌と陽性の癌が存在する。

陰性の癌は、陰性の性質、つまり拡張するという性質があるため、癌の進行スピードは速い。

一般的に陰性の癌は中空の臓器や軟性の臓器、例えば胃、大腸、乳房、膀胱、皮膚などの陰性な臓器や組織に発生する。

陽性の癌は、陽性の性質、つまり縮まるという性質があるため、癌の進行スピードは遅い。

一般的に充実性の臓器や引き締まった臓器、例えば肝、十二指腸、膵、腎、脳などに発生する。

陽性の癌患者は陰性の癌患者に比べ元気である。反対に陰性の癌患者は癌の進行に伴って早々と寝たきりになるケースが多い。

体の上方に発生する癌は体の下方に発生するものより一般に陰性である。例えば、肺癌の方が、前立腺癌や子宮癌より陰性の場合が多い。

体の左側に発生する癌は右側のものより陰性である。そのため左乳癌の方が右乳癌より陰性の場合が多い。

しかし、陽性の臓器、肝や腎に癌が発生したからといって、必ずしもそれが陽性の癌だとは限らない。陽性の臓器には陽性の癌が発生する傾向があるという意味である。

過去に扁桃腺切除、虫垂切除あるいは、腎や胆のう、子宮、卵巣などの臓器を摘出、妊娠中絶などの手術を受けたことがある人、または降圧剤や抗糖尿病薬、ビタミン剤などの化学薬品を長期間摂取し続けていた人ほど、後に癌が発生した場合、その進行スピードは速くなる。

これらの手術や投薬により、免疫機能や生理機能、代謝・循環機能などが低下するからである。

現代医学では、癌患者に対し余命は何年であると宣言するが、以上のように個々の癌の性質は全て異なるため、余命を把握する事など不可能である。

確かに、現代的な食生活をしながら、抗癌剤の投与や放射線治療を行なうという条件の元での余命予測はある程度可能であろうが、患者が食生活や生活習慣を改め、現代医学的治療から離れた場合、免疫力が強化され、肉体的にも精神的にも向上していくため、予測されていた余命期間を大幅に延長させるのは明らかである。

「癌が治ったら玄米菜食をやめ、もとの食生活に戻ってもいいですか」とか「玄米菜食をいつまで続ければいいですか」といった質問を受ける事がある。

症状が少しでも改善してくるとこのような質問をする人がいる。この手の質問を受けるたび、食養生の意味が未だに理解されていないのに落胆させられる。

玄米菜食こそ人間にとって最も適切な食事であり、現代的な食生活はむしろ異常で有害なものである。この事が理解されない限り、病気はいつまで経っても治らないだろう。

このような我欲を捨てられてこそ、病気治癒に結びつくのである。やっとのことで克服した癌をまた再発、悪化させたくないのなら、玄米菜食を一生続けていく以外に無い。

癌の治癒のために、当院に入院し、玄米菜食を始めると、体重が減少してくるが、この事を心配する人もいる。

今まで肉や魚や菓子類などを食べ放題食べてきた生活から、一日二回の玄米菜食にするのだから、痩せるのは当たり前である。

また、癌などの消耗性疾患にかかれば、否応なしに痩せていく。むしろ、やせる必要があるから痩せるのである。

玄米菜食をして痩せるのは、今まで体につけてきた贅肉を落とす事である。

贅肉つまり脂肪組織の中には、ダイオキシンや環境ホルモン、重金属、放射性物質など多種の毒素が含まれており、それらを排泄する事に他ならない。

特に玄米に含まれるフィチン酸や食物繊維などにはこれら毒素の排泄促進作用があるからである。

また別の角度でみると癌細胞からは、トキソホルモン・Lと呼ばれるアルブミンの一種が分泌される。

これは癌細胞から分泌される毒素でもあり、この毒素が癌患者の脂肪分解を促進したり、満腹中枢を刺激して食欲の低下をきたす(奥田拓道、熊本県立大学環境共生学部教授)。このような理由からも癌患者は痩せるのである。

毒素が全部排泄されてしまうまでは、体重が増加していくことはない。これも排毒現象、つまり好転反応のひとつである。

癌患者の腫瘍マーカーの値が高くなるのもこの事と同様な意味を持つ。腫瘍マーカーも、癌細胞から分泌される毒素を測定しているからだ。

癌が治癒していく過程には腫瘍マーカーの値は高くなり、その毒素が排泄されてしまうまでは、その高値が続くのも当然のことである。

しかし、現代医学は腫瘍マーカーの値のみを下げようと抗癌剤を投与する。抗癌剤を投与すれば、その酸化力により癌は一時的に溶け、腫瘍マーカーの値も低下することもある。

しかし抗癌剤の投与により癌患者の体は更に酸化し、新たなる毒素(抗癌剤)を体内に蓄積することになる。

その結果、ある時期を過ぎると癌は更に進行し、腫瘍マーカーも高値を示すようになる。

癌患者の体がどの程度酸化しているか示すのが腫瘍マーカーの値であるのだから、そこで抗酸化力のある玄米菜食をし、抗酸化力のある健康補助食品(補助的治療用剤)を投与するという治療法を当院では行なっている。

誰が考えても、現代医学的な矛盾した治療法よりも、この治療法(玄米菜食)の方が理に適うものと分かる筈である。

当院で用いる健康補助食品は、これも患者に投与する以前に、PRA波動測定装置によって、それが有効か否かを判定(マッチングテスト)している。

その結果、有効と判定されたものだけを投与する。

癌細胞は一般的に夜間増殖する。特に陰性の癌は夜という陰性の要素が加わることによって、より陰性化するため増殖するのである。

正常な細胞のDNA合成は日中に亢進し、夜間に減退する。

逆に癌細胞のDNA合成は夜間に亢進するために、夜間、癌の増殖が活発になるのである。また、午後からは免疫力も低下する事も相まって、癌はさらに増殖しやすい環境となる。

夜間の癌の増殖を抑制するためにも、常日頃から無農薬有機農法産の食材を使った玄米菜食を実践し、体質の中庸化をはかり、免疫機能を向上させていかなければならない。

好転反応あるいは瞑眩は、患者の免疫機能が向上してくると発現するものである。

免疫力が高まれば、今までの体内に溜め込んできた毒素やゴミの大掃除が始まる。体内のいろいろな機能が正常化し、毒素の排泄が活発に行なわれるようになっていく。

好転反応が発現すると今までより症状が重くなり、つらく感じる場合もあるだろうが、これを恐れずに治療を続けていけば良いのである。

もちろん全ての癌や病気が治るわけでは無いが、癌は決して不治の病などではない。玄米菜食を厳格に実践する事で必ずや良好な結果が得られるはずである。

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【参考文献】

「治す医者か、ごまかす医者か」 小澤博樹・著 三五館

「日本食品標準成分表(二版)」 科学技術庁資源調査会・編 大蔵省印刷局

「マクロビオティック食事法(上)」 久司道夫,久司・アヴェリン・偕代・共著 アレックス・ジャック・編 田村源二・訳 日貿出版社

「食物陰陽表」 日本CI協会

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小澤 博樹

1949年愛知県碧南市生まれ。1974年東邦大学医学部を卒業後、同付属病院にて消化器外科学、一般外科学を専攻。

1984年、碧南市にて小澤医院を開業し、「食養生」を基本とした代替医療を展開し、現在に至る。

現代医学そのものが金儲け主義であると批判。自らは最少の費用で最大の成果を提供しようと模索する。頑固と良心の共存した、清貧な医者である。

マクロビオテック(玄米菜食)による体質改善、免疫力・自然治癒力の向上を図り、病気を治療に導く有床診療所「小澤医院」のHPはこちら→小澤医院

主な著書に「治す医者か、ごまかす医者か―絶対あきらめない患者学」「医者ができること、してはいけないこと―食い改める最善医療」などがある。