森下敬一 『食べもの健康法』● みそ
みそは、栄養分析には現れない効果、すなわち「プラスアルファの効用」のきわめて大きい食品である。
みそには生きた微生物がたくさん繁殖しており、それが腸内に入ってからめざましい活動を開始するからだ。
味噌の薬効のほとんどは、この微生物によってもたらされるもの。
だから良質の微生物がたくさん繁殖していなければ、みそとしての価値はほとんどない、といえる。
いかに基準量以下とはいえ食品添加物(化学薬品)が加えられているものは感心しない。
昔ながらの方法で、じっくりと時間をかけてこしらえた本物のみそを用いることが重要である。
みその主原料は、いうまでもなく大豆。
大豆は「畑の肉」といわれるほどで、粗蛋白、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの成分組成は申し分ない。
その大豆にコウジを働かせ、発酵させて、みそと呼ばれる食品に変身させると、消化されにくいという大豆の難点が除かれるとともに、繁殖した微生物による数々の効用が加わる。
まず第一に挙げなければならないことは、動物性アミノ酸がたっぷりと含まれていることだ。
植物性食品を摂りながら、動物性アミノ酸が豊富に補給できるわけで肉食と違って血液を酸毒化する心配もないから、みそを常食していると、スタミナは大いに増強される。
みそに含まれるメチオニンは強肝物質といわれるもので、たばこのニコチンや、アルコールの代謝産物であるアルデヒドなどの毒素を、すみやかに解毒する作用をもっている。
酒やタバコをたしなむ人には、みそは必需食品である。
同時にジピコリン酸も含まれているので、みそには、放射性物質を吸着して、そっと体外に排泄させる働きもある。
また、みそにはリノール酸やレシチンがあるから動脈硬化、高血圧、脳卒中、心臓病の防止に大いに役立つ。
一般には、みそは多量の塩分を含んでいるから、高血圧には有害だといわれているが、自然塩なら大丈夫。
それに十分に熟成させてあるみそであれば、それに含まれる塩分は、食塩とは全く違った姿になっていて、何の心配もいらない。
すぐれた整腸作用をもっていて、炎症を解消する効果の大きいみそは、アレルギーの追放にも、断然力を発揮する。
みそ料理の代表といえば、なんといってもみそ汁で、日本の長寿村では、例外なくみそ汁が愛好されている。
みそと健康長命が密接な関係のあることは、以上に述べた事柄からも十分に納得できよう。
加えて、美肌づくりにも大いに貢献する。
皮膚は内から外へと細胞を押し出して新陳代謝をしているから、みその浄血効果で内側の皮膚細胞が健全化すれば、自然に美しい肌に変わっていくはずである。
■ しぐれみそ
(材料)
・豆みそ・・・300g
・玉ねぎ・・・200g
・れんこん・・・70g
・にんじん・・・50g
・しょうが・・・10g
・ごぼう・・・60g
・にんにく・・・10g
・ゆずの皮・・・5g
・ごま油・・・大さじ8
・だし汁・・・1カップ
(作り方)
①野菜は全部みじん切りにします。
②ごま油を熱し、にんにく、玉ねぎを炒め、色がついてきましたら、ごぼうを炒め、れんこん、にんじんを加え、みそをだし汁で溶いて加えて、よく練り、一煮立ちしましたら、しょうが、ゆずの皮を加えてフタをして、弱火で煮つめます。
※多くの根菜類が、きざみ込まれていますから、体を温め、病気の方に是非おすすめしたいみそです。
※お湯でといていただければ、即席のみそ汁ができます。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。