船瀬俊介連載コラム
「番茶のがぶ飲み——」 これは、わたしの健康法の筆頭。無農薬の番茶を宅配便で取り寄せ、それをガブガブ……水がわりに飲む。
【前回の記事】
緑茶といえば、カテキン。
最近緑茶の健康効果がマスコミでよく報道される。カテキンとは緑茶の「渋味」成分である。カテキンは、タンニンという物質の一種なのだ。
さらに、枠を広げると天然植物の種や葉、樹皮などに含まれるポリフェノール類と呼ばれる物質に含まれる。
ポリフェノール類は、老化防止に効果がある……と着目されている。
たとえばーーー
▼フラボノイド:天然色素の主成分で、ブドウ、ナスなど色の濃い植物に多く含まれる。
▼アントシアニン:ブドウ、イチゴなど赤色、紫色などの鮮やかな植物に多く含まれる。
イソフラボン:大豆に含まれ、女性ホルモン様の作用を持つことが知られている。…などなど。
乾燥した緑茶の茶葉には、約70種類ものポリフェノール類が含まれている。
そのなかでカテキン類は約80%を占める。また緑茶全体量でカテキン含有率は高く、重量の約15%もある。よってカテキンは緑茶の薬効成分のなかでも大黒柱といえる。
これまでに立証されたカテキンの薬効は。
①過酸化脂質の生成を抑える:(抗酸化作用で万病予防、老化防止!)
②DNA突然変異を防ぐ
③細胞のガン化を抑制する
④血圧・血糖値を正常に
⑤腸内の善玉菌を増やす
⑥虫歯・口臭予防に素晴らしい
グラフCは、緑茶が虫歯予防に素晴らしい効果を発揮することを示す。ちなみにお茶には悪臭防止の効果もある。
グラフDは「魚の生臭さに対するカテキン消臭効果」である。みごと!
(『ガンにならない緑茶カテキンの驚異』樋廻博重著青春出版社、他参照)。
⑦肥満予防:茶は糖分分解を妨げ、分解されたグルコース吸収を防ぐので、結果的に肥満を防ぐ。
グラフEは、ヤシ油5%添加したエサを与えても、0・1%カテキン配合で体脂肪はほとんど増加しないことを示す。
⑧悪玉コレステロールを減らす:高脂肪・高コレステロールの食事を与えたラットも、エサに1%緑茶カテキンを加えただけで、ぐんとコレステロール等が減らせる。
その他、ダイオキシンなど毒物を体外に排泄する排毒作用もある。
⑨アルツハイマー予防:アルツハイマー痴呆症は、前脳基底部の記憶神経細胞のはたらきが失なわれる。
お茶成分テアニンは、神経成長因子の合成を促進する。すでに知られる促進物質エピネフリンよりも、緑茶テアニンのほうが神経成長をより促す。
東大分子細胞学研究所の報告も興味深い。
ラット脳の海馬からとりだした神経細胞を培養し、アルツハイマー老人斑のアミロイド・たんぱく質を加えると神経細胞の多くは死滅する。
ところが、カテキンを加えると神経細胞死がほぼ完全に防げることが立証されたのだ。
これは、アルツハイマー予防に、お茶カテキンが有効であることを示している。
⑩ウィルス等に抗菌作用:世界で猛威を振るったSARSの予防に、専門家は「お茶によるウガイ」をすすめた。
お茶カテキンにはインフルエンザ・ウィルスや風邪病原菌などの感染阻止効果がある。
グラフFは、お茶カテキンの「百日咳菌」に対する抗菌作用を示す。
さらに、胃ガン元凶の一つピロリ菌(培養)を緑茶カテキンは、わずか数日で死滅させた。
保菌者二八名にカテキン粉末カプセルを飲ませると四人の患者で完全除去。残り半数もピロリ菌活性が下がった。
長期服用ならさらに除菌効果は上るはず。(浜松医療センター実験)鮨屋であがりに緑茶を出す。それも食中毒の予防の面から理にかなっているのだ。
これらの効能のなかでも、最近最も注目されているのが抗酸化作用。つまり、活性酸素の働きを抑え、体内の過酸化脂質の生成を抑制する作用である。
活性酸素(フリーラジカル)も、その害作用がはっきりしてきた。よく、年を取ると「からだのあちこちがサビついて……」と冗談まじりに嘆く。
ところが、ほんとうにサビついていたのだ。
ヒトの病気の九割以上は、活性酸素による酸化(サビつき)なのだ。ガンも感染症も、じつは活性酸素による”酸化“が大きなひきがねだった。
それどころか、全身の老化ですら真犯人は、活性酸素による酸化なのだ。新品の鉄釘も放置すれば次第に赤錆が進み最後は朽ちて大地に戻る。
人の生死も、まさにそれに似たり。酸化が早くすすめば早く老化し、早く土に戻る。酸化(サビつき)を遅らせれば、それだけ長命を保つことができるわけだ。
人体は約六0兆の細胞でできている。おのおの細胞は脂肪酸とたんぱく質の細胞膜で覆われている。
細胞は新鮮な酸索や栄養素を、細胞膜を透過させて「吸収」する。また不要な炭酸ガスや老廃物を細胞膜を通過させて「排泄」する。
ところが、この生命線である「細胞膜」は酸素に酸化されやすい。とくに酸化カの激しい活性酸素に出会うと、みるまに攻撃され過酸化脂質がつくられてしまう。
細胞膜を構成する脂質、たんぱく質が、連鎖反応で次々に酸化され過酸化脂質に変質。すると遺伝子情報を担う内部のDNA(遺伝子)までも変質してくる。
つまり正常細胞に突然変異が起きガン細胞の分裂・増殖が始まるのである。
「……そこで期待されるのが、カテキンの強力な抗酸化作用です。
緑茶には①エピカテキン、②エピガロカテキン……など四種類のカテキン類が含まれていますが、そのうちの半分を占める、③エピガロカテキン・ガレート(EGCg)は、
抗酸化作用が強いことで知られるビタミンEの約20倍に相当する抗酸化力がある。
グラフGは、お茶のカテキンによる突然変異の抑制作用です(国立遺伝学研究所、賀田恒夫博士の枯草薗による実験)。
月刊マクロビオティック 2003年9月号より
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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家
著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。
『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。
独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。
著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。