海藻類はまさに海洋民族日本人への大自然の恵み、賜物

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船瀬俊介連載コラム 

アメリカひじきかブラックペーパー?


アメリカひじき・火垂るの墓 (1968年)

『アメリカひじき』という名の小説がある。

焼け跡作家、野坂昭如氏のデビュー作。これは、戦後アメリカが「日本を飢えから救え!」と配給物資を放出したときの笑い話がもとになっている。

つまり余り物の軍需物資を配給したため、あちこちで生じた悲喜劇の―つ。軍需物資の「紅茶」が缶入りで配給された。

もらった日本人は、開けてみて「これはヒジキだ」とかんちがい。

さっそく煮付けにして食べようとしたら、ふやけて膨らんで大騒ぎ……。

かくも食文化の違い、衝突は、思わぬ事態と笑いを引き起こす。

そういえば、もう20年ほど前、オーストラリアから来た市民運動家の弁護士を案内して日本を旅したことがある。

海岸でのハイキングで玄米ごはんのお握りで昼食。彼は「アイ・ライク・ブラウンライス!」とご機嫌だったが、弁当のフタを開けるや怪訴な顔でおむすびを手にとり首をひねる。

玄米むすびは黒く海苔で巻いてあったのだ。

彼は神妙な顔で爪先で海苔を剥がしはじめた。「何をしているの?」と聞くと「ブラック・ペーパー」と顔をしかめる。

「これは海苔という海藻で、食べられるんだよ」と説明すると「本当かい?」と目を丸くしたのを、今でも思い出す。

海洋民族、日本人への賜物

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つまり欧米人は、海藻を食べる習慣があまりない。というより体質的に受け付けないようなのだ。

白人は海藻類を消化吸収する酵素が、もともと乏しいという。

これは、牛乳と逆の現象でおもしろい。そもそも他の動物である牛の乳を、ヒトがそれも乳離れしてから飲むこと自体、異常である。

このことは牛乳神話の崩壊として、広く知られるようになってきた。

しかし、本来ヒトが住めない高緯度に定住した白人たちは、長い年月をかけて、乳糖分解酵素(ラクターゼ)を遺伝的に獲得した。

だから牛乳を消化分解できず、おなかがゴロゴロする「乳糖不耐症」発症率は、日本人は八五%なのにデンマーク人はわずか五%……。

おそらく海藻類の分解能力は、これがほぼ逆転するのだろう。

北欧人はサラダ等にほんのわずか海藻を使う程度。それに対して、日本人は朝はワカメの味噌汁。昼はヒジキの煮付け、夜はコンブ巻き……などなど。

世界一の海藻食民族なのだ。

つまり大陸民族の白人は家畜の乳に完全栄養を求め、海洋民族の日本人は、それを海藻に求めたのだ。

まさに遺伝的体質は、遺伝的食質によって決定される。身土不二ーーーという言葉の恵みを痛感する。

つまり、ヒジキ、ワカメなどの海藻類は、まさに海洋民族、日本人への大自然の恵み、賜物なのだ。

海藻のガン阻止率35%以上

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ま・ご・は・や・さ・し・い……。これは、私のおすすめの理想的食事パターン。

豆、ごま、ワカメ(など海藻類)、野菜、魚、しいたけ(など菌類)、いも。毎日、一口でも食べることで頑健長寿は間違いない。

海藻類には、さまざまな卓効が報告されているが、そのなかでも特筆したいのが、ガンの予防効果だ。

北里大学、山本一郎教授らの実験は画期的だ。腸に特異的にガンを起こす発ガン物質を投与したラットに、普通のエサと海藻の粉末・抽出物を混ぜたエサを与え、発ガン率を比較した。

すると海藻を混ぜたエサのほうが30~70%もガン発生率が少なかった。

また三重大学、野田宏行教授らが、同様に実験を行った。その結果、35%以上のガン増殖阻止率を示した海藻が23種類もあった。

このメカニズムは、海藻の豊富な成分が発ガン物質の排泄を促進するなど……さまざまな働きによると推測されている。

とにかく、ガンが怖けりゃ海藻を食えーーーは、正しい教えといえる。

コンブ、ヒジキ、ワカメなどの海藻類を、毎日の食卓に取り入れた来た先祖の食文化は、なんと理にかなってきていたことか。

その伝統、知恵をケイベツし始めて、日本人の健康はおかしくなってきた。

月刊マクロビオティック 2002年07月号より

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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